2025年度の所得に対する確定申告が、2026年2月16日(月)から受付スタートします。
年金生活者の中には「年金に税金がかかるの?」「年金も確定申告が必要?」などの疑問を感じている人もいるでしょう。
本記事では、確定申告を絶対にすべき人・しなくいい人の違いについて解説します。確定申告不要でもしたほうがいい人も紹介しますので、年金生活者の人は確認しておきましょう。
1. 年金にかかる税金とは
最初に、年金にかかる税金の基本について確認しておきましょう。
1.1 年金にかかる税金
年金所得やその他の所得が一定以上になると、年金にも所得税や住民税がかかります。
会社員や不動産収入などがある人は、年金以外の所得を合算して課税(総合課税)されます。課税対象となる年金は、年金の支給額から次の「公的年金等控除」を差し引いた年金所得です。
- 65歳未満の公的年金等控除額:60万円(年金額130万円未満)
- 65歳以上の公的年金等控除額:110万円(年金額330万円未満)
1.2 税金は原則として年金から天引き
年金にかかる所得税や住民税は、原則として年金から天引きされます。所得税が源泉徴収されるのは、年金から公的年金等控除と基礎控除を差し引いた課税所得のある、次の年金生活者です。
【令和7年分まで】
- 65歳未満:年金収入108万円以上
- 65歳以上:年金収入158万円以上
【令和8年分以降】
- 65歳未満:年金収入155万円以上
- 65歳以上:年金収入205万円以上
なお、事前に「扶養控除等申告書」を提出することで、配偶者控除や扶養控除などの人的控除も源泉徴収税額に反映されます。
2. 【年金生活者】確定申告を絶対にすべき人・しなくていい人の違い
年金に対する税金は年金支給時に源泉徴収されているため、以下の2つの要件をともに満たす年金生活者は確定申告不要です。
- 年金収入が400万円以下
- 年金以外の所得が20万円以下
「年金以外の所得」とは、パート・アルバイトの給与所得や生命保険・個人年金、不動産所得などが該当します。
一方、以下の要件のどちらか一方を満たす人は絶対に確定申告しなければなりません。
- 年金収入が400万円超
- 年金以外の所得が20万円超
確定申告の要・不要は、年金収入と年金以外の所得によって決まるということです。
ここまで、年金にかかる税金の基本と確定申告を絶対にすべき人・しなくていい人の違いについて解説しました。次章では、確定申告不要でも確定申告をしたほうがいい年金生活者と確定申告に関する注意点を紹介します。
3. 確定申告をしたほうがいい年金生活者
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先程「確定申告不要」と説明した年金生活者の中にも、確定申告を行うことで税金が安くなる人もいます。
源泉徴収では考慮されない、医療費控除など各種控除の適用が受けられるからです。
確定申告によって税金が還付される可能性があるため、以下の控除が受けられる場合は確定申告を検討しましょう。
- 医療費控除(家族を含めて年間で10万円超える医療費を支払った場合など)
- 社会保険料控除(年金天引き以外で国民年金保険料や国民健康保険料などを支払っている場合)
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除(「ワンストップ特例制度」を利用しないでふるさと納税した場合など)
- 雑損控除(災害や盗難などによって住宅・家財に損害を受けた場合) など
4. 確定申告に関する注意点
年金生活者の確定申告について、注意すべき点を2つ紹介します。
4.1 扶養控除等の申告漏れに注意
2025年度税制改正により、配偶者(特別)控除や扶養控除などの対象者が拡大しました。
また、19歳以上23歳未満の扶養親族に対する「特定親族特別控除」が新設されました。対象者を再確認して、申告漏れがある場合は確定申告によって対応しましょう。
対象者の所得基準は次の通り変更されました。
- 扶養控除:48万円(年収103万円以下)→58万円(年収123万円以下)
- 配偶者控除:48万円(年収103万円以下)→58万円(年収123万円以下)
- 配偶者特別控除:48~133万円(年収103万円超201万5999円以下)→58~133万円(年収123万円超201万5999円以下)
また、19歳以上23歳未満の親族について、年収188万円までは所得に応じた特定親族特別控除が適用されます。年収150万円までは扶養控除(特定扶養控除)と同額の63万円の所得控除がうけられます。
4.2 住民税の確定申告
確定申告が不要な年金生活者でも、住民税の申告が必要なケースがあります。次のいずれか一方に該当する人は住民税の申告をしましょう。
- (ケース1)年金所得のみで社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除、基礎控除等以外の各種控除の適用を受けるとき
- (ケース2)年金以外の所得があるとき
ケース1では確定申告して所得税と住民税で各種控除の適用を受けるのが一般的で、確定申告せずに住民税の申告のみを行うことはあまりないでしょう。
忘れがちなのは、年金以外の所得が20万円以下の場合です。確定申告は不要ですが住民税の申告は必要です。
5. まとめにかえて
確定申告を絶対にすべき人・しなくいい人の違いは、年金収入と年金以外の所得の額です。
「年金収入400万円以下」かつ「年金以外の所得が20万円以下」なら確定申告不要、それ以外は必要になります。
ただし、確定申告不要の人でも、確定申告することによって所得税の各種控除の適用が受けられて税金が安くなるケースもあります。
確定申告の要・不要と各種控除の適用の有無などを基に、確定申告するかどうかを判断しましょう。
参考資料
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
- 日本年金機構「老齢年金から源泉徴収される所得税の控除を受けるとき」
- 国税庁「所得控除のあらまし」
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」
西岡 秀泰