オリエンタルランドの失速が止まりません。株価は2023年まではおおむね好調で、24年1月には5765円の高値をつけます。しかし、以降は右肩下がりの状況です。24年の後半に4000円を明確に割り込み、25年4月には2755円まで下落しました。

25年9月にはいったん3715円まで反発しますが、その後は再び下落トレンドとなります。足元は2700円前後の取引で、24年1月の高値(5765円)からほぼ半値の状況です。

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オリエンタルランドの株価(直近5年)

Tradingview

オリエンタルランドの株価は、なぜ売り込まれているのでしょうか。業績から探ってみましょう。

1. 株主優待:1デーパスポートを進呈 100株で受け取る方法とは

業績の前に、まずは気になる株主優待の情報を押さえておきましょう。

オリエンタルランドの株主優待は株主用パスポートです。1デーパスポートに相当し、「東京ディズニーランド」か「東京ディズニーシー」のいずれかに入園できます。

株主用パスポートは通常、500株以上の保有が必要です。直近の株価(2700円前後)で約135万円が必要で、手軽に受け取れるとは言いづらい状況です。

しかし、3年以上連続して保有するなら100株の保有でも受け取れます。オリエンタルランドは、長期保有株主には上乗せで株主優待を実施しているためです。

長期保有の条件は3年間です。3月末と9月末に連続して7回以上保有していれば株主用パスポートを1枚受け取れます。

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オリエンタルランドの株主優待(1デーパスポート)

出所:株式会社オリエンタルランドの株主優待制度より著者作成

保有株数:3月末・9月末 

  •  500株 :ー・1枚
  • 2000株以上:1枚・1枚
  • 4000株以上:2枚・2枚
  • 6000株以上:3枚・3枚
  • 8000株以上:4枚・4枚
  • 10000株以上:5枚・5枚
  • 12000株以上:6枚・6枚

2. 業績:売上V字回復 利益の改善は一巡

続いて業績を確認しましょう。オリエンタルランドは、コロナ禍からの回復が続いてきました。行動制限で21年3月期は赤字に転落しましたが、売り上げはV字回復となっています。

オリエンタルランドの業績(2016年3月期~2025年3月期)3/6

オリエンタルランドの業績(2016年3月期~2025年3月期)

出所:株式会社オリエンタルランドの決算短信より著者作成

売り上げをけん引したのはゲスト1人あたり売上高です。チケット料金の値上げが奏功し単価が上昇しました。25年3月期は、売り上げおよび各利益がいずれも過去最高を更新します。

オリエンタルランドのゲスト1人あたり売上高とチケット料金(2018年3月期~2025年3月期)4/6

オリエンタルランドのゲスト1人あたり売上高とチケット料金(2018年3月期~2025年3月期)

出所:株式会社オリエンタルランドのファクトブックより著者作成

一方で、利益には一服感もあります。25年3月期は営業利益が前期比4.0%増にとどまりました。「ファンタジースプリングス」といった新規エリア開業に伴い、諸経費や減価償却費が増加し、利益を圧迫している状況です。

3. 業績:今期は5年ぶり営業減益 4~12月好調も株価は下落

足元の業績も確認しましょう。今期(26年3月期)は減益の予想となっています。売り上げは「ファンタジースプリングス」の通年稼働などから堅調を見込む一方で、利益は人件費や諸経費の増加などから減少する見通しです。

3.1 オリエンタルランドの業績予想(26年3月期)

  • 売上高:6933.52億円(前期比+2.1%)
  • 営業利益:1600億円(同-7.0%)
  • 純利益:1133.75億円(同-8.7%)

※同第3四半期時点における同社の予想

第3四半期までの実績は売上高が前年同期比5.0%増、営業利益は4.8%増と好調でした。通期計画に対する進捗率も売上高が76.5%、営業利益が88.4%と消化も順調です。

しかし、通期の予想は据え置かれました。第3四半期までは想定を上回って推移したものの、費用の期ずれ影響や天候リスクなどを踏まえ保守的に判断した模様です。

失望感からか、株価は決算公表の翌営業日に一時3.0%となる2663円まで売られます。

4. 株価上昇のカギは来園者数 若年層の回復鈍い、インフレも逆風

株価についてもう少し掘り下げてみましょう。オリエンタルランドの株価低迷の背景には、来園者数の回復の鈍さがあるとみられます。

オリエンタルランドの来園者数のピークは19年3月期の3256万人です。25年3月期は2756万人と、ピーク時を15%下回ります。

年代別で見ると、ボリュームゾーンの18歳~39歳で減少が顕著です。40歳以上は伸びているものの、全体をカバーするには至っていません。チケットの値上がりが、比較的若い世代の客離れを誘引している可能性があります。

オリエンタルランドの年代別来園者数(2018年3月期~2025年3月期)5/6

オリエンタルランドの年代別来園者数(2018年3月期~2025年3月期)

出所:株式会社オリエンタルランドのファクトブックより著者作成

来園者の減少はインフレも影響しているでしょう。物価は2022年以降に上昇トレンドとなっており、年率で2%~3%の高い水準が続いています。

生活費も上昇していると考えられ、オリエンタルランドのような余暇のサービスに振り向ける余裕が失われているのかもしれません。

消費者物価指数(総合、全国、2018年~2025年)6/6

消費者物価指数(総合、全国、2018年~2025年)

出所:総務省統計局の2020年基準消費者物価指数より著者作成

5. 株価は来園者数の回復待ち 夏場の集客とチケット価格の新制度に期待

来園者の鈍い回復は株価に逆風です。ゲスト1人あたり売上高は堅調ですが、本格的な成長には来園者の絶対数が増加していく状況が望ましいでしょう。

来園者の回復は夏季の集客が1つのカギになりそうです。来園者数は下期が比較的堅調で、25年3月期はピーク時(19年3月期)の90.1%まで回復しました。一方、上期は同78.6%にとどまります。

オリエンタルランドは上期でも来園者を増やす取り組みを実行しています。「サマー・クールオフ」といった夏季イベントを強化しているほか、猛暑を避けやすい夕方からの入園チケットを拡充しました。

もっとも、今期(26年3月期)の上期は2年ぶりに前年同期を上回ったとはいえ、増加幅は微増(+0.4%)にとどまっています。今後の取り組みに期待したいところです。

来園者を巡ってはチケット施策にも注目です。オリエンタルランドは今期の第3四半期決算でチケット料金の「適正価格の設定」に言及しており、値下げに踏み切る可能性があります。

ただし、チケット施策については「ゲストの体験価値を高めることが大前提」とも説明しており、単純な値下げにならない展開も含ませています。チケット施策が期待に届かないものだった場合、株価にはマイナスとなりそうです。

なお、優先的に施設を利用できる「ディズニー・プレミアムアクセス」は、来園前に購入できるサービスを27年中に導入すると表明しました。混雑時の集客増が期待できるため、導入後は来園者の増加に寄与すると考えられます。

参考資料

若山 卓也