2026年度は年金額の引き上げに加え、国民年金保険料の改定や在職老齢年金制度の見直しが予定されており、「いくらもらえるのか」「働き続けると年金はどうなるのか」と気になる人も多いでしょう。

特に、定年後も働く選択をする人が増えるなかで、年金と収入の関係を正しく理解しておくことが重要です。

本記事では、日本の公的年金制度の基本構造をおさらいしたうえで、2026年度の最新年金額や制度改正のポイントを解説します。

1. 日本の年金制度は「2階建て構造」

日本の公的年金制度は、「すべての人が加入する国民年金」と「会社員や公務員などが加入する厚生年金」の2階建て構造になっています。

1.1 【第1階部分:国民年金(基礎年金)】

  • 対象:20歳以上60歳未満の全国民
  • 保険料:一律
  • 受給額:40年間保険料を納めると、満額で月額7万608円(2026年度基準)

1.2 【第2階部分:厚生年金】

  • 対象:会社員、公務員など
  • 保険料・年金額:現役時代の収入や加入期間によって決まる(個人差あり)
  • 将来受給する年金:国民年金に加え、厚生年金も上乗せして受け取る

さらに老後の備えとして、公的年金に加えて次のような私的年金制度も活用できます。

  • 企業年金
  • iDeCo(個人型確定拠出年金) など

2. 【2026年度】標準的な夫婦のモデル年金額はいくら?

2026年1月23日、厚生労働省は2026年度の年金額改定を公表しました。国民年金は前年度比1.9%、厚生年金は同2.0%の増額となっています。

今回の改定を受け、標準的な夫婦世帯が受け取る年金額がどの程度になるのか、最新の水準を確認していきましょう。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額・1人分)):7万608円(+1300円)
  • 厚生年金(夫婦2人分):23万7279円(+4495円)

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

夫婦2人分の標準的な年金額は23万7279円となっており、1回あたり(2ヵ月に1度)の支給額は47万4558円となります。

3. 2026年度は国民年金保険料も引き上げに

国民年金保険料は、賃金や物価の動向を反映した「保険料改定ルール」に基づき、毎年度見直されています。近年は賃金上昇や物価高の影響を受け、保険料も緩やかな上昇基調が続いています。

2026年度の国民年金保険料は月額1万7920円 となり、前年度から410円の引き上げが行われる見込みです。

月額では数百円の増加に見えますが、年間では約5000円の負担増となるため、自営業者やフリーランスなど、国民年金を全額自己負担している人にとっては家計への影響も無視できません。

一方で、国民年金保険料は将来の老齢基礎年金の財源となる重要な負担です。未納期間が生じると、将来受け取れる年金額が減るだけでなく、障害年金や遺族年金の受給資格にも影響します。

負担が重いと感じる場合は、免除・納付猶予制度や付加年金、iDeCoなど、制度を組み合わせた老後資金対策も検討しておくとよいでしょう。保険料の改定をきっかけに、自身の年金と家計のバランスを見直してみることが大切です。

4. 働くシニアが知っておきたい「在職老齢年金制度」とは?2026年度には見直しも

老後の収入源として年金を受け取りながら働く人にとって、「在職老齢年金制度」は非常に重要な制度です。

2026年度から、この制度に見直しが入ることが決まっており、特に60歳代前半の就労世代には大きな影響があります。

4.1 在職老齢年金とは?

在職老齢年金とは、60歳以降に老齢厚生年金を受け取りつつ、会社員などとして働いている人が対象となる制度です。

給与や賞与などの「報酬」と年金の合計額が一定の基準額を超えると、その超過分に応じて年金の一部、あるいは全部が支給停止となります。

近年では「働き控えを招いている」との批判も多く、制度の見直しが求められていました。

4.2 支給停止の基準額が大幅に引き上げられる

在職老齢年金の「支給停止調整額」(いわゆる年金が満額支給される収入の上限額)は、以下のように段階的に引き上げられてきました。

  • 2022年度:47万円
  • 2023年度:48万円
  • 2024年度:50万円
  • 2025年度:51万円
  • 2026年度:65万円

今回の見直しにより、2026年4月以降は月額65万円までの収入であれば、年金が全額支給されることになります。

これまで年金支給額が一部または全額カットされていた人にとっては、大きなプラスになるでしょう。

また、制度改正によって「働くほど損をする」というイメージが薄れ、60歳以降の労働意欲を高める効果が期待されています。

特に、年金を受け取りながら再雇用などで働いている人にとっては、収入と年金の両立がしやすくなる点がメリットです。

とはいえ、実際にどのくらい働くか、いつまで働き続けるかは人それぞれ。

健康状態やライフプラン、家族の状況などを踏まえて、柔軟に働き方を見直すことが大切です。

5. まとめ

2026年度は年金額が引き上げられる一方、国民年金保険料も増額となり、受け取る側・支払う側の双方に影響が及びます。

また、在職老齢年金制度の見直しにより、年金が満額支給される収入の上限が大きく引き上げられ、年金を受け取りながら働きやすい環境が整いつつあります。

制度改正をきっかけに、自身の年金見込み額や今後の働き方を見直し、将来の生活設計を考えてみましょう。

参考資料

加藤 聖人