2026年も気になるのが物価の動向です。収入が増えず物価ばかりが上昇すれば、家計への負担も大きくなります。また、手取り収入額も、家計に影響を及ぼします。給与や年金からは税金や社会保険料が差し引かれます。税負担は多少の緩和が期待されますが、社会保険料の負担緩和は道半ばです。

社会保険料のなかでも、介護保険料は負担の大きい費用です。介護保険料は住む自治体によって金額が変わり、高い自治体では月額約1万円かかるところもあります。今後、高齢者の増加で介護保険料はどのようになっていくのでしょうか。

この記事では、介護保険料が高くなる理由や今後の展望について解説します。

1. 介護保険料の高い自治体・低い自治体TOP10

まずは、介護保険料の高い自治体と低い自治体を上位10位ずつ見ていきます。

介護保険料の高い自治体・低い自治体TOP101/3

介護保険料の高い自治体・低い自治体TOP10

出所:厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」をもとに筆者作成

1.1 保険料が高い自治体

  • 大阪府大阪市:9249円
  • 大阪府守口市:8970円
  • 大阪府門真市:8749円
  • 岩手県西和賀町:8100円
  • 青森県七戸町:7900円
  • 東京都檜原村:7900円
  • 大阪府松原市:7900円
  • 青森県東北町:7880円
  • 青森県東通村など:7800円
  • 青森県六ヶ所村など:7700円

1.2 保険料が低い自治体

  • 東京都小笠原村:3374円
  • 北海道音威子府村:3600円
  • 群馬県草津町:3600円
  • 宮城県大河原町:4000円
  • 北海道根室市:4300円
  • 北海道深川市:4300円
  • 北海道登別市:4300円
  • 埼玉県鳩山町:4300円
  • 千葉県栄町:4300円
  • 北海道広尾町:4400円

もっとも高いのは、大阪市の9249円です。大阪市は全国で唯一介護保険料の基準額が9000円台となっています。2位、3位も大阪府の自治体であり、8000円台後半まで保険料が上昇しています。介護保険料の全国平均は6225円ですから、上位の自治体は1000〜3000円ほど保険料が高い状況です。

一方、低い自治体は基準額3000〜4000円台と全国平均と比較しても2000〜3000円ほど安い金額です。上位3自治体はいずれも町村と、決して規模が大きくない自治体がランクインしています。

大阪市と小笠原村の保険料を比較すると、月額約6000円、年間約7万円もの差があります。これだけ保険料の差が開く理由はなんでしょうか。次章では、介護保険料がこれほどまでに高くなっている理由を解説します。

2. 介護保険料がこれだけ上がる理由は?

介護保険料は、高い自治体だと7000円台後半〜9000円台前半となっています。これだけ保険料が高くなっているのは、以下の3つが要因と考えられます。

  • 介護サービスの利用者増加
  • 一人暮らしの高齢者の多さ
  • 所得水準や積立金の取り崩し方の違い

介護サービスを利用する人が増えれば、その分保険料も上昇します。とくに、充実した介護サービス施設の多い自治体は「利用したい」と考える高齢者が増えるため、保険給付が増える可能性があるのです。

保険給付が増えれば、介護保険料を引き上げて財源を確保しなければなりません。よって、保険料が次第に上昇していくのです。

また、一人暮らしの高齢者の割合が多いと、介護サービスを使わざるを得なくなり、保険料の上昇を招きます。同居する家族がいれば、自宅で介護ができる可能性もありますが、頼れる家族が近くにいない高齢者の場合は、ヘルパーや施設に頼って介護を受ける必要があります。家族による介護が難しいという人が多い自治体ほど、保険料は高い傾向にあるのです。

このほか、所得水準の違いも保険料に影響を及ぼす要因です。高齢者の所得水準が低い地域では、保険給付のための財源を集めにくく、保険料の基準額自体を引き上げなければなりません。多くの自治体では急激な保険料上昇に備えて「介護給付費準備基金」を積み立てていますが、取り崩しペースによっては早期に枯渇し、保険料を上げざるを得ない場合もあるでしょう。

こうしたさまざまな要因が絡むことで、保険料の高い自治体が生まれていると考えられます。

次章では、今後の介護保険料の展望を解説します。

3. 今後の介護保険料の展望

介護保険料は3年に1度見直しをすることになっており、2026年は現行の基準額(6225円)の3年目にあたります。2027年から新たな保険料が設定されますが、どのように推移していくのでしょうか。

介護保険料は、2000年に徴収を開始して以降、現在まで引き上げが続いています。高齢者人口の増加により、これまで一度も平均基準額が減少した時期はありません。

  • 第1期(2000年〜2002年):2911円
  • 第2期(2003年〜2005年):3293円
  • 第3期(2006年〜2008年):4090円
  • 第4期(2009年〜2011年):4160円
  • 第5期(2012年〜2014年):4972円
  • 第6期(2015年〜2017年):5514円
  • 第7期(2018年〜2020年):5869円
  • 第8期(2021年〜2023年):6014円
  • 第9期(2024年〜2026年):6225円

また、2026年度は近年の賃上げを介護業界にも波及すべく、介護報酬の引き上げが予定されています。介護報酬は約9割を介護保険からの給付で賄っているため、報酬が引き上げられれば、保険料も上昇します。そのため、2026年度以降も介護保険料の上昇は避けられないでしょう。

加えて、2026年4月からは、介護保険料とは別に新たな費用が徴収されます。この費用について、次章で見ていきましょう。

4. 4月からはさらなる負担増も?

社会保険料としては、介護保険料のほかに国民健康保険料または後期高齢者医療保険料が徴収されます。4月からは、社会保険料とは別に「子ども・子育て支援金」の徴収が始まります。

子ども・子育て支援金は、子育て施策拡充の財源として、公的医療保険料とあわせて徴収されます。金額は月額数百円程度ですが、負担額は次第に増えていく見込みです。

全体平均額

  • 2026年:250円
  • 2027年:350円
  • 2028年:450円

社会保険料・税金に加えてさらに徴収される費用が増えれば、その分手取り収入は減少が見込まれます。政府は子ども・子育て支援金については、社会保障改革により実質負担なしで徴収が可能としていますが、社会保障改革にはさまざまな課題があります。今後の動向を注視する必要があるでしょう。

5. まとめ

介護保険料は、自治体によって保険料が異なり、高い自治体では8000〜9000円台となっているところもあります。保険料が高騰する要因は、介護サービスの充実度合いや独居高齢者の人数、所得水準の違いなどさまざまなものが挙げられます。

4月からは、子ども・子育て支援金の徴収も開始予定です。多少なりとも家計に影響を及ぼすため、今のうちから支出額の見直しなどをしておきましょう。

参考資料