お子さんを持つ方なら一度は観たことがあると思われる「おさるのジョージ」と「きかんしゃトーマスとなかまたち(以下、「きかんしゃトーマス」)。どちらもNHK Eテレで放映され、子どもたちに絶大な人気を誇るアニメです。我が家はテレビをつけるとこのどちらかの録画を延々と観続けることとなります。
両方ともいい内容で面白いのですが、覚えるくらい繰り返し観ると大人はさすがに退屈(こどもは飽きないですね)。なのでちょっと視点を変えてみましょう。
同じ英語圏ですが、ジョージはアメリカ育ち、トーマスはイギリス。実はそれぞれに国際色がくっきり現れているんです。見飽きたアニメもちょっとは楽しめるかも?
ジョージはアメリカ育ち、トーマスはイギリス生まれ
有名な作品ですので詳細な説明は省きますが、両者とも原作は絵本。おさるのジョージの原作者はドイツ生まれのユダヤ人で、戦火を逃れて自由の国アメリカにやってきました。きかんしゃトーマスの原作者はイギリスのキリスト教聖職者です。
ジョージもトーマスもともに好奇心旺盛で元気な主人公ですが、それぞれが毎回、アメリカらしさ、イギリスらしさをかいま見せてくれます。
ジョージは創意工夫が得意
おさるのジョージは番組前半、たいていとんでもないいたずらをやらかします。そして自業自得のピンチ状態に。さあどうするかというと、ほとんどの場合彼が「自力で」困難を突破します。いたずらを悔いたり、誰かをただ頼ったりすることはまずありません(協力を依頼することはあります)。彼が知力でピンチを乗り越える様は大人も思わず感心するほど。
「自力」と「創意工夫」。アメリカで最も尊重されるものです。
トーマスは堅実・忠実がモットー
トーマスも好奇心旺盛ですが、なにせ機関車。レールを踏み外すことは許されていないので、あまりに突飛な行動はできません。また彼の使命は「役立つこと」。生き物ではないので仕方ない点もありますが、使命に忠実であることが最も重視され、ミッションをつつがなく終えると賞賛を受けるのです。
「逸脱しない」「忠実」。イギリスならではのヒーロー信条に感じませんか?
トーマスは古いものを大事にし、ジョージは新しいものを求める
きかんしゃトーマスには、古いスピーカーが捨てられ新製品がつけられたものの調子が悪く、結局スクラップ置き場から古いものを再び持ち帰ってくるという回があります。新しいものが必ずしもいいとは考えられていないようです。
一方、おさるのジョージのおじさんが小さい頃に乗っていた自転車を修理して、ジョージが乗るようになるという回。古い自転車もちゃんと修理され、ジョージもうまく乗りこなせるようになったのに、最後はなんとおじさんが新しい自転車を買ってきてしまうのです! 喜ぶジョージ。
この展開に「え!?」となるのはイギリスと我が日本ではないでしょうか。古いものを大事にする精神はイギリスと日本、似通っている気がします。
きかんしゃトーマスでの権力者は貴族
トーマスを喜ばせ、また励ますのはトップハム・ハット卿。貴族です。その他にもお城在住の貴族などが登場し、トーマスの世界を左右します。