5. 毎月3.4万円の赤字《65歳以上・無職夫婦世帯》リアルな家計収支データも見てみる

リタイア後の生活資金として、具体的にどれくらいの準備が必要なのでしょうか。総務省のデータから、高齢無職世帯の家計収支を確認します。

65歳以上・無職の夫婦世帯における家計収支の内訳6/7

65歳以上・無職の夫婦世帯における家計収支の内訳

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」

「65歳以上の夫婦のみからなる無職世帯」の家計収支は以下の通りです。

  • 実収入:25万2818円(うち約9割が年金などの社会保障給付)
  • 実支出:28万6877円(生活費+税・社会保険料)
  • 月々の不足額:約3万4000円

平均的なケースにおいても、毎月約3万4000円の赤字が発生しており、これは貯蓄を取り崩して補填する必要があります。医療費や介護費が増加すれば、赤字幅はさらに拡大する可能性があります。

現役時代に形成した資産が、この不足分を補い、老後生活を支える基盤となります。

6. まとめにかえて

40歳代・50歳代は、収入と支出が共にピークを迎える時期です。統計が示す通り、投資による資産形成の効果は家計に表れ始めています。

J-FLECの調査によると、シニア世代が年金にゆとりがないと感じる最大の要因は「物価上昇」です。実際に60歳代・70歳代世帯の半数以上が、インフレによる生活費の増加を懸念しています。

次いで「医療・介護費用の負担増」を挙げる声も多く、公的年金だけでこれらを全てカバーするのは容易ではありません。

インフレによって現金の価値が目減りするリスクがある今、単に預貯金を積み上げるだけでなく、NISAやiDeCoなどを活用して「お金の置き場所」を変えていく視点も求められてくるでしょう。

参考資料