金価格の高騰が続き、純金積立に注目が集まっています。

ニュースなどで金価格の上昇を目にし、「もっと早く始めていれば」と感じた人もいるかもしれません。

では、仮に10年前から毎月5000円ずつ純金積立をしていた場合、資産はどの程度になっていたのでしょうか。

本記事では、具体的なシミュレーションを通じて金投資の成果を確認するとともに、価格高騰の背景や、個人投資家が見落としやすい注意点を整理します。

1. なぜここまで金価格は上昇したのか

近年の金価格上昇は、単なる一時的なブームではありません。

その背景には、世界的なインフレの進行と国際情勢の不安定化という、構造的な要因があります。

金は利息や配当を生まない資産ですが、こうした環境下では「価値を守る手段」として再評価されやすくなります。

1.1 世界的なインフレと通貨価値の低下

インフレとは、モノやサービスの価格が持続的に上昇する状態を指します。

この局面では、現金や預金の「実質的な価値」が目減りします。たとえば、物価が年3%上昇しているにもかかわらず、預金金利がほぼゼロであれば、実質的には毎年資産価値が下がっていることになります。

こうした状況で注目されやすいのが金です。

金は供給量が限られており、中央銀行が恣意的に増やすことができません。そのため、通貨の価値が下がる局面では、相対的に価値が保たれやすい資産とされています。

特に、インフレが長期化するとの見方が強まると、「購買力を守る手段」として金への需要が高まりやすくなります。

1.2 法定通貨との対比としての金

法定通貨は、各国政府や中央銀行の信用によって成り立っています。

金融緩和や財政赤字の拡大が続くと、通貨供給量が増え、通貨の希少性は低下します。結果として、通貨価値の下落、すなわちインフレにつながりやすくなります。

一方、金は特定の国や制度に依存しない資産です。

どの国の通貨でも価値を測ることができ、国境を越えて通用します。この「国家から独立した価値」を持つ点が、法定通貨との大きな違いです。

インフレや通貨安が意識される局面では、通貨と対照的な存在として金が選好される傾向があります。

1.3 地政学リスクと「安全資産」としての金

金は古くから「有事の金」と呼ばれてきました。

金融危機、戦争、通貨危機といった極端な環境下でも価値が失われにくいとされ、中央銀行が準備資産として保有している点も、その象徴といえるでしょう。

近年は、地域紛争や大国間の対立、経済制裁の応酬など、国際情勢の先行きが見通しにくい状況が続いています。

こうした地政学リスクが高まると、株式や一部の通貨は急激に売られやすくなり、市場全体の不安定さが増します。

投資家は不確実性が高まるほど、「リスクを取る資産」から「価値を守る資産」へ資金を移す傾向があり、その受け皿のひとつが金です。

金は企業の業績や国家の財政状況に直接左右されにくく、不透明な局面ほど需要が高まりやすい性質を持っています。