5. データで見る「貯蓄から投資へ」の必然性:私たちは今どこにいるのか?
ここまで「もらえる金額」を見てきましたが、ここからは「そのお金の価値」について、少し視点を変えて解説します。精神論や不安煽りではなく、客観的な統計データを見ると、今なぜ資産形成のスピードを上げるべきかが鮮明になります。
5.1 (1)「失われる購買力」:インフレという名の見えない税金
「100万円」という数字が変わらなくても、「100万円で買えるもの」は減っていきます。これがインフレです。
仮にインフレ率が年率 2.0% で推移した場合、現在の100万円の価値は10年後どうなるでしょうか?
- 現在:100万円
- 10年後:実質価値は 約82万円 に低下
- 20年後:実質価値は 約67万円 に低下
銀行に預けているだけでは、資産は守れません。年金も物価スライドで増額されますが、「マクロ経済スライド」という調整機能が働くため、物価上昇率ほどには年金額が増えない仕組みになっています。
5.2 (2)「30年間上がらない賃金」と「国民負担率」のジレンマ
入ってくるお金(賃金)と、引かれるお金(税・社会保険料)のバランスも変化しています。
- 実質賃金: 過去30年間ほぼ横ばい(OECDデータより)
- 国民負担率: 1990年代の約36%から、現在は約45%前後へ上昇(財務省データより)
現役時代の手取りが圧迫される中で老後資金を捻出するには、労働収入だけに頼るのではなく、お金にも働いてもらう(資産運用)発想が不可欠です。
5.3 (3)老後2000万円問題の「今」
かつて話題になった「老後2,000万円不足」問題。しかし、昨今の物価高騰や寿命の延び(女性の2人に1人は90歳まで生きる時代)を考慮すると、ゆとりある老後には3,000万円〜が必要になるという試算も現実味を帯びています。
統計は「怖がらせるため」のものではなく、「正しく備えるための地図」です。この地図を手に、新NISAやiDeCoといった「インフレに強い資産」を持つことが、現代の防衛策となります。