また、他にもこんなエピソードが。

「電車で向かいに座った女の子の二人組が娘を見ながら、『この女の子、あんまり可愛くなくない?』『控えめに言ってブス』とヒソヒソ話していた。聞こえているんですけど…」(4歳の女の子の母)

「近所のおばさんが、息子の姿を見るなり大声で『まぁ、デブ!関取!』」(6ヶ月の男の子の母)

「バス待ちをしていると、隣に並んでいた見知らぬ男性が『俺、ガキ大嫌いなんだよね。みてるだけでムカつくし、イライラする』と話しているのが聞こえた。息子はバスが来るのを大人しく待っていただけなのに。もちろん隣にいた息子の耳にも入っていたようで、息子が不安そうにしていたため、その場を離れることにしました」(5歳の男の子の母)

例えば公共の場で大騒ぎしている、マナーやルールを守れていない…。そんな子供にイライラしてしまい、ついついイヤミのひと言でも言いたくなる。その気持ちはわかります。しかし、今回ご紹介したケースは、まったくそれとは異なります。たまたまそこにいた、それだけなのに…。こんな理不尽なことがあってもいいのでしょうか。

言葉を発した側の人間は、悪意があったわけではないのかもしれません。前述した公園での男性の場合は、上手く言いたいことが言えず、そんな言い方になってしまったのかもしれませんね。
しかし、子供の心は傷つきやすいもの。我々が「たいしたことない」と思っても、大きなショックを受けてしまうことも多々あります。

ここで気をつけたいのが、「もしかしたら、うちの子が言われるような何かをしたのでは?」と我が子に原因があるような態度を取ること。「あなたが○○していたから、あんなこと言われるんじゃない?」なんて言ってしまうと「自分はそう言われても仕方ないんだ」という風に子供は捉えてしまいます。

まずは「そんなことない。ママやパパはそんな風に思ったことないし、これからも絶対に思わないから大丈夫」という言葉をかけて、子供の心を癒してあげましょう。

いつだって親は子供の安全地帯でありたいもの。理不尽な発言で傷ついた子供たちが安心できる場所であることが大切です。

見極めも大切です

しかし、ここで気をつけたいのが明らかに我が子がルール違反、マナー違反を犯している場合はこの限りではない、ということ。もちろん、子供が公共の場ではしゃいだり騒いだりしていたからと言って、子供がおびえ傷つくような過激な発言が許されるわけではありません。

しかし、こちらに落ち度がある場合は、そのこともしっかり認め、反省する気持ちも忘れずに。
まったくの理不尽な発言かそうでないか、それを見極めることも大切なのではないでしょうか。

大中 千景