6. 年金中心のシニア世帯家計に起きている変化
前章で明らかになったように、老後に不安を抱えているシニア世帯。老後の収入は、公的年金が中心になる世帯が大半です。ただし実際には、年金に何らかの収入を上乗せしているシニア層も一定数存在しています。
近年は、定年後も再雇用や再就職という形で働き続ける人に加え、自営業や業務委託など、比較的柔軟な働き方を選ぶケースも見られます。
実際、多くのシニアはどのように対応しているのでしょうか。
6.1 65歳以降も働く人は増えている
内閣府「令和7年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の就業者は年々増加しています。
シニア世代の就業率を確認すると、その傾向はより明確になります。
体力への配慮が必要になる年代ではありますが、経験や専門性を生かせる分野では、70歳前後、あるいはそれ以上の年齢でも働き続ける例は珍しくありません。
勤務形態もフルタイムだけでなく、短時間勤務や期間限定など多様化が進んでいます。
6.2 小さな収入でも家計に与える影響
必ずしもフルタイムで働かなくても、老後の収支を支える方法はあります。
パート収入や不動産収入、配当など、金額は大きくなくても年金に上乗せされる収入があることで、毎月の赤字を抑えられる場合があります。
生活費全体を賄える水準でなくとも、数万円の収入があるかどうかで、家計の安心感は大きく変わることがあります。
6.3 就労継続の動機は経済面だけではない
シニアが働く理由は、生活費の補填だけにとどまりません。社会との関わりを持ち続けたい、日常にメリハリを持たせたいという意識も大きな要素です。
調査結果では、「収入のため」55.1%に続き、「働くのは体に良いから」が20.1%に及ぶなど、仕事を通じて人と接し、役割を担うことが、健康維持や生きがいにつながるという側面も指摘されています。
6.4 「年金+α」で考える老後設計
物価上昇や平均寿命の延伸が進むなか、公的年金のみで老後生活をすべて賄うのは容易ではありません。
だからこそ、受給額だけに目を向けるのではなく、年金以外の収入源や保有資産をどう組み合わせるかという視点が、これからの老後設計には欠かせない要素となっています。
著者
マネー編集部貯蓄班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、大手証券会社やメガバンク等の金融機関にて勤務経験のある編集者が中心となり、金融庁や総務省など官公庁の公開情報等をもとにお金の課題に寄り添う専門チームです。
主なメンバーは野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、日本生命保険相互会社出身の村岸理美など。
編集者の多くは、金融機関にて個人リテール業務を経験。若年層からシニア層、富裕層に至るまで、幅広い顧客に対し、投資信託・保険を中心とした総合的なライフプランニングを実行してきた。なかには、リテール営業で社内トップの実績を持ち、行内で表彰された実力者も。人材育成や社内教育にも携わるなど、金融知識と実務経験の両面で信頼される編集者が在籍しています。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。(最新更新日:2025年6月23日)
監修者
二種外務員資格(証券外務員二種)記者/編集者/校閲者/
【保有資格】
ニ種外務員資格(証券外務員二種)・相続診断士・認知症介助士・終活ガイド資格1級保有。
【経歴】
二種外務員資格や相続診断士などの資格を保有し、「お金とくらし」にまつわる情報を専門的かつ丁寧に発信する金融メディア編集者・ライター。
早稲田大学第一文学部史学科卒。人文・社会系一般書籍、中学・高校社会科教材、就職試験問題の制作関連業務で15年以上の経験を持つ。また、大手人材派遣会社における採用管理業務などの実務経験もある。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』において、金融系メディアの編集者兼執筆者として、コンテンツ制作や編集を担当。
総務省「家計調査」・厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」などの一次資料に基づくデータ記事の執筆に強み。
専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも記事執筆をおこなう。紙媒体での経験に加え、家族の介護を通じて得た知見を生かしながら、「お金とくらし」にまつわる情報を丁寧に発信している。(2026年7月9日更新)