8. 「いまの残高」だけで安心しない。物価高時代を生き抜く、後期高齢期の家計戦略
後期高齢期の家計を見つめるうえで重要なのは、「いまの残高」そのものではありません。その資産が、物価の変動を含めた環境のなかで、どれだけの期間にわたり暮らしを支えられるのかという視点です。
多くのシニア夫婦は、預貯金を中心とした安定的な資産構成をとっています。元本が大きく減りにくいという安心感はありますが、物価が上昇する局面では、額面が変わらなくても実質的な購買力は少しずつ低下します。
つまり、家計に影響を与えるのは「赤字の大きさ」だけではなく、「お金の価値の変化」でもあります。支出がじわじわと押し上げられれば、当初の想定よりも早いペースで貯蓄を取り崩すことになりかねません。
「人生100年時代」が現実味を帯びるいま、健康寿命と同様に意識したいのが資産の持続力です。物価動向も踏まえながら、年金をはじめとする公的給付、手元資産、支出構造を一体として捉え直すことが、後期高齢期を安定して過ごすための土台となるでしょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省「家計調査 家計収支編 2024年〔二人以上の世帯〕」(第3-2表)
- 総務省統計局「家計調査 用語の解説」
- 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)1月分」
- 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査(速報版)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 2024年 〔二人以上の世帯〕」(第8-10表)
- 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
マネー編集部社会保障班