2月25日を迎え、確定申告の受付開始から1週間以上が経過しました。
昨年の収支を整理する中で、これからの資産運用について検討されている方も多いのではないでしょうか。
2025年は、日経平均株価や米国のS&P500、金価格などが上昇し、これまでの最高値を上回る場面が見られた1年でした。
為替市場でも1ドル160円台まで円安が進むなど、価格の変動が大きくなる時期もありました。
2026年2月現在、株価は依然として高い水準で推移しています。
こうした市場動向を受け「今は購入のタイミングとして適切なのか」という懸念を持つこともあるかもしれません。
本記事では、新NISAでの活用例が多い「オルカン(全世界株式)」と「S&P500」の2つの指標について、それぞれの特徴と運用実績を整理して解説します。
ご自身の状況に合った運用方法を検討する際の、判断材料としてご活用ください。
1. 【徹底比較】「オルカン」と「S&P500」の基本的な違いは何がある?
オルカンとS&P500はいずれも、特定の株価指数に連動した運用成果を目指すインデックスファンドという点では共通しています。
一方で、投資対象とする市場や地域の範囲には大きな違いがあります。
1.1 オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の概要を整理
オルカンとは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略称として使われている投資信託です。
名称のとおり、日本をはじめとした先進国や新興国など、世界各国の株式およそ3000銘柄以上に幅広く分散投資しています。
組入上位10カ国・地域(2025年11月28日時点)
- アメリカ 63.9%
- 日本 4.8%
- イギリス 3.2%
- カナダ 2.9%
- フランス 2.3%
- 台湾 2.1%
- スイス 2.0%
- ドイツ 2.0%
- ケイマン諸島 1.8%
- インド 1.7%
組入上位10銘柄(2025年11月28日時点)
- NVIDIA CORP アメリカ 情報技術 4.7%
- APPLE INC アメリカ 情報技術 4.4%
- MICROSOFT CORP アメリカ 情報技術 3.7%
- AMAZON.COM INC アメリカ 一般消費財・サービス 2.4%
- ALPHABET INC-CL A アメリカ コミュニケーション・サービス 2.0%
- BROADCOM INC アメリカ 情報技術 1.9%
- ALPHABET INC-CL C アメリカ コミュニケーション・サービス 1.7%
- META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ コミュニケーション・サービス 1.5%
- TESLA INC アメリカ 一般消費財・サービス 1.3%
- TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC 台湾 情報技術 1.2%
オルカンの主な特徴
-
リスクの分散:
投資対象が世界各国に分散されているため、特定の国や地域の景気後退といった地政学的リスクを抑えやすくなります。
たとえば米国経済が低迷した場合でも、欧州や日本、新興国など他地域の成長によって影響を和らげられる可能性があります。 -
自動的なリバランス:
世界経済の変化に応じて、運用会社が国や地域ごとの投資比率を自動的に調整します。
投資家自身が定期的に配分を見直す必要がなく、運用の手間を抑えられる点も特徴です。
1.2 S&P500(eMAXIS Slim 米国株式)の概要を整理
S&P500は、米国を代表する主要企業500社の株価をもとに構成される株価指数で、世界的にも高い注目を集めている指標です。
投資の場面で「S&P500」と言う場合、多くは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」など、この指数への連動を目指す投資信託を指しています。
投資先は、ハイテクや金融、ヘルスケアといった米国の主要産業を支える大企業500社で構成されています。
資産構成(2025年11月28日時点)
- 実質外国株式 100.0%
・内 現物 98.7%
・内 先物 1.3%
・コールローン他 0.0%
組入上位10銘柄(2025年11月28日時点)
- NVIDIA CORP アメリカ 半導体・半導体製造装置 7.5%
- APPLE INC アメリカ テクノロジ・ハードウェア・機器 7.0%
- MICROSOFT CORP アメリカ ソフトウェア・サービス 6.1%
- AMAZON.COM INC アメリカ 一般消費財・サービス流通・小売り 3.8%
- BROADCOM INC アメリカ 半導体・半導体製造装置 3.2%
- ALPHABET INC-CL A アメリカ メディア・娯楽 3.2%
- ALPHABET INC-CL C アメリカ メディア・娯楽 2.5%
- META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ メディア・娯楽 2.3%
- TESLA INC アメリカ 自動車・自動車部品 2.0%
- BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B アメリカ 金融サービス 1.6%
S&P500の主な特徴
-
高い成長性への期待:
米国経済は、過去数十年にわたって拡大を続けてきました。
なかでも、アップルやマイクロソフト、NVIDIAといった世界的な巨大テック企業が指数に組み込まれており、こうした企業の成長による恩恵をダイレクトに享受できる可能性があります。 -
米国への「集中」がもたらすメリットとリスク:
投資先が米国一国に集中している分、高いリターンが期待できる一方で、米国経済が長期的に停滞した場合には、その影響を強く受けるリスクもあります。
2. 【運用成績をチェック】オルカンとS&P500、リターンにはどんな違いがある?
本章では、オルカンとS&P500の実際の運用実績を見比べてみましょう。
2.1 オルカンの基準価額と純資産総額の推移をチェック
【2025年12月30日基準】
- 設定日:2018年10月31日
- 設定来の運用実績:+233.65%
- 直近1年間の運用実績:+20.51%
- 直近6カ月の運用実績:+21.33%
2.2 S&P500の基準価額と純資産総額の推移をチェック
【2025年12月30日基準】
- 設定日:2018年7月3日
- 設定来の運用実績:+197.58%
- 直近1年間の運用実績:+15.38%
- 直近6カ月の運用実績:+21.40%
2.3 設定来のトータルリターン比較:オルカンが上回る結果に
両ファンドは設定日が約3カ月異なるため単純な比較はできないものの、設定来のトータルリターンを見ると、オルカンのほうがS&P500を上回る結果となっています。
- オルカン:+233.65%
- S&P500:+197.58%
2.4 直近1年間のリターン比較:オルカンが上回る結果に
続いて、直近1年間のリターンにおいても、オルカンがS&P500を上回る結果となりました。
- オルカン:+20.51%
- S&P500:+15.38%
2.5 直近6カ月のリターン比較:S&P500が上回る結果に
直近6カ月のリターンでは、S&P500がオルカンを上回る結果となりました。
- オルカン:+21.33%
- S&P500:+21.40%
いずれのファンドも、設定来の運用成績は200%を超える水準まで伸びており、直近1年間においても10%を超える高いリターンを記録しています。
直近6カ月のパフォーマンスを比べると、S&P500は+21.40%、オルカンは+21.33%と、米国株式市場の力強さが際立つ内容となりました。
一方で、より長い1年という期間で見ると、世界全体に分散投資するオルカンが、米国株に集中するS&P500を上回る局面も確認されています。
この違いは、両者の運用スタンスにおける「攻め」と「守り」の特性を表しています。
米国市場が調整局面に入った場合、S&P500は影響を受けやすい一方で、オルカンは欧州や新興国など他地域の動きによって影響を抑えられる可能性があります。
米国一国に集中して高いリターンを狙うのか、それとも世界全体に分散してリスクを抑えるのか。
直近の運用成績はいずれも魅力的ですが、将来の成果が保証されるわけではありません。
自身のリスク許容度に合わせて選択することが重要です。
3. 【新NISAシミュレーション】毎月「3万円・5万円」積立投資×10年間
オルカンとS&P500は、設定から約7年で200%を超えるリターンを上げており、短期的に見ても好調な傾向にあります。
しかし、資産運用は利益が期待できるだけでなく、価格の変動がつきものであり、過去の実績が将来の成果を保証するものではありません。
ここからは、新NISAのつみたて投資枠を活用した場合の、積立投資のシミュレーションを行います。
【シミュレーション条件】
- 積立額:月3万円・5万円
- 積立期間:10年間
- 想定利回り:10年間の平均として「年率5%」「年率6%」「年率7%」で運用できたと仮定
3.1 「毎月3万円×10年間」積み立てた場合
「年率5%」で運用した場合
「毎月3万円を10年間」積み立て、平均年率5%で運用できた場合のシミュレーション結果は以下のとおりです。
- 元本:360万円
- 運用収益:103万円
- 合計:463万円
「年率6%」で運用した場合
「毎月3万円を10年間」積み立て、平均年率6%で運用できた場合のシミュレーション結果は以下のとおりです。
- 元本:360万円
- 運用収益:127万円
- 合計:487万円
「年率7%」で運用した場合
「平均年率7%」で運用できた場合のシミュレーション結果は以下のとおりです。
- 元本:360万円
- 運用収益:153万円
- 合計:513万円
3.2 「毎月5万円×10年間」積み立てた場合
「年率5%」で運用した場合
「毎月5万円を10年間」積み立て、平均年率5%で運用できた場合のシミュレーション結果は以下のとおりです。
- 元本:600万円
- 運用収益:172万円
- 合計:772万円
「年率6%」で運用した場合
「毎月5万円を10年間」積み立て、平均年率6%で運用できた場合のシミュレーション結果は以下のとおりです。
- 元本:600万円
- 運用収益:212万円
- 合計:812万円
「年率7%」で運用した場合
「平均年率7%」で運用できた場合のシミュレーション結果は以下のとおりです。
- 元本:600万円
- 運用収益:255万円
- 合計:855万円
※本シミュレーションはあくまで仮定の数値であり、実際の運用成果を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクが伴うことや、市況によっては運用成果がマイナスになる期間もあり得ることをご理解ください。
4. 【平均寿命】平均寿命の男女差は6.03年!男性と女性の平均寿命は?
私たちは日頃「平均寿命」という言葉を何気なく使っていますが、これは0歳の平均余命を指します。
厚生労働省が2025年7月25日に公表した「令和6年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年でした。
前年と比較すると、男性は横ばい(▲0.00年)、女性はわずかに下回りました(▲0.01年)。また、平均寿命の男女差は6.03年で、前年より▲0.01年とわずかながら縮まっています。
過去の推移も見てみましょう。
- 昭和22年:男50.06 女53.96 男女差3.90
- 昭和25-27年: 男59.57 女62.97 男女差3.40
- 昭和30年: 男63.60 女67.75 男女差4.15
- 昭和35年: 男65.32 女70.19 男女差4.87
- 昭和40年: 男67.74 女72.92 男女差5.18
- 昭和45年: 男69.31 女74.66 男女差5.35
- 昭和50年: 男71.73 女76.89 男女差5.16
- 昭和55年: 男73.35 女78.76 男女差5.41
- 昭和60年: 男74.78 女80.48 男女差5.70
- 平成2年: 男75.92 女81.90 男女差5.98
- 平成7年: 男76.38 女82.85 男女差6.47
- 平成12年 :男77.72 女84.60 男女差6.88
- 平成17年:男78.56 女85.52 男女差6.96
- 平成22年:男79.55 女86.30 男女差6.75
- 平成27年 男80.75 女86.99 男女差6.24
- 令和2年 男81.56 女87.71 男女差6.15
- 令和3年 男81.47 女87.57 男女差6.10
- 令和4年 男81.05 女87.09 男女差6.03
- 令和5年 男81.09 女87.14 男女差6.05
- 令和6年 男81.09 女87.13 男女差6.03
長期的なデータを見ると、男女ともに平均寿命が大きく延びており、「人生100年時代」が現実味を帯びてきたことを実感することができます。
長くなった老後を豊かに過ごすためには、現役時代からの計画的な貯蓄や資産形成、さらには公的年金制度への理解が大切となってくるでしょう。
5. まとめ
今回は、「オルカン」と「S&P500」の運用実績を比較しました。
運用の成果は、始めた時期と売却時期によって大きく異なります。
価格が低い時に購入し、高い時に売却できれば利益が出ますが、株価の予測を正確に行うことは困難です。
そのため、一括で投資を行うのではなく、毎月決まった額をコツコツと積み立てていく「積立投資」という選択肢もあります。
価格が低い時にも高い時にも一定額を購入することで、「ドルコスト平均法」によるリスク分散が可能です。
オルカンが良いかS&P500が良いかを一概に断言することはできません。
投資には正解は無いため、自身の投資の方針や、どの程度リスクを許容して積極的に運用したいかによって選ぶべきファンドは異なります。
まずはそれぞれのファンドの特性を理解した上で、自身の投資方針に合うものを選べるよう情報収集をしてみましょう。
参考資料
- 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
- 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
- 金融庁「資産運用シミュレーション」
- 金融庁「新しいNISA」
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
橋本 優理