本日2月6日、総務省が発表した「2025年平均の家計調査」は、私たちの暮らしの「明るさ」と「苦しさ」が同時に映し出される内容となりました。
消費支出は3年ぶりに実質増となり、外出や教育などへの支出は持ち直しつつあります。一方で、勤労者世帯の実収入は物価高に追いつかず、実質では2年連続の減少となりました。
衆院選の投開票を2日後に控える中、この家計の現実は、有権者一人ひとりがこれからの生活を考える上での大きな判断材料となるでしょう。
1. 【速報】2025年家計調査「消費は戻るが、暮らしは楽にならず」
総務省「2025年平均の家計調査」によると、二人以上の世帯における消費支出は、物価変動の影響を除いた「実質」で前年比プラスとなりました。支出は回復傾向にあるものの、勤労者世帯の実収入は物価上昇に追いつかず、家計のやりくりは依然として厳しい状況が続いています。
1.1 消費支出:3年ぶりの増加も、物価高による「かさ上げ」の側面否めず
二人以上の世帯の消費支出は、1世帯当たり月平均31万4001円でした。名目では4.6%増、物価の影響を除いた実質でも0.9%増と、3年ぶりにプラスに転じています。
内訳を見ると、「交通・通信」は自動車関連費の増加などで実質6.7%増、「教育」も授業料などを中心に6.8%増となりました。「教養娯楽」もサービス支出が伸び、外出機会の回復が数字に表れています。
一方で、「食料」は実質1.2%減と6年連続のマイナスです。物価高の影響を受け、日々の食費を抑える動きが続いていることがうかがえます。
1.2 実収入:2年連続の実質マイナス、家計はやりくりで対応
勤労者世帯(二人以上世帯)の実収入は、月平均65万3901円でした。名目では2.8%増えたものの、物価上昇を考慮した実質では0.9%減と、2年連続のマイナスです。
手取りにあたる可処分所得も実質1.7%減少しました。平均消費性向は65.0%と上昇しており、収入が伸びない中でも支出を削りきれず、家計のやりくりに苦慮している様子がうかがえます。
2. 家計を支える「貯蓄」は十分か、年代別に見た金融資産
収入が増えにくい中での消費増は、結果として「貯蓄」を取り崩すことにもつながりかねません。実際に各世帯はどれほどの蓄えがあるのでしょうか。
ここからは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにそれぞれの年代の貯蓄額について確認します。(金融資産を保有していない世帯も含む)
※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
2.1 《単身世帯》20代中央値は37万円。資産形成の「二極化」進む
「単身世帯」の貯蓄状況をみてみましょう。
- 20歳代:平均255万円/中央値37万円
- 30歳代:平均501万円/中央値100万円
- 40歳代:平均859万円/中央値100万円
- 50歳代:平均999万円/中央値120万円
- 60歳代:平均1364万円/中央値300万円
- 70歳代:平均1489万円/中央値500万円
2.2 《二人以上世帯》平均は高いが、実態はばらつき大
「二人以上世帯」の貯蓄状況をみてみましょう。
- 20歳代:平均525万円/中央値125万円
- 30歳代:平均1096万円/中央値311万円
- 40歳代:平均1486万円/中央値500万円
- 50歳代:平均1908万円/中央値700万円
- 60歳代:平均2683万円/中央値1400万円
- 70歳代:平均2416万円/中央値1178万円
平均値は一部の富裕層が数値を引き上げているため、データを小さい順に並べてちょうど真ん中にくる「中央値」と比べると、金額に大きな差があることがわかります。
特に単身世帯の中央値は二人以上世帯よりも低い水準にとどまっていることから、消費が回復する一方で、単身世帯を中心に貯蓄面の厳しさは続いていることがうかがえます。
3. まとめにかえて
今回の家計調査からは、数字上の「回復」と、私たちの肌感覚としての「暮らし」の間に、まだ距離があることが読み取れます。収入が伸び悩む中、多くのご家庭が知恵を絞り、家計を守ろうと努力されている様子がうかがえます。
物価や賃金、そして社会保障。これらは決して遠い世界の話ではなく、私たちの毎日の食卓や将来に直結するテーマです。目前に迫った衆院選。この現状をどう捉え、どのような未来を選んでいくのか。
今回のデータが、改めてご自身の暮らしと向き合う一つのきっかけになれば幸いです。
参考資料
村岸 理美