新年を迎え、新たな気持ちで生活設計を考えている方も多いのではないでしょうか。来月2月13日には、2025年12月分と2026年1月分の年金が支給されます。「自分の年金額は平均と比べてどうなんだろう?」と、気になる方もいらっしゃるかもしれません。

日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2種類で構成されており、その仕組みは「2階建て」構造と表現されることがあります。

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

実際に受け取れる年金額は人によって異なります。今回は、厚生労働省の最新統計や終活に関する調査結果をもとに、60歳代から80歳代の平均年金月額や、シニア世代の「終活」の実態について詳しく解説します。

1. 70歳代以上の終活、約4人に1人エンディングノート持っているが約半数「書けていない」

【全体・男女別・年代別】終活に対するイメージのグラフ

出所:NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)

平均寿命が延びている現代において、老後や自身の死後を見据えた「終活」に対する関心が高まっています。

NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)が2025年7月に公表した『第2回終活意識全国調査報告書【確定版】』によれば、20歳代から80歳代の男女2052名のうち、96.2%もの人が「終活」という言葉を認知していることがわかりました。

この結果から、2009年に登場したとされる「終活」という言葉が、広く社会に浸透したことがうかがえます。

しかし、終活に対するイメージとしては「亡くなったときのための準備」といったネガティブな側面が依然として強く、70歳代以上では7割がこのような印象を抱いています。

「人生の後半期を活動的に過ごすための準備」とポジティブに捉える人も増えていますが、まだマイナスイメージを払拭するには至っていないのが現状のようです。

1.1 終活の第一歩はエンディングノートの活用から

老後の資金計画を立てた後、具体的な終活のアクションに移る際に役立つのがエンディングノートです。

NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)の『第2回終活意識全国調査報告書【確定版】』によると、「エンディングノート」という言葉の認知度は全体の84.3%に上ります。しかし、実際の行動には世代間で大きな違いが見られます。年代別に所有率と記入率を確認してみましょう。

【年代別】エンディングノートの認知・所有・実行状況

  • 20歳代
    • 認知度:60.7%
    • 所有率:6.3%
      • うち記入率:92.2%
  • 30歳代
    • 認知度:74.1%
    • 所有率:5.2%
      • うち記入率:76.9%
  • 40歳代
    • 認知度:85.3%
    • 所有率:7.5%
      • うち記入率:77.3%
  • 50歳代
    • 認知度:86.6%
    • 所有率:8.5%
      • うち記入率:64.0%
  • 60歳代
    • 認知度:92.5%
    • 所有率:16.0%
      • うち記入率:53.8%
  • 70歳代以上
    • 認知度:93.9%
    • 所有率:24.2%
      • うち記入率:50.6%

エンディングノートの認知度は年齢とともに上昇し、60歳代以上では9割を超える高い水準に達します。

その一方で、実際に所有している人の割合をみると、70歳代以上が最も高く24.2%となっており、数字上ではおよそ4人に1人が所持している計算になります。これに対して、50歳代以下ではいずれも1桁台にとどまっています。こうした差は、若い世代にとって終活がまだ切迫したテーマとして捉えられていないことが一因と考えられます。

さらに、所有者のうち実際に記入している人の割合は、年齢が上がるほど低下する傾向にあり、70歳代以上では50.6%と最も低くなりました。

エンディングノートの利点は、お墓の準備や相続手続きといった複雑な手順を要する他の終活とは違い、誰でも手軽に一人で始められることです。

自身の金融資産やデジタル遺品などを整理する最初のステップとして、エンディングノートを書き始めるのは非常に有効な方法といえるでしょう。

【調査概要】NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)

  • 調査目的 :高齢社会における終活意識の実態を明らかにし、個人が豊かで安心した人生後半期を送るための支援策や啓発活動に役立てること
  • 調査対象 :20~89歳の男女
  • 調査地域 :全国
  • 調査方法 :インターネットリサーチ
  • 調査時期 :2024年12月4日(水)~12月6日(金)
  • 回答者数 :2052名
  • 割付方法 :人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
  • 調査委託先 :株式会社マクロミル

2. 60歳~89歳までの厚生年金、みんなのもらえる平均月額はいくら?

終活がなかなか進まないという状況が見えましたが、まずは家計の基盤である「年金」の現状を把握し、自身の資産を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。ここでは、現在のシニア世代が実際に受け取っている年金額の目安を確認していきます。

厚生労働省年金局が公表した『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』を基に、年齢別の平均年金月額を一覧で見ていきましょう。

まずは、国民年金部分を含む厚生年金の平均月額から確認します。

2.1 60歳代(60〜69歳)の厚生年金 平均月額データ

60歳代の厚生年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 60歳:9万9664円
  • 61歳:10万4455円
  • 62歳:10万9323円
  • 63歳:6万8758円
  • 64歳:8万3901円
  • 65歳:14万9862円
  • 66歳:15万2378円
  • 67歳:15万2356円
  • 68歳:15万2709円
  • 69歳:15万1284円

※65歳未満の受給額には、特別支給の老齢厚生年金のうち報酬比例部分のみを受け取っている方が含まれています。これは定額部分の支給開始年齢が引き上げられているためです。

2.2 70歳代(70〜79歳)の厚生年金 平均月額データ

70歳代の厚生年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 70歳:15万455円
  • 71歳:14万8371円
  • 72歳:14万6858円
  • 73歳:14万5583円
  • 74歳:14万7774円
  • 75歳:15万1410円
  • 76歳:15万1241円
  • 77歳:15万962円
  • 78歳:15万862円
  • 79歳:15万3115円

2.3 80歳代(80〜89歳)の厚生年金 平均月額データ

80歳代の厚生年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 80歳:15万3729円
  • 81歳:15万5460円
  • 82歳:15万7744円
  • 83歳:15万9994円
  • 84歳:16万2555円
  • 85歳:16万3947円
  • 86歳:16万5577円
  • 87歳:16万5557円
  • 88歳:16万6200円
  • 89歳:16万6767円

年金の受給開始は原則65歳からです。データを見ると、65歳以降の厚生年金の平均月額は、おおむね14万円台から16万円台で推移していることがわかります。

3. 60歳~89歳までの国民年金、みんなのもらえる平均月額はいくら?

次に、国民年金(老齢基礎年金)の平均受給月額を年齢別に見ていきましょう。

3.1 60歳代(60〜69歳)の国民年金 平均月額データ

60歳代の国民年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 60歳:4万5186円
  • 61歳:4万6371円
  • 62歳:4万7784円
  • 63歳:4万7258円
  • 64歳:4万7896円
  • 65歳:6万1240円
  • 66歳:6万1369円
  • 67歳:6万1345円
  • 68歳:6万1293円
  • 69歳:6万978円

※65歳未満で国民年金(老齢基礎年金)を受け取っている方は、繰上げ受給を選択したケースです。

3.2 70歳代(70〜79歳)の国民年金 平均月額データ

70歳代の国民年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 70歳:6万1011円
  • 71歳:6万770円
  • 72歳:6万234円
  • 73歳:6万32円
  • 74歳:5万9813円
  • 75歳:5万9659円
  • 76歳:5万9555円
  • 77歳:5万9349円
  • 78歳:5万9124円
  • 79歳:5万8676円

3.3 80歳代(80〜89歳)の国民年金 平均月額データ

80歳代の国民年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 80歳:5万8623円
  • 81歳:5万8269円
  • 82歳:5万8003円
  • 83歳:5万7857円
  • 84歳:5万9675円
  • 85歳:5万9425円
  • 86歳:5万9228円
  • 87歳:5万9204円
  • 88歳:5万8756円
  • 89歳:5万8572円

65歳以降の方が受け取る国民年金(老齢基礎年金)の平均月額は、5万円台から6万円台が中心となっているようです。

4. 年金の平均を把握し、将来の生活設計や「前向きな終活」をはじめるきっかけに

今回は、60歳代から80歳代の平均年金月額と、シニア世代の終活の実態について解説しました。厚生年金の平均月額は65歳以降で14万円~16万円台、国民年金は5万円~6万円台が目安となっています。

また、多くの人が終活に関心を持ちながらも、具体的な行動に移せていない現状も明らかになりました。エンディングノートの活用は、手軽に始められる終活の第一歩です。

ご自身の年金額を把握することは、将来の生活設計や前向きな終活を始める良いきっかけになります。まずは平均額と比較し、ご自身の状況を客観的に見つめ直してみてはいかがでしょうか。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部年金班