2030年までに少子化トレンドを反転させることを目指す「こども未来戦略」の財源として、2026年4月から健康保険料とともに「子ども・子育て支援金」が給与天引きされます。新たな経済的負担を伴う制度であるため、「支援金は本当に必要?」「何に使われるの?」などの疑問を感じる人もいるでしょう。

本記事では、会社員を中心とした子育て世代に対する国からの給付金について解説します。「こども未来戦略」では、切れ目ない子育て支援の充実を目指して新たな支援策を実施しているため、支援の中心となる各種給付金の概要を理解して有効活用しましょう。

1. 【子ども・子育て支援金】2026年4月からスタート!「いくら払うの?」

子ども・子育て支援金とは、少子化対策の財源を確保するための新たな社会保険料の1種です。支援金は健康保険料などと一緒に徴収されます。健康保険制度ごとの支援金の平均額(推計)は次の通りです。

ただし、収入などにより保険料は異なります。2026年4月に支援金が開始されますが、会社員の場合、2026年5月支給の給与から天引きが始まります。

健康保険加入者の年収別・支援金月額(試算)2/5

被用者保険(協会けんぽ・健保組合・共済組合)

出所:こども家庭庁「医療保険制度ごとの年収別試算」

2. 【子育て世代対象の給付金】「こども一人当たり50万円」出産に関する給付金

健康保険料や雇用保険料、子ども・子育て支援金などを活用して国では子育て世代に対してさまざまな給付を行っています。

出産に関しては、出産費用や産前産後休業中の生活費を補完するための「妊婦のための支援給付」「出産育児一時金」「出産手当金」などがあります。

2.1 妊婦のための支援給付

妊婦のための支援給付は、すべての妊婦を対象とした10万円(多胎妊娠の場合、胎児数に応じて加算)の給付金です。支援給付は2回に分けて支給され、居住地の市区町村で支給手続きをします。伴走型相談支援と併せて妊婦の支援を行います。

妊婦のための支援給付と伴走型相談支援3/5

概要

出所:こども家庭庁「妊産婦への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施」

2.2 出産育児一時金

出産育児一時金は、出産費用として支給される原則子ども1人あたり50万円の給付金です。加入している健康保険制度から支給され、直接支払制度を利用すれば病院に直接支払ってもらえるため、高額な出産費用の立て替えが不要となります。

出産育児一時金の支給金額4/5

子どもが生まれたときは出産育児一時金が受けられます

出所:全国健康保険協会「子どもが生まれたとき」

2.3 出産手当金

出産手当金は、産前産後休業で給与が支払われない場合に生活支援として勤務先で加入する健康保険から支給される給付金です。原則、休業前の給与(正確には標準報酬月額)の2/3相当額が支給されます。

ここまで、子ども・子育て支援金と出産に関する給付金について解説しました。次章では、子育てや仕事と育児の両立に関する給付金を紹介します。

3. 【子育て世代対象の給付金】「手取り10割相当」子育てに関する給付金

子育てに関する給付金として、会社員などに対する「育児休業給付金」「育児時短就業給付金」と、子育て世代すべてを支援する「児童手当」「児童扶養手当」について解説します。

3.1 育児休業給付金

育児休業給付金は、原則1歳未満の子どもを育てるために育児休業を取得した人の生活支援として雇用保険から支給される給付金です。休業開始180日目までは休業前の給与(正確には休業開始時賃金日額)の2/3相当額が、181日目以降は1/2相当額が支給されます。

出生時育児休業(産後パパ育休)を取得した場合も、「出生時育児休業給付金」が支給されます。

また、出生直後に夫婦がともに(出生時)育児休業を取得した場合などに、「出生後休業支援給付金(給付率13%)」が加算されます。加算は最大28日間で、育児休業給付金などと合計すると給付率は80%となり、税金や社会保険料を考慮すると休業前の手取り額と同程度となります。

3.2 育児時短就業給付金

2歳未満の子どもを育てながら時短勤務をする場合、時短による減収を補うために育児時短就業給付金が雇用保険から支給されます。給付金額は、原則育児時短就業中に支払われた賃金の10%相当額です。

3.3 児童手当

児童手当は、0歳から高校卒業までの子どもを養育している世帯に居住地の市区町村から支給される給付金です。2024年10月に所得制限が撤廃され、すべての子育て世帯が利用できるようになりました。子ども1人当たりの支給金額は次の通りです。

  • 3歳未満:月額1万5000円(第3子以降は3万円)
  • 3歳以上:月額1万円(第3子以降は3万円)

3.4 児童扶養手当

児童扶養手当は、離婚や死別などによるひとり親家庭を経済的に支援するために居住地の市区町村から支給される給付金です。所得による減額がありますが、2025年度の全部支給額は次の通りです。

  • 月額:4万6690円
  • 子ども2人目以降の1人当たりの加算額:1万1030円

4. おわりに

少子化対策が日本の将来にかかわる課題との認識が定着し、子育て世代を全世代で支える仕組みが拡大しています。

今後も、出産費用の実質無償化や「こども誰でも通園制度」の全国本格実施など、新たな子育て世代支援制度が実施される予定です。

子育て世代の人は、現行制度内容を理解するとともに今後の動向に注意を払い、育児と仕事の両立に活かしましょう。

参考資料