貴族なので名誉はあるかもしれませんが、お金を持っているかどうかはわかりません。商売人も出てきませんね。お金っけがまったくありません。実質より名誉を重んじるのです。一般人を乗せるよりも貴族を乗せるほうがトーマスも喜びます。ここらへんイギリスくさいですね。

平等思想の行き渡った現代にはそぐわないかもしれませんが、格式と威厳を重んじる姿勢は、ある意味貴重なのかもしれません。実質が伴わなくても、自分が尊重するものに敬意を持つのは大事な気もします。

おさるのジョージでの権力者はお金持ち

ジョージや仲間が本当に困った時、事態を急展開してくれるのがお金持ちのグラスさんです。彼はリムジンに乗りビルを経営し、気が向けば大金を投資して閉館寸前の映画館を再生したり演奏場所のないミュージシャンに野外ホールをつくってくれたりするのです。まさに救世主。

グラスさんが何者なのかはまったくわかりません。しかし裕福なのは確か。お金こそ力なのです。アメリカっぽいでしょ? ちなみに王子様などの貴族は一人たりとも登場しません。

ジョージの原作者は当時、古いしがらみにまみれたヨーロッパ世界から逃れてきました。誰にでもチャンスをくれるアメリカに自由を見たのでしょう。

イギリスは温故知新、アメリカは新進気鋭

おおざっぱな捉え方ですがそれぞれのアニメから、イギリスでは古きを尊び、ルーティンワークを決して疎かにしないことを尊重しているのかなと感じます。それに対してアメリカでは自分で現状を打開する力と発想力が評価されるのだと感じました。

では日本はどうでしょうか。勇猛果敢なアメリカ精神に憧れつつも、やはり歴史ある島国のイギリスに心情が近いのではないか、と私は思うのです。

形やしきたりにこだわる姿勢は、合理的な現代人の立場からすると滑稽にも見えるのですが、なんだか愛しくも思えてしまうのです。スティングの名曲「Englishman In New York」に影響されすぎているかもしれませんが……。あの歌詞を否定するイギリス人はいないんじゃないでしょうか。日本人にもしっくりきますよ。

以上、独断と偏見にまみれたアニメ考察にお付き合いくださり感謝です。みなさんはどう感じましたか?

シマダマキ