3. 株価急落の理由(2):海外市場の成長鈍化とインバウンドの懸念

二つ目の理由は、決算の中身に見え隠れする「懸念点」です。

サンリオはいまやグローバル企業であり、日本だけでなく、アジアや北米でも大きな売上を上げています。今回の決算でも日本やアジアは好調でしたが、泉田氏は「北米(米州)」の動向に注目します。

北米のセグメント利益(調整後営業利益)を見ると、前年同期比で 5.1%減となっています。これに対し泉田氏は、「一番経済規模の大きいアメリカで伸びが止まってしまったのではないか」「海外でのブームが終わってしまったのではないか」といった投資家の不安(嫌気)が、株価を下押しする要因になったと分析します。

さらに、日本国内でもインバウンド(訪日外国人客)の売上比率が、ピーク時の約4割から直近では3割程度まで低下している点にも触れ、「インバウンド需要の一服感」も影響している可能性を示唆しました。

サンリオの決算短信を解説する泉田氏3/6

サンリオの決算短信を解説する泉田氏

出所:各種データをもとにイズミダイズム作成

4. 株価急落の理由(3):「ライセンス」から「実業」へ。投資フェーズへの転換

そして三つ目の理由として泉田氏が挙げたのが、サンリオのビジネスモデルの転換と、それに伴う「投資効率」への懸念です。

これまでサンリオは、キャラクターの使用権を企業に貸し出す「ライセンスビジネス」で効率よく利益を上げてきました。

キティちゃんのイラストを使わせてあげる対価としてロイヤリティをもらうビジネスは、元手(原価)がほとんどかからず、非常に高収益な仕組みです。

しかし、サンリオは今、テーマパークなどの「リアルな場」への投資を加速させています。例えば、大分県にある「ハーモニーランド」には、今後10年で100億円規模の投資を行う計画があるといいます。

「今まで元手なしでチャリンチャリンと稼げていたのに、これからは巨額の設備投資をして、回収できるかわからないリスクを取るのか」このように、一時的に資本効率(投資対効果)が悪くなることを懸念して、株を手放す投資家もいるのではないかと泉田氏は見ています。