現役時代を会社員や公務員で働いた方は、将来国民年金を含めた厚生年金を受給します。
厚生年金受給額は、現役時代の収入や厚生年金保険への加入期間などにより計算され、収入が高いほど、また、加入期間が長いほど高額受給できるのが一般的です。
では、平均年収300万円で30年間会社員として働いた人の場合、老後の厚生年金と国民年金を合わせていくら受給できるのでしょうか。
本記事では、厚生年金・国民年金の最新の平均受給額を解説するとともに、具体的な例を用いて受給額の目安をシミュレーションしていきます。
1. 厚生年金・国民年金の平均受給額はいくら?
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和6年における厚生年金の平均受給額は月額15万289円、国民年金は5万9310円です。
【厚生年金】(※厚生年金には国民年金部分が含まれます)
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
【国民年金】
- 全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
平均受給額を比較すると、厚生年金は国民年金より約9万円高額です。
これほどの差が生じているのは、両年金制度の仕組みの違いが要因となっています。
国民年金には、日本国内に住む20歳以上60歳までのすべての方が加入することが義務付けられています。
一方、厚生年金は国民年金の2階建て部分に該当する制度で、会社員や公務員が加入する制度です。
自営業や個人事業主などは国民年金のみに加入し、将来は国民年金のみの受給になります。一方、厚生年金に加入している会社員や公務員は、国民年金を含めた厚生年金を受給できるため、国民年金よりも高額になります。
国民年金・厚生年金それぞれの男女別の受給額を見てみましょう。国民年金は、男性・女性の間で平均額に大きな差はなく、その差は4000円弱です。
しかし厚生年金では、男性は女性より約6万円高額になっています。
厚生年金は、現役時代の年収や厚生年金への加入期間などにより受給額が計算され、年収が高いほど、また、加入期間が長いほど高額になるのが一般的です。
現在年金を受給している世代では、男性の方が女性よりも年収が高く加入期間が長い傾向があるため、受給額も高額になると考えられます。
ただし近年は、結婚や出産後もキャリアを継続する女性が増加していることから、受給額の男女間格差は、将来的に縮小していくと見込まれるでしょう。
2. 【シミュレーション】平均年収300万円で30年間働いたら厚生年金はいくらもらえる?
すでに触れたように、厚生年金受給額は現役時代の年収や厚生年金保険への加入期間などにより計算されます。
国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、平均給与は478万円ですが、女性の平均年収は約333万円とされています。
では、タイトルにあるように「平均年収300万円で30年間働いた会社員」は、国民年金を含めた厚生年金をいくら受給できるのでしょうか。
具体例を用いてシミュレーションしてみましょう。
【シミュレーション条件】
- 入社年月:2003年(平成15年)4月
- 厚生年金加入期間:22歳から52歳までの30年間
- 平均給与:300万円
- 国民年金保険料:40年(480ヵ月)満額納付
- 経過的加算や加給年金額は考慮しない
2.1 STEP1:国民年金受給額を求める
厚生年金受給額の中には国民年金部分も含まれているため、STEP1として国民年金受給分を計算します。
国民年金は、保険料を納付した月数によって受給額が決まり、40年間納めると満額受給が可能です。
しかし、保険料の免除や納付猶予を受けた後、追納をしていない場合は、その分減額された金額が支給されます。
シミュレーション条件より、国民年金保険料は40年間納付しているため、このケースでは満額受給できます。
令和7年度の受給額は月額6万9308円が水準とされていることから、年額にすると83万1696円です。
したがって、国民年金分は年額83万1696円となります。
2.2 STEP2:厚生年金受給額を求める
続いて、厚生年金受給額を計算します。厚生年金受給額は、以下の計算式で求めます。
厚生年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
「報酬比例部分」とは、厚生年金の給付において年金額の計算をするうえで基礎となるもので、厚生年金額の大部分を占めています。
経過的加算や加給年金額は、一定の要件に該当する際に支給されるものですが、シミュレーション条件の通り今回は考慮しないため、報酬比例部分の金額を厚生年金額とみなします。
報酬比例部分は、「総報酬制」の導入により2003年(平成15年)3月までと2003年4月からとで計算式が異なります。
それぞれの期間で求めた金額の合計が、報酬比例部分として支給される仕組みです。
報酬比例部分=A+B
【A:2003年3月以前の加入期間】
平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間月数
【B:2003年4月以後の加入期間】
平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以後の加入期間月数
シミュレーション条件より、入社年月は2003年(平成15年)4月なので、今回はBの計算式のみを使います。
年収300万円なので、月収にすると25万円(300万円÷12ヵ月)です。
令和7年度保険料額表に当てはめると、標準報酬額は26万円に該当します。
Bの計算式に当てはめると、厚生年金受給額は年額で51万3021円となります。
計算)26万円×5.481/1000×360ヵ月=51万3021円
2.3 STEP3:国民年金と厚生年金と合計する
最後に、STEP1・2で計算した国民年金と厚生年金受給額を合計します。
計算の結果、年額134万4717円となり、月額に換算すると約11万2060円となります。
したがって、平均年収300万円で30年間働いた人は、国民年金を含めた厚生年金を月額約11万2000円受給できる計算となりました。
ただし、今回のシミュレーションは条件を簡略化したものであり、実際には複雑な計算が必要です。
そのため、シミュレーション結果は、あくまでも一つの目安として捉えるようにしましょう。
3. まとめ
シミュレーション結果によると、平均年収300万円で30年間会社員や公務員で働いた方は、将来、厚生年金と国民年金を合わせて月額約11万2000円受給できる結果となりました。
これは女性の厚生年金、平均受給額11万1413円とほぼ同じ金額です。
実際に自身が将来どのくらい受給できるのかを計算することは可能ですが、複雑な計算を経る必要があるため、難しいことが多いでしょう。
おおよその見込額を知りたいときは、「ねんきんネット」や毎年誕生月に日本年金機構から送付される「ねんきん定期便」で確認可能です。

