2026年度税制改正大綱において、2027年から新たに「こどもNISA」がスタートすることが発表されました。少子高齢化が進む中、次世代の資産形成を後押しする制度として注目を集めています。

従来のジュニアNISAが終了し、現行のNISA制度が18歳以上に限定されている中、0歳から17歳を対象としたこの新制度は、子育て世帯にとって教育資金づくりの有力な選択肢となるでしょう。今回は、制度の概要から現状の教育費事情、シミュレーションを用いた活用方法を解説します。

1. 【こどもNISA】ジュニアNISAとは何が違う?家計に役立つ大きなメリット

新設される「こどもNISA」は、0歳から17歳の子供を対象とした、将来の教育資金などの準備を「投資」で行うための非課税制度です。家計に関わる主な特徴を整理しました。

1.1 年間60万円まで非課税で運用できる

1年間で最大60万円、合計で600万円までの投資から得られた利益に税金がかかりません。通常、利益には約20%の税金がかかりますが、その分を教育資金として効率的に活用できるのがメリットです。

1.2 対象は「長期運用」向けの投資信託

投資先は、金融庁の基準を満たした、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定されています。リスクを抑えつつ、コツコツと資産形成を目指す仕組みです。

1.3 12歳から「払い出し」が可能に

原則として、子供が12歳(中学生)以降になれば、親子で同意した上で、必要に応じて資産を売却し、現金として引き出すことができます。一部売却も可能ですが、あくまで子供のための資金であることを踏まえ、親子で話し合って計画的に引き出す必要があります。

1.4 18歳以降は「大人のNISA」へ自動移行

子供が成人(18歳)になると、保有資産は自動的に大人の「つみたて投資枠」に引き継がれ、成人後の資産形成へスムーズにつなげることができます。

2. 【こどもNISA】「私立大4年分の学費」は準備できる?最新の教育費データをみる

文部科学省の調査(令和5年度)に基づくと、保護者が支出した1年間・子ども一人当たりの学習費総額は、公立・私立の選択肢によって幅がありますが、以下のようになっています。

2.1 幼稚園から高校までの年間学習費総額(公立/私立)

※保護者が子供の学校教育及び学校外活動のために支出した経費の総額

  • 幼稚園:公立 約18.5万円 / 私立 約34.7万円
  • 小学校:公立 約36.7万円 / 私立 約174.2万円
  • 中学校:公立 約54.2万円 / 私立 約156.0万円
  • 高校(全日制):公立 約59.7万円 / 私立 約117.9万円

2.2 大学初年度の費用

調査結果(授業料、入学料及び施設設備費の状況)※増減率は前回調査(令和3年度)との比較3/4

調査結果(授業料、入学料及び施設設備費の状況)※増減率は前回調査(令和3年度)との比較

出所:文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」

私立大学の初年度納付金(全平均)は約136.5万円です。特に医歯系学部では約482万円、理科系学部でも約153万円と、学部によって大きな差があります。

2.3 2年目以降の費用イメージと4年間の総額

大学2年目以降は、初年度にかかった「入学料」を除いた金額(授業料や施設設備費など)が毎年発生します。私立大学全平均では年間約112.5万円程度が目安となり、4年間の総額では約474万円が必要になる計算です。 学部によっては実習費などが加わり500万円を超えるケースもあるため、早めの準備が鍵となります。

2.4 教育費のピークと活用法

教育費の最大のピークは、やはり「大学入学時」です。こどもNISAは12歳から払い出しが可能なため、お子さんの進路に合わせて中学・高校入学時のまとまった出費に充てるというのも有効な選択肢の一つです。

一方で、非課税限度額を使いながら長期運用を継続し、最も負担が重くなりやすい大学進学期に備えて資産を積み上げていくという考え方もあります。ご家庭の教育方針や家計の状況に合わせて、柔軟に使い道を検討できるのがこの制度の強みと言えるでしょう。

3. 【こどもNISA】月5万円を10年間、3%で積立投資シミュレーション公開!

では、実際に活用するとどの程度の資産が築けるのでしょうか。月5万円(年間60万円の枠を使い切る設定)を、想定利回り年率3%で10年間積み立てた場合のシミュレーションを見てみましょう。

毎月5万円・想定利回り3%・積立期間10年のシミュレーション4/4

毎月5万円・想定利回り3%・積立期間10年のシミュレーション

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

  • 積立の結果:10年後の運用資産額は697万円となります。
  • 元本:600万円
  • 運用収益:97万円

3.1 教育費のピークに備えられるか

この697万円という金額は、私立大学文系学部の4年間の学費合計を十分にカバーできる水準です。しかし、ここで注意が必要なのは、このシミュレーションはあくまで計算上の仮定であり、将来の運用成果を約束するものではないという点です。

投資には元本割れのリスクがあり、相場状況によっては「いざ引き出したい」というタイミングで資産が減っている可能性もゼロではありません。ご家族の収支状況や、いつまでにいくら必要かという目的に合わせて、預貯金とのバランスを含めた慎重な判断が必要です。

4. まとめにかえて

2027年から始まる「こどもNISA」は、18歳までの長期運用を前提とした非常に使い勝手の良い制度です。12歳以降の払い出し制限緩和により、進学のタイミングに合わせた柔軟な資金計画が可能になります。

教育費は「いつ、いくら必要か」が予測しやすい支出です。早期から積立を開始し、時間を味方につけることで将来の負担を軽減できる可能性があります。投資のリスクを正しく理解した上で、新制度の開始に向けて準備を進めてみてはいかがでしょうか。

参考資料