次の年金支給日は6月15日。増額となった4月分、5月分を6月に受け取れるため、楽しみにする方も多いでしょう。

昨今の物価高に伴い、年金受給額も増額改定が行われるなど、公的年金を取り巻く環境は常に変化しています。「多様な働き方」が当たり前になった今、将来の自分たちが手にする年金額に不安や関心を抱くのは、決してシニア世代だけではありません。現役時代のキャリア選択は、将来の受給額にどう反映されるのでしょうか。

そこでこの記事では、厚生労働省が示す最新のモデルケースや、現在のシニア世代が実際に受け取っている平均額を参考に、そのリアルな実態を整理します。

1. 次の年金支給日は6月15日!国民年金・厚生年金の概要をおさらい

日本の公的年金には、老齢年金のほか、ケガや病気によって仕事や日常生活に支障が生じた場合に受け取れる「障害年金」、一家の生計を支えていた人に万が一のことがあった際に支給される「遺族年金」という、3つの保障機能があります。

「年金」と聞くと、引退後に受け取る「老齢年金」を思い浮かべる人が多いかもしれません。

日本の年金制度は「2階建て構造」と呼ばれ、1階部分の「国民年金(基礎年金)」と、2階部分の「厚生年金」で構成されています。

現役時代の働き方や加入状況によって、将来受け取る年金額が大きく変わる仕組みです。

ここでは、「国民年金」と「厚生年金」の基本的な内容と、それぞれの「老齢年金の受給額」について整理していきます。

1.1 1階部分:国民年金の概要

加入対象者は?

  • 原則として日本に居住する20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)

年金保険料は?

  • 全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)

老齢年金の受給額は?

  • 保険料を全期間(480カ月)納付すれば、65歳以降で満額(※2)の老齢基礎年金を受給できる

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.2 2階部分:厚生年金の概要

加入対象者は?

  • 会社員や公務員、またパート等が特定適用事業所(※3)で働き一定要件を満たした人(国民年金に上乗せで加入)

年金保険料は?

  • 収入に応じて(上限あり)変わる(※4)

老齢年金の受給額は?

  • 加入期間や納付した保険料により個人差が出る

このように、国民年金と厚生年金では、加入対象者や保険料の決まり方、老齢年金額の計算方法などが異なります。

そのため、現役時代の年金への加入状況によって、実際に受け取る老齢年金額には個人差が生じます。

※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

1.3 【年金カレンダーを見る】2026年度の年金支給日はいつ?

公的年金は、原則として「偶数月の15日()」に、支給月の前々月分と前月分を合わせた2カ月分が支給されます(後払い方式)。

2026年度の「年金支給日」、以下のとおりです。

  • 2026年4月15日:2026年2月と3月分
  • 2026年6月15日:2026年4月と5月分
  • 2026年8月14日:2026年6月と7月分
  • 2026年10月15日:2026年8月と9月分
  • 2026年12月15日:2026年10月と11月分
  • 2027年2月15日:2026年12月と2027年1月分

「15日」が土日・祝日の場合は直前の平日に前倒しされる

2. 「平均年収610万円」で「40年働いた」男性、厚生年金と国民年金は《将来の年金額》は目安でいくらになる?

働き方や生き方が多様化するなか、「将来、自分はいくら年金を受け取れるのだろう」と気になっている人もいるでしょう。

厚生労働省は、今回の年金改定の公表にあわせて、「多様なライフコースに応じた年金額の例」も示しています。

ここでは、年金加入の経歴を5つのパターン(男性2パターン、女性3パターン)に分け、「2025年度に65歳となる人」を想定した年金額の概算が紹介されています。

多様なライフコースに応じた年金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」

2.1 ケース①:男性・厚生年金期間中心の年金額例

《年金月額》17万3457円

  • 平均厚生年金期間:39.8年
  • 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
  • 基礎年金:6万8671円
  • 厚生年金:10万4786円

会社員として長く働いてきた人の標準的なモデルケースでは、将来受け取る年金額は月額17万3457円とされています。

これは「老齢基礎年金」6万8671円と、現役時代の給与や加入期間によって決まる「老齢厚生年金」10万4786円を合計した金額です。

平均年収およそ610万円で約40年間、継続して厚生年金に加入した場合、老後は毎月17万円台の年金を受け取りながら生活するイメージとなります。

2.2 ケース②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心の年金額例

《年金月額》6万2344円

  • 平均厚生年金期間:7.6年
  • 平均収入:36万4000円
  • 基礎年金:4万8008円
  • 厚生年金:1万4335円

2.3 ケース③:女性・厚生年金期間中心の年金額例

《年金月額》13万2117円

  • 平均厚生年金期間:33.4年
  • 平均収入:35万6000円
  • 基礎年金:7万566円
  • 厚生年金:6万1551円

2.4 ケース④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心の年金額例

《年金月額》6万636円

  • 平均厚生年金期間:6.5年
  • 平均収入:25万1000円
  • 基礎年金:5万2151円
  • 厚生年金:8485円

2.5 ケース⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心の年金額例

《年金月額》7万6810円

  • 平均厚生年金期間:6.7年
  • 平均収入:26万3000円
  • 基礎年金:6万7754円
  • 厚生年金:9056円

これらの年金額の例からも分かるように、厚生年金の加入期間や現役時代の平均収入によって、受け取れる年金月額は大きく変わります。

とくに、現役時代に国民年金と厚生年金のどちらを中心に加入していたかによって、老後の受給額に大きな差が生じることが分かります。

3. 【厚生年金】早見表で見る60歳〜90歳以上までの「平均受給額」はいくら?

現在のシニア世代は、実際にどの程度の年金を受け取っているのでしょうか。

厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢別の平均年金月額を一覧で確認してみましょう。

まずは、厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額から見ていきます。

3.1 【60歳代(60〜69歳)】「厚生年金」の年金月額を一覧表でチェック

  • 60歳:9万9664円
  • 61歳:10万4455円
  • 62歳:10万9323円
  • 63歳:6万8758円
  • 64歳:8万3901円
  • 65歳:14万9862円
  • 66歳:15万2378円
  • 67歳:15万2356円
  • 68歳:15万2709円
  • 69歳:15万1284円

※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。

3.2 【70歳代(70〜79歳)】「厚生年金」の年金月額を一覧表でチェック

  • 70歳:15万455円
  • 71歳:14万8371円
  • 72歳:14万6858円
  • 73歳:14万5583円
  • 74歳:14万7774円
  • 75歳:15万1410円
  • 76歳:15万1241円
  • 77歳:15万962円
  • 78歳:15万862円
  • 79歳:15万3115円

3.3 【80歳代(80〜89歳)】「厚生年金」の年金月額を一覧表でチェック

  • 80歳:15万3729円
  • 81歳:15万5460円
  • 82歳:15万7744円
  • 83歳:15万9994円
  • 84歳:16万2555円
  • 85歳:16万3947円
  • 86歳:16万5577円
  • 87歳:16万5557円
  • 88歳:16万6200円
  • 89歳:16万6767円

3.4 【90歳以上】「厚生年金」の年金月額を一覧表でチェック

  • 90歳以上:16万4027円

標準的な年金の受給開始年齢は65歳です。

65歳以降の各年齢における厚生年金の平均年金月額を見ると、14万円台から16万円台となっています。

4. 【国民年金】60歳〜90歳以上までの「平均受給額」を見る

次に、国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきましょう。

4.1 【60歳代(60〜69歳)】「国民年金」の年金月額を一覧表でチェック

  • 60歳:4万5186円
  • 61歳:4万6371円
  • 62歳:4万7784円
  • 63歳:4万7258円
  • 64歳:4万7896円
  • 65歳:6万1240円
  • 66歳:6万1369円
  • 67歳:6万1345円
  • 68歳:6万1293円
  • 69歳:6万978円

※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。

4.2 【70歳代(70〜79歳)】「国民年金」の年金月額を一覧表でチェック

  • 70歳:6万1011円
  • 71歳:6万770円
  • 72歳:6万234円
  • 73歳:6万32円
  • 74歳:5万9813円
  • 75歳:5万9659円
  • 76歳:5万9555円
  • 77歳:5万9349円
  • 78歳:5万9124円
  • 79歳:5万8676円 

4.3 【80歳代(80〜89歳)】「国民年金」の年金月額を一覧表でチェック

  • 80歳:5万8623円
  • 81歳:5万8269円
  • 82歳:5万8003円
  • 83歳:5万7857円
  • 84歳:5万9675円
  • 85歳:5万9425円
  • 86歳:5万9228円
  • 87歳:5万9204円
  • 88歳:5万8756円
  • 89歳:5万8572円

4.4 【90歳以上】「国民年金」の年金月額を一覧表でチェック

  • 90歳以上:5万5633円

65歳以降に受け取れる国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、5万円台から6万円台となっています。

5. 今のシニアのリアルから考える、自分らしい働き方

ここまで、年収や働く期間が将来の年金額にどうつながるのか、その仕組みを見てきました。データからもわかる通り、現役時代の働き方や収入は、将来の生活のゆとりを左右する大切な要素です。

今のシニア世代が受け取っている年金額は、これから社会に出る現役世代にとっては、将来を考えるための参考材料になります。

遠い未来の安心は、今の積み重ねで決まります。自分に合った仕事を探したり、新しいスキルを身につけたりすることなど、小さくても前向きな選択が、将来の自分を支える確かな力になっていくはずです。

参考資料