「もしもの時、お葬式代が払えなかったらどうしよう……」 「子供に金銭的な負担をかけたくない」

年金暮らしの方にとって、葬儀費用はもっとも大きな不安の一つではないでしょうか。

実は、経済的に困窮している方を対象に、自治体が葬儀費用を肩代わりしてくれる「葬祭扶助(そうさいふじょ)」という制度があります。

この制度は、現在生活保護を受けている世帯はもちろん、生活保護を受けていなくても、収入や資産が一定基準以下で葬儀代の捻出が困難な場合には対象となる可能性があります。

この記事では、自己負担0円でお葬式を行うための条件や、注意点をわかりやすく解説します。

1. 「3世帯に1世帯」が同じ不安を抱えている

「貯金がなくてお葬式代が払えないかも…」このような不安を抱える人は少なくないと考えられます。

厚生労働省の調査(国民生活基礎調査)によると、65歳以上の世帯の約3世帯に1世帯が「住民税非課税世帯」であるというデータがあります。

【住民税非課税世帯】65歳以降、割合が高くなる

厚生労働省「令和6年国民生活基礎調査」では、年代別の住民税”課税”世帯の割合を公表しています。

【一覧表】住民税課税世帯の年代別割合

◆年代別 住民税「課税」世帯の割合《住民税非課税世帯の割合》 

  • 30〜39歳:87.5%《12.5%》
  • 40~49歳:88.2%《11.8%》
  • 50~59歳:87.3%《12.7%》
  • 60~69歳:79.8%《20.2%》
  • 70~79歳:61.3%《38.7%》
  • 80歳以上:52.4%《47.6%》
  • 65歳以上(再掲):61.1%《38.4%》
  • 75歳以上(再掲):54.4%《45.6%》

※全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
※総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
※住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯が含まれます。

年金生活がメインとなる65歳以上では38.4%、つまり3世帯に1世帯以上が住民税非課税世帯です。

国や自治体では、住民税非課税世帯を対象としたさまざまな公的サポートを用意しています。

そのうちの1つに「葬祭扶助」があります。