2. 年金支給額は増額でも実質目減りという見通し

前章で触れたように、2026度の年金支給額は昨年度より増額となりますが、実際には目減りするという見通しです。

物価の伸びに現役世代の収入が追い付いていないことや、マクロ経済スライドの適用などの影響によるためです。

年金支給額に影響を与えるマクロ経済スライドとはどのような制度なのか、理解しておく必要があります。

2.1 マクロ経済スライドとは

マクロ経済スライドとは、物価や賃金が上昇しても、同様に年金額を増やさないことで、将来の年金財源を守る仕組みです。

2004年から導入され、2026年度を含め過去7回発動しています。

マクロ経済スライドによるスライド調整率2/2

マクロ経済スライドによるスライド調整率

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

【マクロ経済スライド率】
公的年金被保険者総数の変動率(0.1%)+平均余命の伸び率(▲0.3%)=▲0.2%
ただし、2025年の年金制度改正により、厚生年金の調整率は▲0.1%

本来であれば、年金は物価や賃金の上昇に従い同じように増加することになっています。

しかし、マクロ経済スライドが発動することでスライド率が差し引かれ、実際の物価上昇分ほどは増えず、実質目減りした状態になります。

結果として、数字上は年金受給額が増加しても、実際の生活は苦しくなると考えられます。

さらに、貯蓄の切り崩しペースが早まったり就労を継続する必要性が増したりする影響もあるでしょう。