信託銀行と聞くと「富裕層が使う金融機関」というイメージがあるかもしれません。また、「そもそもどんな銀行なのか分からない」という方も少なくないでしょう。
信託銀行ではどのようなサービスを提供しており、一般的な銀行とは何が違うのでしょうか。ここでは、信託銀行の特徴や一般的な銀行との違い、金融機関の使い分け方について解説していきます。
1. 【信託銀行】「ふつうの」銀行と何が違う?
信託銀行と一般的な銀行との大きな違いは、取り扱っている業務の範囲です。一般的な銀行は預金や融資などの銀行業務に限られる一方、信託銀行ではそのほかに信託業務と併営業務も取り扱っています。
信託業務とは、顧客から預かった資産を管理・運用することです。また、併営業務とは相続に関するサポート業務や、不動産売買の仲介業務などを指します。
細かい業務の取扱内容は各信託銀行によって異なるものの、信託銀行は一般的な銀行よりも業務の幅が広いことが特徴です。
2. 【信託銀行】多様化するサービス「信託銀行=富裕層」はもう古い?
では、信託業務や併営業務とは具体的にどのようなサービスを指すのでしょうか。
たとえば、信託業務では「教育資金贈与信託」や「生命保険信託」、「金銭信託」などが挙げられます。併営業務では不動産仲介や遺言書作成のコンサルティング、遺産整理業務などがあり、信託銀行の業務は一言でいうと「資産を管理するトータルサポート」といえるでしょう。
また、信託銀行は富裕層向けのサービスだとイメージされるかもしれませんが、投資信託などの運用商品では少額から利用できるところもあります。
若いうちから資産運用で信託銀行を利用し、将来の資産管理や相続対策に向けて銀行との関係性を築いておくのもよいかもしれません。
2.1 高齢化で変わるニーズ「おひとりさまの相続や認知症対策」など
高齢化に伴い、信託銀行を利用する顧客のニーズにも変化が生じています。
たとえば、最近ではおひとりさま世帯向けのサービスや遺言信託などのサービスが充実しており、万が一のことが起きたときの相続に向けて準備することができます。実際に筆者が出会ったお客さまでも、こうしたサービスを利用して「自分が亡くなった後の遺産をすべて動物愛護団体へ寄付してほしい」と遺言を残している方もいらっしゃいました。
また、認知症などで意思の疎通が難しくなったときに、あらかじめ指定した代理人が生活費の引き出しをできるサービスもあります。
つまり、信託銀行はこれまでのような「富裕層が資産運用や贈与・相続のために利用するところ」といった目的に限らず、「お金に関する将来の希望を形にするところ」といった目的も大きくなっているといえるでしょう。
3. 【信託銀行】「ふつうの」銀行との使い分けはどうする?
金融機関はどれかひとつだけを利用するのではなく、目的に応じて使い分けることもおすすめです。
たとえば、一般的な銀行はインターネットバンキングやスマホアプリの提供に力を入れていたり、ATM利用手数料の無料サービスが充実していたりするなど、日常使いに便利な傾向にあります。
そのため、「近くに支店がある銀行で給与を受け取る」「スマホで管理しやすい銀行をメインバンクにする」など、利便性が重視されるシーンで使うとよいでしょう。
一方、信託銀行は資産の管理や万が一の備えなどに向いている傾向にあります。したがって、資産運用や相続対策、資産の継承など長期的な視点が必要なシーンに向いているといえます。
4. 金融機関の違いを知って上手に使い分けよう
信託銀行と一般的な銀行には、主に取扱業務の範囲に違いがあります。それぞれ注力しているサービスや利用に向いているシーンが異なるため、違いを理解したうえで使い分けることがおすすめです。
また、信託銀行は少額から利用することも可能です。まずは少額からスタートしてみて、実際に信託銀行のサービス内容を体験してみるのもよいかもしれません。
参考資料
椿 慧理