2. 「葬祭扶助(福祉葬・生活保護葬)」とは?

葬祭扶助とは、生活保護法に基づき、葬儀費用を支払うことができない人に対して、自治体がその費用をサポートする制度です。一般的に「福祉葬」や「生活保護葬」とも呼ばれます。

この制度を利用すると、ご遺族の持ち出し費用は実質「ゼロ円」で故人をお見送りすることができます。

※葬祭扶助は、自治体から葬儀社へ直接支払われるのが一般的です。

2.1 支給される金額の目安

自治体によって異なりますが、厚生労働省の基準(令和7年時点)では、東京都などの都市部(1級地)の場合、大人の葬儀で「21万9000円以内」が支給の限度額とされています。

この範囲内で、葬儀社が火葬に必要な最低限の手配を行ってくれます。

2.2 対象になるのはどんな人?

主に以下の2つのパターンのどちらかに当てはまる必要があります。

パターンA

亡くなった方が生活保護を受けていた場合:身寄りがない、あるいは親族がいても葬儀代を出す余裕がない場合。

パターンB

葬儀を行う人(施主)が困窮している場合:亡くなった方が生活保護でなくても、葬儀を行う遺族(施主)が生活保護を受けている、あるいは同等の困窮状態にあり、お葬式代をどうしても捻出できない場合。

【注意】 亡くなった方の遺品の中に、葬儀代に充てられるだけの現金や預貯金がある場合は、そこから支払うのが原則です。

2.3 葬祭扶助で「できること・できないこと」

葬祭扶助は、あくまで「最低限のお見送り」を国が保証するものです。

(葬祭扶助)
第十八条 

葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
一 検案
二 死体の運搬
三 火葬又は埋葬
四 納骨その他葬祭のために必要なもの

引用:e-GOV法令検索「生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)葬祭扶助 第十八条)

 

  • できること: 遺体の搬送、安置、火葬、骨壷代
  • できないこと: お通夜、告別式、祭壇、お花、香典返しなど

基本的には「通夜・告別式を行わず、直接火葬場へ行く(直葬)」という形になります。