5. 医療費は「いくらから重い」と感じ始めるのか

ここまで医療費についてご紹介しましたが、医療費の負担に対する不安は高額な治療が必要になったときだけに生まれるものではありません。

【60歳代・70歳代】年金だけではゆとりがないのはなぜ?4/6

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の調査によると、「暮らしにゆとりがない」と感じる70歳代(二人以上世帯)の30.0%が、将来の不安として「医療費の自己負担が増えること」を挙げています。

日々の通院や薬代など、少額の支出が積み重なることで、家計への負担を実感し始めるケースが多いのが実情です。ここでは、シニア世帯が医療費を重く感じやすくなる背景を整理します。

5.1 「少額でも続く支出」が負担感を生む

医療費の負担は、入院や手術といった大きな支出よりも、日常的な通院や処方薬によって感じられることが少なくありません。

一回あたりの金額は小さくても、受診回数が増えることで、年間では無視できない支出になります。

厚生労働省「令和5年度 国民医療費の概況」によると2023年時点の65歳以上の人口1人あたり国民医療費は年間79万7200円となっています。

75歳以降ではさらに増え、人口1人あたり国民医療費は年間約95万円までふくらんでいます。

5.2 年金生活では小さな増加が家計に響く

年金を主な収入とする生活では、支出が増えても収入が増えることはありません。

そのため、月に数千円の医療費増加であっても、生活費全体のやりくりに影響を与えやすくなります。

5.3 制度を知ることが不安を抑える手がかりに

医療費への不安は、「どこまで負担が増えるのか分からない」ことから生じる面もあります。

後期高齢者医療制度では、自己負担割合が所得や世帯状況に応じて決まる仕組みが定められており、その内容を把握することで、今後の見通しを立てやすくなります。