8. 「いまの残高」だけで安心しない。物価高時代を生き抜く、後期高齢期の家計戦略

後期高齢期の家計を見つめるうえで重要なのは、「いまの残高」そのものではありません。その資産が、物価の変動を含めた環境のなかで、どれだけの期間にわたり暮らしを支えられるのかという視点です。

多くのシニア夫婦は、預貯金を中心とした安定的な資産構成をとっています。元本が大きく減りにくいという安心感はありますが、物価が上昇する局面では、額面が変わらなくても実質的な購買力は少しずつ低下します。

つまり、家計に影響を与えるのは「赤字の大きさ」だけではなく、「お金の価値の変化」でもあります。支出がじわじわと押し上げられれば、当初の想定よりも早いペースで貯蓄を取り崩すことになりかねません。

「人生100年時代」が現実味を帯びるいま、健康寿命と同様に意識したいのが資産の持続力です。物価動向も踏まえながら、年金をはじめとする公的給付、手元資産、支出構造を一体として捉え直すことが、後期高齢期を安定して過ごすための土台となるでしょう。

参考資料

マネー編集部社会保障班