6月26日、総務省より「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2026年(令和8年)6月分(中旬速報値)」が公表され、総合指数が前年同月に比べ1.7%上昇するなど、身近な物価の上昇を示すデータが示されました。

毎月、将来のために銀行預金でコツコツと貯金に励んでいる方は多いのではないでしょうか。

しかし、昨今の物価高(インフレ)によってお金の実質的な価値が目減りする懸念がある中、「ただ貯金するだけで十分なのだろうか」と不安を感じることもあるかもしれません。

筆者は銀行員時代の経験や、現在メディアで情報を発信している立場を通じても、将来への漠然とした不安を解消するには「正しいデータを知り、有利な制度を活用すること」が第一歩になるとお伝えしています。

実は、同じ金額を積み立てるにしても、銀行に預け続けるか、それとも税制優遇のある「新NISA」を活用して資産運用を行うかによって、将来受け取れる総額には決定的な違いが生じる可能性があります。

特に25年という長期にわたって継続した場合、その格差は数千万円規模にまで拡大することも珍しくありません。

そこで今回は、毎月5万円を25年間積み立てるケースを想定し、通常の「積立預金」と「新NISAによる積立投資」で将来の資産額にどれほどの差が生まれるのか、具体的なシミュレーションを交えて分かりやすく解説します。

1. 「月5万円」を25年続けた場合の貯金額はいくら?

結論からお伝えすると、毎月5万円を銀行預金として積み立てた場合、25年間での元本は合計「1500万円」となります。

近年は日本銀行の利上げの影響もあり、メガバンクの普通預金金利は年0.3%前後まで上昇していますが、資産を大きく増やすには十分とはいえない水準です。

預金金利が年0.4%であると仮定し、この条件で25年間預け続けた場合、得られる利息は約77万円(税引前)にとどまり、最終的な資産額はおよそ1577万円となります。

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月5万円を25年続けた場合預金額

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

ただし、利息には約20%の税金がかかるため、実際に手元に残る金額はこれより少なくなります。

加えて注意したいのがインフレの影響です。

年2%の物価上昇が続いた場合、25年後には同じ商品を購入するのに現在の約1.5倍の金額が必要になります。

そのため、預金額自体は増えていても、お金の実質的な価値は下がる可能性があります。

このように、預金は元本が減りにくいという安心感がある一方で、利息は限定的であり、インフレの影響によって実質的な資産価値が目減りする可能性もあります。

では、同じ「月5万円」を積み立てる場合、より効率的に資産形成を目指す方法はないのでしょうか。

そこで注目されているのが、税制優遇を受けながら投資ができる「新NISA」という制度です。

2. 効率的な資産形成を叶える「新NISA」の仕組みとは?

NISA(少額投資非課税制度)とは、資産運用で得た売却益や配当金に税金が一切かからなくなるお得な制度です。通常であれば、投資信託や株式の運用で得た利益には20.315%の税金が課されますが、NISA口座内で運用していれば、これらがすべて非課税となり、利益を丸ごと手元に残せます。

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新NISAについて

出所:金融庁「NISAを知る」

一例として、毎月5万円を通常の銀行預金で積み立てていくと、25年間の元本合計は1500万円になります。年0.4%の金利で運用できた場合の最終的な資産額は約1577万円となりますが、この時に得られる利息(約77万円)には約20%の税金が課されるため、手元に残る金額は目減りしてしまいます。

しかし、新NISA口座を使って同じように資産形成を行えば、運用によって得た利益はすべて非課税となるため、税金で差し引かれることなく効率的にお金を増やすことができます。

なお、この便利な非課税制度は以前から運用されていましたが、2024年1月に抜本的な拡充が行われ、より強力な「新NISA」へと進化を遂げました。

2.1 使いやすさが大幅に向上した「新NISA」のポイント

新NISAの導入により、旧制度と比較して年間の投資枠が拡大されるなど、多くの投資家にとって利便性の高い仕組みへと刷新されました。

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新NISAについて

出所:金融庁「NISAを知る」

かつての旧NISA(つみたてNISA)では年間の非課税投資限度額が40万円までと決められていましたが、新NISAではその上限が大幅に引き上げられ、まとまった資金の運用にも対応できるようになっています。

さらに、最大の変更点として非課税保有期間が無期限化したことが挙げられます。期間を気にすることなく、何十年にもわたる長期的な目線でじっくりと資産形成を進められるのが魅力です。

では、この新NISAを活用して毎月5万円を積み立てた場合、25年後の資産にはどの程度の差が生まれるのでしょうか。

3. 【利回り別】新NISAで積立投資した場合、25年後の資産額はいくらになる?

本章では、毎月5万円を25年間積み立てた場合について、利回りごとのシミュレーションをもとに資産の変化を確認していきます。

3.1 利回り2%で運用した場合の資産額

毎月5万円を積み立て、期間を25年間、想定利回りを年2%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。

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利回り2%で運用した場合

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

  • 投資元本:1500万円
  • 運用収益:439万円
  • 資産合計(元本+収益):1939万円

3.2 利回り5%で運用した場合の資産額

毎月5万円を積み立て、期間を25年間、想定利回りを年5%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。

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利回り5%で運用した場合

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

  • 投資元本:1500万円
  • 運用収益:1429万円
  • 資産合計(元本+収益):2929万円

3.3 利回り9%で運用した場合の資産額

毎月5万円を積み立て、期間を25年間、想定利回りを年9%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。

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利回り9%で運用した場合

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

  • 投資元本:1500万円
  • 運用収益:3788万円
  • 資産合計(元本+収益):5288万円

年利2%を想定したシミュレーションでは、25年間の積立による運用益はおよそ439万円となり、預金のみの場合と比べると、資産を増やす効果が期待できるといえるでしょう。

さらに、年利5〜9%で運用できた場合には、約1429万円〜3788万円の運用益が見込まれ、最終的な資産額は元本のおよそ2倍から3.5倍になります。

4. 資産差はいくら?「貯金 vs 投資」の決定的な違い

ここまで見てきたとおり、毎月5万円を25年間積み立てた場合、銀行預金では最終的な資産額は約1577万円にとどまります。

一方で、新NISAを活用した積立投資では、利回りによって大きな差が生まれます。

たとえば、年利2%で運用した場合は約1939万円となり、預金と比べて362万円の差が生じます。

さらに、年利5%では約2929万円、年利9%では約5288万円となり、預金との差はそれぞれ約1352万円、約3711万円に広がります。

この差を生み出している要因が「複利」です。

複利とは、運用によって得た利益が元本に組み込まれ、その利益にもさらに利益がついていく仕組みを指します。

積立投資の初期段階では、貯金との違いはそれほど大きくありません。

しかし、運用期間が長くなるにつれて利益が積み重なり、後半になるほど資産の増え方が加速していきます。

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「貯金 vs 投資」の決定的な違い

出所:金融庁「「貯める・増やす」 ~ 資産形成」

このように、資産形成では「いつ始めるか」と「どれだけ長く続けるか」が重要なポイントとなります。

なかでも「運用期間の長さ」は、投資において結果に大きく影響する重要な要素です。

将来の運用成果を正確に予測することはできませんが、長期的に見れば年2%を超えるリターンが期待できる可能性もあります。

新NISAを活用する場合は、無理のない範囲で積み立てを続けることを意識し、継続的に運用していくことが重要です。

将来を見据えて効率的にお金を増やすためには、通常の銀行預金だけに頼るのではなく、税制優遇のある新NISAを上手に取り入れることが有力な選択肢となります。今回の試算の通り、毎月5万円という積立であっても、25年という長期運用を維持することで、複利効果により将来大きな資産差が生まれる可能性があります。投資にはリスクが伴う点を理解しつつ、長期・積立投資の仕組みを活用して、まずは無理のない金額から一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

【免責事項】

  • 本記事は、公開されている公的資料および一般的な情報に基づき作成されたものであり、特定の制度・金融商品・投資行動を推奨するものではありません。
  • 掲載している数値・制度内容・シミュレーション結果は、一定の前提条件のもとでの試算または一般的な事例であり、実際の金額・支給要件・税制・運用成果等を保証するものではありません。制度内容は法改正・自治体運用・経済状況等により変更される可能性があります。
  • 投資に関する記述は、将来の運用成果を示唆または保証するものではなく、元本割れを含むリスクが存在します。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行ってください。

参考資料

中本 智恵