1. シニア世代が見落としやすい「申請が必要な公的給付」とは

定年退職後の生活では、年金以外にも活用できる公的な給付制度が複数存在します。しかし、これらは自動的に支給されるわけではなく、自ら申請しなければ受け取れないケースがほとんどです。

給付金を知っているか知らないかで、受け取れる金額に大きな差が生まれます。該当しそうな制度は早めに確認し、申請期限や必要書類をチェックしましょう。

1.1 年金生活者支援給付金

年金だけでは生活が厳しい低所得の年金受給者を支えるのが、この「年金生活者支援給付金」です。年金受給額や所得が一定の基準を下回る方を対象に、年金に上乗せして支給されます。支給は年金と同じく2カ月ごとの偶数月にまとめて振り込まれる仕組みです。

年金生活者支援給付金の手続きについて1/4

年金生活者支援給付金の手続きについて

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金特設サイト」

支給額は受給している年金の種類によって異なります。老齢年金受給者は月額最大5450円、障害年金受給者は1級6813円・2級5450円、遺族年金受給者は月額5450円です(複数の受給者がいる場合は按分)。

対象者には日本年金機構からはがきが届きますが、見落とすと受給できません。

1.2 高年齢雇用継続基本給付金

60歳を過ぎても働き続ける方が増えていますが、多くの場合、定年前と比べて賃金が大幅に下がります。この給付金は、そうした賃金低下をカバーするための雇用保険制度です。

対象となるのは、雇用保険の被保険者期間が通算5年以上ある60~64歳の方です。60歳時点の賃金と比較して、現在の賃金が75%未満に下がった場合、賃金の最大10%相当額が支給されます(賃金の低下率によって支給率は変動)。

高年齢雇用継続基本給付金の支給額2/4

高年齢雇用継続基本給付金の支給額

出所:ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」

たとえば、60~64歳の賃金が月20万円で支給率が10%なら、毎月2万円が支給されます。手続きは通常、勤務先がハローワークに対して行うため、従業員が個別に申請する必要はありません。

ただし、すべてを会社任せにせず、自分でも支給状況を確認しましょう。勤務先が手続きを忘れているケースもあるため、人事担当者に問い合わせると安心です。

1.3 高年齢求職者給付金

65歳以上で離職した方が受け取れるのが「高年齢求職者給付金」です。通常の失業保険とは異なり、毎月の給付ではなく一時金として一括で支給される点が特徴です。

受給するには2つの条件を満たす必要があります。まず、離職前の1年間に雇用保険の被保険者期間が通算6カ月以上あること。そして、ハローワークで求職の申し込みを行うことです。

給付額は、被保険者だった期間に応じて基本手当日額の30日分または50日分となります。離職後すぐに受け取れるわけではなく、ハローワークでの手続きが必須である点に注意が必要です。

1.4 厚生年金の加給年金

厚生年金の受給者で一定の条件を満たす扶養家族がいる場合、年金に「加給年金」が上乗せされます。いわば「年金の家族手当」のようなものです。

加算される年額は以下のとおりです。

  • 配偶者:23万9300円(配偶者の加給年金の額には、老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、3万5400円から17万6600円が特別加算されます。)
  • 1人目・2人目の子:各23万9300円
  • 3人目以降の子:各7万9800円

申請は、老齢厚生年金の請求手続きと同時に行います。通常、65歳の誕生日の3カ月前に年金請求書が届くため、そこに家族の情報を記載し、必要書類を添えて提出します。

1.5 高齢者住宅改修費用助成制度

自宅をバリアフリー化したいと考えるシニア世帯は少なくありません。介護保険には、住宅改修費用の一部を助成する制度が用意されています。

利用できる上限額は一生涯で20万円です。要支援・要介護の認定区分による差はなく、該当者であれば誰でも同じ上限額まで利用できます。

なお、助成対象となる工事は以下のとおりです。

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便器等への便器の取替え

利用する際は、事前にケアマネジャーへ相談することが必須です。施工業者を決めて見積もりを取得した後、工事着工前に市町村へ申請する必要があります。工事後の申請では助成が受けられないため、手順を守ることが重要です。

複数業者から相見積もりを取り、介護保険対応の実績がある業者を選ぶと安心です。ケアマネジャーから業者を紹介してもらえる可能性があるため、必要に応じて相談してみましょう。

高齢者住宅改修費用助成制度について4/4

高齢者住宅改修費用助成制度について

出所:厚生労働省「介護保険における住宅改修」