6. 増額でも消えない生活不安。ゆとりがない最大の理由は「物価高」

年金額が増額改定された一方で、受給しているシニア世代は現状をどう捉えているのでしょうか。

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、年金だけで生活することの厳しさが浮き彫りになっています。

6.1 年金だけで生活できる?シニア世代の回答

年金に対する意識について、「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答した割合は以下の通りです。

  • 60歳代(二人以上世帯):33.6%
  • 60歳代(単身世帯):50.7%

特に単身世帯の深刻さが際立っており、60歳代の一人暮らし世帯では、実に半数以上が「年金で日常生活費をまかなうのは難しい」と回答しています。

70歳代になると「ゆとりはないがまかなえる」とする世帯が6割を超えて増える傾向にありますが、それでも依然として約3割の世帯が生活の苦しさを訴えています。

生活にゆとりがない理由は「物価上昇」が突出

生活にゆとりがないと回答した世帯に対し、その具体的な理由を尋ねたところ、すべての世代・世帯タイプにおいて「物価上昇等」が最大の要因となっています。

  • 60歳代(二人以上世帯):57.9%
  • 70歳代(二人以上世帯):57.7%

実に6割近い世帯が、物価高を生活苦の主因として挙げています。

次いで「医療費の個人負担増(24.5%~30.0%)」や「年金支給額の切り下げ(13.2%~21.5%)」が続いており、「年金は増えたものの、それ以上に物価や社会保障費の負担が増している」という実感が、シニア世代の家計を圧迫していることがわかります。

7. 物価高に負けない「自分年金」の準備を

2026年度の公的年金は増額改定となりましたが、統計データが示す通り、多くのシニア世代が「物価高」による生活のゆとりのなさを実感しているのが現実です。

年金は老後の生活を支える大切な柱ですが、物価上昇局面においては、年金の増額幅が生活コストの増加に追いつかない可能性もあります。

自身の年金見込み額を「ねんきんネット」などで正確に把握する

物価高を想定し、年金以外の「貯蓄」や「資産運用」による準備を早めに始める

医療・介護費の増加を考慮した資金計画を立てる

もし将来の生活に不安を感じる場合は、リタイアまでの期間を活かして、無理のない範囲で資産形成を進めておくことが大切です。今回の増額をきっかけに、一度ご自身の長期的なマネープランを見直してみてはいかがでしょうか。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部年金班