2. 積立+保有(運用継続)のメリットとは?

今回のシミュレーションは、単に積立を行うだけでなく、積立終了後の資産を売却せずに「運用を継続したまま保有し続ける」という点が重要なポイントです。 ここからは、積立期間終了後にあえて「保有」を選択するメリットや、どのようなライフスタイルの人に適しているかについて解説します。

2.1 保有期間中の複利効果による資産拡大

シミュレーション結果からもわかるとおり、積立終了直後(1131万円)と、その後15年間保有した後(1762万円)では、最終的な資産額に約600万円の差が生じています。

これは、積立を追加しなくても、保有資産が値上がりすることで、その増加分がさらに次の成長の元となり、複利の効果で雪だるま式に資産が増えていくためです。NISA口座内で保有し続けるだけでも、銀行口座で現金を眠らせておくのと比べて、大きな成果につながる可能性があることを示しています。

もちろん、投資である以上、期待通りのリターンが得られなかったり、景気後退により一時的に元本割れを起こしたりするリスクはゼロではありません。ご自身のリスク許容度を考慮した上での判断が必要ですが、長期保有はリスクを平準化する効果も期待できます。

2.2 積立資金が不足した時の柔軟な対応

老後に向けて「月5万円の積立」を目標に設定しても、ライフステージの変化によって継続が難しくなる時期があるかもしれません。

内閣府「令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果(概要版)」によると、無理なく生活するために必要な1か月あたりの生活費は平均24.8万円とされており、家計の状況によっては日々の生活費や手元の現金を優先すべき場面も出てくるでしょう。

しかし、2024年から始まった新NISAは制度が恒久化されており、非課税保有期間も「無期限」となっています。そのため、もし積立資金が不足した場合には、無理をして毎月同じ額を投資し続ける必要はありません。家計に合わせて積立額を減らしたり、一時的に積立をストップ(休止)したりと柔軟に対応することができます。

途中で積立をストップしたとしても、それまで積み上げた資産を急いで売却する必要はありません。そのままNISA口座内に置いておくだけで、無期限かつ非課税での運用を継続することができます。

さらに、万が一まとまった資金が必要になり保有商品を一部売却したとしても、新NISAでは商品を売却した場合、翌年以降にその商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります。このように、ご自身の状況に合わせて「休む」「減らす」「(一部を)使う」という選択肢を柔軟に取れることこそが、新NISAを利用する大きなメリットと言えます。

2.3 NISA制度のメリットを享受できる

今回のシミュレーションにおける最大のポイントは、これら全てをNISA口座内で行っている点です。積立終了後も資産をNISA口座に置いておくことで、その期間に増えた利益に対しても非課税メリットを享受し続けることができます。

通常、特定口座などの課税口座で運用した場合、売却時の利益に対して約20%の税金がかかります。今回の例で言えば、862万円の利益に対して約172万円が税金として差し引かれるため、手元に残る利益は約690万円に目減りしてしまいます。 しかし、NISA口座で保有・運用を継続していれば、この約172万円の税金は一切かかりません。利益である862万円をまるごと受け取ることができる点は、長期投資において極めて大きなアドバンテージとなります。

NISAのメリット「運用益が非課税」3/3

NISAのメリット「運用益が非課税」

出所:金融庁「NISAを知る」

2.4 必要な分だけ「一部売却」も可能

今回は、積み立てた資産をすべて15年間保有し続ける前提でシミュレーションしましたが、実際の運用では、必要に応じて一部だけ売却して現金化したり、複数回に分けて売却したりするなど、柔軟な活用が可能です。

NISA口座での売却益は非課税であり、他の所得と合算されて所得税・住民税に影響することもありません。そのため、税負担を過度に気にすることなく、自分の資金繰りやライフイベントに合わせて売却タイミングを決められます。

年利回りがプラスで推移している局面では、保有期間が長いほど複利効果が働きやすくなります。そのため、必要な資金分だけを都度売却していき、最終的な保有期間を長期化するといった方法も有効です。