2024年のマイナス金利解除以降、日本の金利動向に大きな注目が集まっています。そのなかで、手堅い資産運用先として気になるのが「個人向け国債」です。
とくに2025年12月19日、日銀は金融政策決定会合において「追加の政策金利引き上げ」を決定しました。
この歴史的な決断を受け、市場ではさらなる金利上昇への期待が急速に高まっています。財務省が発表した12月募集分の「変動10年」は初回利率1.23%と、前月から大幅に上昇してスタートしましたが、今回の日銀の利上げ決定は、半年ごとの利率見直しを持つこの商品にとって、さらなる追い風となることは間違いないでしょう。
本記事では最新の募集条件とともに、利上げ局面で魅力が高まる「変動10年」の特徴と過去の金利推移を徹底解説します。
1. 「個人向け国債」の金利動向、変動10年は1.23%に上昇
「個人向け国債」とは、日本政府が個人を対象に発行する債券のことです。
国が元本保証と利息の支払いを約束しているため、日本国内で提供されている金融商品の中では、極めて安全性が高い資産の一つとされています。
個人向け国債には、金利のタイプと満期の違いによって「変動金利型」1種類と「固定金利型」2種類の、合計3つの商品があります。
1.1 変動金利型(10年満期)の仕組み
- 適用される利率が半年に一度見直されます。
- 金利には年率0.05%の最低保証が設定されています。
- 市場金利が上昇した場合、それに連動して受け取れる利息が増加する点が大きなメリットです。
1.2 固定金利型(5年満期)の主な特徴
- 購入時に定められた利率が、満期を迎えるまで変動しません。
1.3 固定金利型(3年満期)の主な特徴
- 5年満期と同様に、発行された時点の金利が満期まで適用され続けます。
なお、2025年12月4日(木)から12月30日(火)の期間に募集される個人向け国債の金利は、以下の通りです。
- 変動金利型10年:1.23%(前月11月募集分は1.10%)
- 固定金利型5年:1.35%(前月11月募集分は1.19%)
- 固定金利型3年:1.10%(前月11月募集分は0.99%)
変動10年、固定5年、固定3年のいずれの種類も、11月の募集時と比較して利率が上昇しています。
もし10年以上利用する予定のない資金で個人向け国債の購入を検討する場合、どの「期間」の商品を選ぶかが一つの悩みどころではないでしょうか。
例えば、「今後の金利上昇を期待するなら、半年ごとに利率が見直される変動10年が有利だ」という考え方があります。
一方で、「現時点では固定5年の方が利率が高い。金利上昇が期待できるなら、5年後に満期を迎えた後、その時点の金利で再度購入を検討すれば良い」といった考え方もあるでしょう。
変動10年の適用利率が、過去にどのように変動してきたのか、具体的な事例を見てみましょう。
