7. まとめにかえて
今回は、70歳代の生活実感のデータを出発点に、貯蓄額、年金受給額、そして毎月の家計収支のリアルな実態を見てきました。
約9割のシニア世帯が生活に「ゆとりがない」と感じている背景には、物価高騰による支出増と、夫婦で年金を受け取ってもなお毎月約3万4000円の赤字が出てしまう厳しい現実があります。
さらに貯蓄額の分布を見ると、「資産3000万円以上」の世帯が約4分の1を占める一方で、「貯蓄ゼロ(非保有)」の世帯も約1割存在しており、世帯間の経済的な格差が顕著になっていることがわかります。
平均寿命が延び、「人生100年時代」が現実のものとなりつつある今、ただ漫然と貯蓄を取り崩すだけでは、いずれ資産寿命が尽きてしまう恐れがあります。老後の安心を確保するためには、以下の3つのステップで対策を講じることが重要です。
家計の「見える化」
- まずは毎月の正確な生活費(支出)と、年金受給額(収入)、現在の貯蓄額を書き出し、現状を把握する。
支出の最適化
- 通信費や不要な保険料、サブスクリプションなど、生活満足度を下げずに削れる「固定費」を見直す。
収入・資産の維持
- 健康なうちは短時間の就労で「稼働所得」を得たり、無理のない範囲で資産運用を活用したりして、貯蓄の減少ペースを緩やかにする。
「老後のお金への不安」は、自分自身の現状が漠然としていることから大きくなる傾向があります。まずはご自身の世帯の収支と客観的なデータを照らし合わせ、長生きリスクに備えたマネープランを立て直してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
マネー編集部貯蓄班