調査会社の米IC Insightsは、オプト、センサー/アクチュエーター、ディスクリート(OSD)半導体メーカーの2018年売上高ランキングを発表した。CMOSイメージセンサー(CIS)世界首位のソニーが前年に続いて1位を堅持し、トップ10社に日本企業が3社入った。
18年市場は9%増の824億ドル
調査によると、18年のOSD半導体市場は前年比9%増の824億ドルとなった。トップ10社が70%を構成するIC(集積回路)市場と対照的に、OSD半導体市場におけるトップ10社の構成比は39%(17年実績も39%)だった。トップ10社のうち9社がオプトを販売し、6社がセンサー/アクチュエーター、5社がディスクリートを提供。また、10社のうち4社がOSDをすべて提供している。
トップ10社の地域別構成は、日本と欧州が各3社、米国2社、韓国と中国が1社ずつ。日本は国内経済の弱さが継続しているにもかかわらず、オプトとディスクリートで日本企業が強さを維持し続けており、現在もCISやセンサー/アクチュエーターでの取り組みを強化している。
トップ10にソニー、シャープ、日亜化学
ソニーは、2位のシャープに31億ドルもの大差をつけて首位を維持したが、スマートフォン市場の成熟に伴うCISの需要低迷と、光ディスク用半導体レーザーの減少で、18年は3%増にとどまった。また、日亜化学は前年からランクを落とし、17年に10位だったルネサスは12位と圏外(売上高は前年比1%増)になった。
ソニーの決算資料によると、18年(1~12月)の半導体売上高は前年比3.5%減の8533億円だったが、このうちイメージセンサーはほぼ前年並みの6773億円だった。引き続きCISを事業の中核に位置づけ、スマートフォンの多眼化(マルチカメラ化)に対応して増産に取り組んでおり、18~20年度の3年間で半導体に総額6000億円を投入し、CISの月産能力を現有の10万枚(300mmウエハー換算)から13万枚へ引き上げる考え。
日亜化学はLEDで世界首位。先ごろ発表した18年業績で、LEDおよび半導体レーザーを含む光半導体事業の売上高は前年比6%増の2915億円、営業利益は同20%増の757億円だった。LEDは、液晶バックライト向けとして、スマートフォン向けが大幅増になり、タブレット、ノートパソコン向けも堅調に伸びた。照明分野は微減だったが、損益を改善。車載分野では、ヘッドライトを中心とした外装向けが順調に伸びた。また、半導体レーザー事業では、プロジェクター光源への採用が拡大するとともに、車載・産業用でも新用途の開拓を推進した。
成長株は中国企業とスタートアップ
一方で、16年に中国の投資家グループに買収されたCIS世界3位のオムニビジョンは、17年の13位から10位にランクを上げ、トップ10に名を連ねた。
また、STマイクロエレクトロニクスは、トップ10社で最も高い25%成長を記録した。この伸びの約半分がディスクリートによるもので、供給不足に伴う部材の値上がりも寄与した。増加分の残り半分はオプトの増収によるもので、画像&光センサーの売上高は前年比48%増の9.03億ドルだった。
IC Insightsでは、今後10年間でより多くの中国企業がランクインしてくるとみているが、大型M&Aによって時期が前後する可能性も指摘する。また、アジアや米国でMEMSセンサーやアクチュエーターのスタートアップ企業が高成長を続けていることにも注目している。
電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏