2月に入り、暦の上では春を迎えました。
この時期は、まもなく開始される確定申告に向けて、前年の収入状況を整理する方も多いのではないでしょうか。
物価高騰が続くなか、政府や自治体はさまざまな家計支援策を打ち出しています。
現在、物価高への対策として、子育て世帯には子ども1人あたり2万円が支給されるなど、重点的な支援が進められています。
この給付金は所得制限がなく、0歳から高校3年生までの子どもを持つ家庭が対象です。
同時に、電気・ガス代の負担軽減策や、各自治体が地域の実情に合わせて実施する「重点支援地方交付金」など、多角的な支援も行われています。
これまでの「非課税世帯への一律現金給付」とは異なる形ですが、住民税が非課税となる世帯に対しても、さまざまな支援が用意されています。
生活を支えるためのさまざまな優遇措置が用意されていることは、意外と知られていないかもしれません。
この記事では、住民税非課税世帯が対象となる優遇措置を5つご紹介します。
あわせて、どのような基準で「住民税非課税世帯」と判定されるのか、給与や年金収入の具体的なボーダーラインについても詳しく解説します。
2026年度の制度を正しく理解し、ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。
1. 「住民税非課税世帯」が受けられる優遇措置とは?現金給付以外にもある5つの支援策
新型コロナウイルスの影響や物価上昇への対策として、これまで住民税非課税世帯を中心に現金給付などの支援が行われてきました。
住民税非課税世帯とは、所得が一定の基準を下回る世帯を指します。
こうした世帯を支える仕組みは現金給付に限らず、日々の生活を安定させるための多様な優遇制度が設けられています。
ここでは、その中から5つの優遇措置を解説します。
1.1 優遇措置1:国民健康保険料の減額
- 応益分保険料(均等割・平等割)が「7割・5割・2割」のいずれかの割合で減額されます。
1.2 優遇措置2:介護保険料の減額
- 65歳以上の第1号被保険者が対象です。減額幅は自治体によって異なります。
1.3 優遇措置3:国民年金保険料の免除・納付猶予
- 全額免除、一部免除、納付猶予のいずれかの措置を受けられます。
1.4 優遇措置4:保育料の無償化
- 0歳から2歳までの子どもの保育料が無償化されます。
- これにより、0歳から5歳までの保育料が実質的に無料となります。
1.5 優遇措置5:高等教育の修学支援新制度
- 大学、短期大学、高等専門学校、専門学校の授業料や入学金が免除または減額されます。
- 返済不要の給付型奨学金も利用できます。
これらの他にも、各自治体が独自に行っている支援策があり、利用できる制度は多岐にわたります。
次の章では、住民税非課税世帯が具体的にどのような世帯なのか、その定義を詳しく見ていきましょう。
2. そもそも「住民税非課税世帯」とはどのような世帯を指すのか
まず、住民税の基本的な仕組みを理解した上で、住民税非課税世帯に該当する条件について確認します。
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に納める地方税の一種です。
自治体にとって重要な財源であり、公共サービスの提供やインフラ整備などに活用されています。
個人に課される住民税は、「均等割」と「所得割」という2つの要素で構成されています。
- 均等割:所得額にかかわらず、一律で課税される部分
- 所得割:前年の所得額に応じて税額が変動する部分
「住民税非課税」とは、この均等割と所得割の両方が課されない状態を指します。
そして、「住民税非課税世帯」とは、世帯に属する全員がこの住民税非課税の状態にある世帯のことです。
また、住民税の「所得割のみが非課税」というケースも存在します。
ただし、給付金などの支援対象となるかどうかは自治体によって基準が異なるため、お住まいの市区町村の情報を確認することが重要です。
3. 住民税が非課税になる3つの条件とは?
それでは、具体的にどのような場合に住民税が課されないのか、その条件を見ていきましょう。
以下のいずれかの条件に該当する場合、住民税は非課税となります。
- 生活保護法による生活扶助を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親のいずれかに該当し、前年の合計所得金額が135万円以下である
- 前年の合計所得金額が、お住まいの市区町村が定める基準額を下回る
1と2の条件は全国共通ですが、3の所得基準は市区町村ごとに異なるため注意が必要です。
次に、住民税非課税世帯となる所得や収入の具体的な基準について解説します。
4. 住民税非課税世帯に該当する「所得」の基準はいくら?
「住民税非課税世帯」に該当する所得の基準について、兵庫県神戸市の例を参考に見てみましょう。
神戸市では、前年の合計所得金額が以下の計算式で求められる額以下の場合、住民税が非課税となります。
35万円 ×(本人 + 同一生計配偶者(※)+ 扶養親族数)+ 10万円 + 21万円
ただし、21万円の加算は、同一生計配偶者(※)または扶養親族がいる場合に限られます。
※同一生計配偶者とは、納税者と生計を共にする配偶者で、前年の合計所得金額が58万円以下の人を指します。
5. 住民税非課税世帯になる「年収」の目安は?
住民税が非課税となる基準は、同一生計配偶者や扶養親族の有無だけでなく、収入の種類によっても変わってきます。
所得は収入から各種控除を差し引いて計算されるため、ここでは神戸市の基準を「収入ベース」に換算して具体的な目安を確認します。
5.1 単身世帯の場合
合計所得金額が45万円以下の方が対象です。
- 給与収入のみ:年収110万円以下
- 年金収入のみ(65歳以上):年金収入155万円以下
- 年金収入のみ(65歳未満):年金収入105万円以下
5.2 同一生計配偶者または扶養親族が1名いる場合
合計所得金額が101万円以下の方が対象です。
- 給与収入のみ:年収166万円以下
- 年金収入のみ(65歳以上):年金収入211万円以下
- 年金収入のみ(65歳未満):年金収入171万3334円以下
単身世帯の場合、給与収入のみなら年収110万円、65歳以上で年金収入のみなら155万円が非課税のボーダーラインとなります。
一方、配偶者や扶養親族がいる世帯では、非課税となる収入の上限額は高くなります。
特に65歳以上で年金収入のみの世帯では、上限が211万円となり、単身世帯に比べて条件が緩和されているのが特徴です。
このように、世帯構成や収入源によって住民税の課税基準は大きく異なります。
6. 高齢者世帯で「住民税非課税世帯」が多いのはなぜ?年代別の課税状況
厚生労働省が公表する「令和6年国民生活基礎調査」を基に、世帯主の年齢階層別に住民税が課税されている世帯の割合を見てみましょう。
- 29歳以下:63.0%
- 30〜39歳:87.5%
- 40~49歳:88.2%
- 50~59歳:87.3%
- 60~69歳:79.8%
- 70~79歳:61.3%
- 80歳以上:52.4%
- 65歳以上(再掲):61.1%
- 75歳以上(再掲):54.4%
※1 全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯を含みます。
※2 総数には、年齢不詳の世帯を含みます。
※3 住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含みます。
データを見ると、住民税が課税されている世帯の割合は30歳代から50歳代で約9割に達しますが、60歳代になると79.8%に低下します。
さらに年齢が上がると、65歳以上では61.1%、75歳以上では54.4%と、課税世帯の割合は減少傾向にあります。
一般的に、リタイアして年金生活に入ると現役時代に比べて収入が減少します。
加えて、65歳以上の人には公的年金等控除が手厚く適用され、遺族年金は非課税であることなども、高齢者世帯が住民税非課税に該当しやすくなる要因と考えられます。
7. 年金だけで生活できる高齢者世帯は半数以下の43.4%という現実
厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、「公的年金・恩給を受給している世帯」のうち、収入源が「公的年金・恩給のみ」である世帯は43.4%でした。
この結果から、老後の生活を公的年金だけで賄えている高齢者世帯は、全体の半数に満たないことがわかります。
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
年金の受給額は人それぞれですが、高齢者世帯では収入と支出のバランスが取れていないケースも少なくありません。
支出が収入を上回る場合や、最低限の生活費さえも収入で賄えない状況も考えられます。
特に後者の場合、公的年金だけでは生活が成り立たず、他の収入源を確保する必要があります。
私的年金や預貯金に十分な余裕がない場合は、就労収入や子どもからの援助、各種支援制度の活用など、早い段階から複数の選択肢を検討しておくことが重要です。
8. まとめ
政府が実施する家計支援策は、経済状況に応じて内容が変化します。
そのため、給付金の条件に該当するかどうかなど、お住まいの自治体の最新情報をこまめに確認することが大切です。
現在は子育て世帯への現金給付が中心となっていますが、長期化する物価高はあらゆる世帯の家計を圧迫しています。
すぐに実行するのは難しいかもしれませんが、収入を増やす方法を模索したり、毎月の支出を見直して削減できる項目がないか検討したりと、ご自身の家計やライフスタイルに合った対策を考えてみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。






