職場の人間関係は難しいもので、苦手な人であっても、プライベートのように「絶交したら明日からはもう二度と顔を見なくていい」ということにはなかなかなりません。特にあなたが女性で、内心はちょっと苦手な男性の先輩や上司から「飲みに行かない?」と誘われたときは、断り方にも気を遣います。

 メンタリストでビジネス心理関連の著作も多いロミオ・ロドリゲス Jr.さんは、「こうした場合には、『夜のお店』の女性キャストが身につけているテクニックが参考になります」と話します。同氏の著書『仕事は嫌いじゃないけど、人間関係がめんどくさい!』をもとに、そのテクニックを解説してもらいました。

「あと腐れ」がない断り方が重要

 男性の先輩(上司)からのお誘いって、もちろん気に入っている人であればいいのですが、そうでなければ正直、「めんどくさい」以外の何物でもないですよね。中には単に食事に誘うだけではなく、もっと不純な目的の人もいるので、なおさらです。誘いを断るのは簡単ですが、ヘタに断ると、仕事に影響が出る可能性もあることから、明るく断って、あと腐れがないようにしたいものです。

 そこで、悩める女性にとっておきの方法「ナポレオンエフェクト」をご紹介しましょう。

 ナポレオンといえば、フランス革命期の軍人・政治家であるナポレオン・ボナパルトをイメージする人が多いと思いますが、ここでいうナポレオンは、そのご本人のことではなく、高級ブランデーの「ナポレオン」です。

「CAMUS NAPOLEON(カミュ・ナポレオン)ブック・ゴールド」などは2万円台で仕入れることはできますが、女性キャストがいる夜のお店などでは、8~10万円で出している場合もあり、高額なお酒としてもよく知られています。

 では、なぜこのテクニックに、このお酒の名前が付いているのでしょうか?

女性キャストのギリギリの技術

 実は、この値段以上のお酒をお客に下ろしてもらうためには、ラウンジなどの女性キャストは、ギリギリの線の営業トークをしなければなりません。

 ラウンジやスナックなどは、いわば「疑似恋愛」をする場所であり、実際に女性たちとの時間を男性がお金で買うと言っても過言ではありません。しかし、一度、体の関係を持ってしまうと、その均衡が崩れるのは簡単に想像できると思います。

 そこで、男性に高額のお酒を下ろしてもらいつつ、ギリギリで体の関係は持たせないというのが、女性キャストのプロフェッショナルとしての姿勢であり、稼ぐためには必要な技術です。その最低限ギリギリの境界線が「ナポレオン」というわけです。

 対して男性は、お酒を下ろしたあとにアフター(お店が終わった後に夜の街に食事や遊びに行くこと)などに誘い、さらにその後の関係までを期待するわけです。ナポレオンであれば、もちろん個人差はありますが、ギリギリ頑張って出せる値段でもありますので、気に入った女性キャストなら、頑張ってみようとするわけです。

プロの断り方はどんなもの?

 では、夜のお店の女性キャストたちがお酒を下ろしてもらったあと、アフターのホテルに誘われた言葉に対して、どのように返すのかを見ていきましょう。

「奥さまがいるのに、私はそんな軽くありませんよ」
「〇〇ちゃんも一緒に行きたいって! もう、さすがモテモテだね」
「え~、だって、店長がこのあたりでウロウロしているから見つかっちゃう」
「もう、そういうのはお酒飲んでないときに誘って。勢いで誘われるのは悲しいから」
「もう、大事なお子さまたちが悲しみますよ。△△さんって奥さまを大事しているから好きなのに」

 男性諸氏が、気に入っている女性キャストにこれを言われている瞬間の顔が目に浮かびます。

普通の人のための「断り方」5選

 女性のあなたが先輩から食事に誘われ、このような「カラダ目的」パターンになりそうな雰囲気なら、ぜひ同じような言葉を使ってみましょう。先ほどのものはあくまで夜のお店の女性キャスト用のものなので、ぜひこちらの言葉を使ってみてください。

「そんなことをしないで、ちゃんと家族を大切にしてください。家族を大切にしている先輩が好きです」
 →キッパリと上から言うのが重要。男性は意外と戸惑います。

「大事なお子さんが悲しみますよ」
 →事前にお子さんの写真などを見せてもらいましょう。

「えぇ~、ムリムリ~、絶対ムリですよ~。ありえなくないですか~?」
 →努めて明るく断るようにしてください。明るく断れば相手のメンツが保てます。

「本当に先輩は素敵な人です。だから絶対に不倫なんてしないでください」
 →既婚者には特に有効です。真剣に訴えてください。ちゃんと引いてくれます。

「いまはもう誰がどこで見ているかわからない時代ですよ。SNSとかもあるから、拡散したら一瞬ですから」
 →いわゆる脅し。社会的信用がなくなるのでビビります。

筆者のロミオ・ロドリゲス Jr.氏の著書(画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします)

とっておきの「奥の手」

 そしてとっておきの言葉はこれです、相手が独身男性なら使ってみてください。

「先輩、責任を取って結婚してくださいね。私はクリスチャンですから、結婚する相手としか肉体関係を結ばないんです」

 私自身もクリスチャンですが、宗教的背景まで持ち出されると、男性はお手上げです。いつも苦手な人に誘われて、迷惑をこうむっている女性のみなさまは、ぜひこの「ナポレオンエフェクト」で安心を手に入れてください。


■ ロミオ・ロドリゲス Jr.(Romeo Rodriguez Jr.)
1972年香港生まれ。メンタリスト。幼少時より英国・カナダ・日本とさまざまな国で生活し、4カ国語を操る。2010年には香港大学の専修科でメンタリズムの講師として抜擢される。経営・営業・サービスや接客業などビジネスの現場で「いかに人の心を読むか」を指導。ビジネス心理術に特化した説得術・交渉術・読心術・営業術・人心掌握術を得意としている。

ロミオ・ロドリゲス Jr.氏の著書:
仕事は嫌いじゃないけど、人間関係がめんどくさい!

ロミオ・ロドリゲス Jr.