市場に春を呼ぶ金利上昇のニュースが飛び込んできました。2月4日、財務省は個人向け国債の最新募集条件を公表し、変動10年の初回利率は1.48%に設定されました。

日銀による利上げ観測や市場利回りの上昇が続き、国債は今や「預金の代わり」以上の存在感を放っています。

前月の1.39%からさらに水準が切り上がったことで、物価高に悩む家計にとっての受け皿として期待が高まります。

本記事では、発表されたばかりの最新金利の詳細はもちろん、前回の募集内容や、適用利率がこれまでどのように推移してきたかを徹底解剖します。

18年ぶりの高水準と言われる今、安全資産の代名詞である国債をどう活用すべきか、新年度を見据えた投資判断のヒントを探っていきましょう。

1. そもそも個人向け国債とは?日本政府が発行する債券の仕組み

個人向け国債は、財務省、つまり日本政府が発行している債券の一種です。個人の資産形成を目的として特別に設計された金融商品となっています。

国が元本と利息の支払いを保証するため、多くの金融商品の中でも特に信用度が高い運用先とされています。

商品ラインナップには、金利が変動する「変動10年」のほかに、満期まで利率が変わらない「固定5年」と「固定3年」があります。それぞれの運用計画や目的に応じて選べるのが魅力です。

1.1 変動金利型「変動10年」

  • 適用利率は半年に一度見直されます
  • 適用される金利には0.05%の下限が設けられています
  • 市場金利が上がると受け取れる利息が増えるというメリットがあります

1.2 固定金利型「固定5年」

  • 発行時に定められた金利が満期まで固定で適用されます

1.3 固定金利型「固定3年」

  • 発行時に定められた金利が満期まで固定で適用されます

それでは、最新となる2026年2月募集【募集期間:2026年2月5日(木)~2月27日(金)】の個人向け国債の金利は、どのくらいに設定されているのでしょうか。

2. 【2026年2月募集】最新の個人向け国債金利一覧!税引き後の利率は?

2.1 2026年2月募集分の発行条件(募集期間:2026年2月5日~2月27日)

  • 変動金利型10年:1.48%(税引後 1.1793380%)
  • 固定金利型5年:1.66%(税引後 1.3227710%)
  • 固定金利型3年:1.39%(税引後 1.1076215%)

比較のために、前回2026年1月募集分の「個人向け国債の金利」がどの程度だったのかも確認してみましょう。

3. 前回(2026年1月募集)の個人向け国債の金利はどうだったか

2026年1月募集時における「個人向け国債の金利」は、以下の通りでした。

3.1 2026年1月募集分の発行条件(募集期間:2026年1月8日~1月30日)

  • 変動金利型10年:1.39%(2025年11月募集分は1.10%→2025年12月募集分は1.23%)
  • 固定金利型5年:1.59%(2025年11月募集分は1.19%→2025年12月募集分は1.35%)
  • 固定金利型3年:1.30%(2025年11月募集分は0.99%→2025年12月募集分は1.10%)

変動10年、固定5年、固定3年のいずれのタイプも、2025年11月募集分から利率が上昇していることがわかります。

3.2 【最新データ】3種類の個人向け国債で人気なのはどれ?

2026年1月8日に財務省が公表したデータによると、2025年12月における個人向け国債の「種類別応募額」は以下のようになっています。

  • 個人向け利付国庫債券(変動 10年)第189回債:2112億円
  • 個人向け利付国庫債券(固定 5年) 第177回債:2136億円
  • 個人向け利付国庫債券(固定 3年) 第187回債:785億円

このデータからは、特に固定5年の商品に多くの資金が集まっており、高い人気を博していることが見て取れます。

続いて、個人向け国債の「変動10年」における適用利率の推移を詳しく見ていきましょう。

4. 個人向け国債「変動10年」の適用利率はどのように推移してきたか

個人向け国債の「変動金利タイプ」は、6カ月ごとに金利が新たに見直される仕組みが特徴です。

金利の水準は、2024年3月にマイナス金利政策が解除されて以降、緩やかな上昇傾向にあります。

ここからは、個人向け国債の「変動金利」が実際にどのように推移してきたのかを確認します。

個人向け国債「変動10年(第158回)」適用利率の推移

  • 令和5年6月16日から令和5年12月15日:0.28%
  • 令和5年12月16日から令和6年6月15日:0.60%
  • 令和6年6月16日から令和6年12月15日:0.57%
  • 令和6年12月16日から令和7年6月15日:0.65%
  • 令和7年6月16日から令和7年12月15日:0.84%
  • 令和7年12月16日から令和8年6月15日:1.10%

変動10年の第158回発行債は、当初の適用利率0.28%から始まり、その後上昇を続け、直近の利率は1.10%に達しています。

ただし、変動金利であるため、適用利率が常に上昇し続けるとは限りません。市況によっては適用利率が下がる可能性もある点には注意が必要です。

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国債金利の推移

出所:財務省「国債金利情報」をもとにLIMO編集部作成

 

5. 個人向け国債と定期預金、どちらを選ぶべき?判断ポイントを解説

資産形成の選択肢として、「個人向け国債」と「定期預金」のどちらを選ぶべきか、迷っている方も少なくないでしょう。

それぞれの商品の特徴や、資金の使い道、目的、そして何を重視するかによって、どちらが適しているかは異なります。ここでは判断のポイントを解説します。

5.1 個人向け国債が定期預金より有利になり得る3つのケース

個人向け国債の最も大きな特徴は、国が元本と利子の支払いを保証しているという安全性の高さにあります。

1. 資産形成で「守り」と「安心感」を重視する場合

最初の判断基準は、「元本割れのリスクをどれだけ避けたいか」という点です。

一般的な資産運用には価格変動リスクが伴いますが、国債は元本割れの可能性が極めて低い金融商品です。そのため、「できるだけ資産を減らしたくない」と考える方や、退職金などまとまった資金の運用先として有力な選択肢となるでしょう。

また、資産運用にまだ慣れていない方が、価格変動リスクを抑えつつ資産形成を始めたい場合にも向いていると考えられます。

2. 将来の金利上昇を見込んでいる場合

次のポイントは、「今後の金利上昇を期待しているか」どうかです。

変動10年型の個人向け国債は、半年ごとに利率が見直される仕組みになっています。したがって、今後日本の金利が上昇していくと考える場合、この商品が有利に働く可能性があります。

一方で、定期預金は原則として満期まで金利が固定されるため、市場金利が上昇しても途中で受け取る利息が増えることはありません。個人向け国債であれば、金利動向に応じて受取利息が増える可能性があります。

なお、金融機関によっては変動金利型の定期預金を取り扱っている場合もあるため、適用利率の推移なども含めて比較検討することが重要です。

3. 分散投資で安全資産を確保したい場合

「ポートフォリオ全体のバランス」も大切な判断視点です。

株式や投資信託といった価格変動リスクのある資産を保有している場合、資産の一部に安全性の高い個人向け国債を組み入れることで、ポートフォリオ全体の安定性を高める効果が期待できます。

分散投資において、リスク資産と安全資産をバランス良く組み合わせる手段として、個人向け国債の活用は有効な選択肢の一つと言えるでしょう。

5.2 定期預金が個人向け国債より有利になる2つのケース

個人向け国債は、国による元本と利息の保証という高い安全性が魅力ですが、注意すべき点も存在します。

目的や資金の用途によっては、個人向け国債よりも定期預金や他の金融商品が適しているケースも考えられますので、事前に確認しておきましょう。

1. 短期間で資金が必要になる可能性がある場合

ここでの判断ポイントは「解約時の条件」と「資金の流動性」です。

個人向け国債は、原則として購入から1年間は中途換金ができません。また、1年が経過した後に解約する場合でも、直近2回分の利子に相当する額が差し引かれるペナルティがあります。

一方、定期預金は途中で解約しても元本は保証されます。解約時には所定の利率が適用されるなどの条件はありますが、個人向け国債のように利息分が差し引かれる形ではないのが一般的です。

近い将来に資金を使う可能性がある場合は、定期預金の方が柔軟に対応しやすいと言えます。

2. 市場金利が急激に上昇している場合

「金利がどれだけ早く反映されるか」という点も、重要な判断材料になります。

変動10年型の個人向け国債は、適用利率の見直しが半年ごとに行われるのが特徴です。そのため、市場金利が急上昇したとしても、その変動がすぐに国債の利率に反映されるわけではありません。

このタイムラグがあるため、高金利の新しい定期預金へすぐに預け替えができる場合と比較すると、金利上昇局面での収益機会を逃してしまう可能性があります。

6. 個人向け国債や定期預金以外の選択肢を検討すべきケース

個人向け国債や定期預金は、安全性の高さや安定した金利収入が魅力です。しかし、状況によっては他の金融商品に目を向ける方が良い場合もあります。

6.1 物価上昇(インフレ)への対応を考えたい場合

投資判断の一つとして、「実質的な資産価値をどう維持するか」が挙げられます。

インフレ環境下では、個人向け国債の利息収入(名目上のリターン)だけでは、物価の上昇ペースに追いつくことが難しいケースも考えられます。

リスクは高まりますが、株式、投資信託、不動産など、より高いリターンが期待できる、あるいはインフレに連動する仕組みを持つ金融商品の方が、実質的な資産価値を維持しやすい可能性があります。

6.2 より高いリターンを目指したい場合

ここでの判断軸は「機会損失のリスクをどれだけ許容できるか」です。

安全性が高いとされる「個人向け国債」や定期預金は、その分、利回りが低めに設定されがちです。

資金をこれらの商品に固定することで、高金利の社債や高配当株など、より高い利回りを提供する他の金融商品へ投資する機会を逃してしまうリスク(機会損失)も考慮する必要があります。

7. 2026年度の金利高騰期を賢く生き抜く!国債活用術

2026年2月募集の個人向け国債は、変動10年が1.48%、固定5年が1.66%、固定3年が1.39%と、全タイプで前月超えの好利回りを実現しました。

上昇局面では金利に合わせて受取額が増える変動型が有利ですが、現在の高い利率で利益を確定させたいなら固定型も魅力的な選択肢です。

国が保証する元本保証の安心感はそのままに、1万円から始められる手軽さは、投資初心者が一歩を踏み出すのに最適と言えます。

しかし、利回りによっては日本の物価上昇率を下回り、個人向け国債だけではインフレ対策として不十分となる可能性も否定できません。

ご自身の家計状況をよく見極めたうえで、物価高に負けない資産形成を目指すことも重要です。

ただし、より高い利回りを追求すると、それに伴ってリスクも高まるのが一般的です。保有資産全体のバランスを考慮しながら、ご自身に合った資産形成の選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

※当記事は再編集記事です。

参考資料