令和時代、少子高齢化による労働力不足で日本経済は黄金時代を迎えるはずだ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は考えています。

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新しい時代が始まりました。大変めでたいことです。令和時代の最初の寄稿ですから、新しい時代の日本経済について、大局的見地から考えてみたいと思います。

楽観主義者の筆者にふさわしく、明るい展望をご披露しますので、新時代の幕開けを明るい気分で祝いたい方には、ぜひともお読みいただきたいと思います。平成時代の諸問題が大逆転で一気に解決する、という話です。

なお、本稿を読んで能天気だとか非常識だとか批判する読者がいるかもしれませんが、せっかく読んでいただけるのであれば、今少し具体的に「どこがどのように間違えているのか」を考えながら読んでいただき、頭の体操に役立てていただければと思います。

平成時代はバブル崩壊後の長期低迷期だった

平成時代の幕開けはバブル最盛期でしたが、バブルが崩壊すると長期低迷期に入りました。人々が勤勉に働いて大量の物(財およびサービス、以下同様)を作り、倹約して物を買わなかったため、物が余り、企業が生産を減らし、雇用を減らし、失業が問題化したのです。

失業は深刻な問題です。失業者は収入が得られないのみならず、「自分は世の中に必要とされていないのではないか」といった気分にもなりかねませんから。また、失業者は収入がないので消費を手控えるため、失業者が増えると景気が悪化してさらに失業者が増えてしまう、といった悪循環ももたらします。

失業は諸問題の根源

それだけではありません。失業者が増えると、企業は労働者を囲い込む必要がなくなりますから、正社員を減らして非正規労働者を雇うようになります。非正規労働者の方が時給は安いですし、いつでも解雇できますから。

これを労働者側から見ると、正社員になりたくてもなれずに非正規労働者として生計を立てている人が大勢いる、ということになります。ワーキングプアと呼ばれる人たちです。特に男性のワーキングプアは結婚相手を見つけるのに苦労するらしく、独身比率が高くなっています。これも、彼ら自身の不幸というのみならず、少子化の一因だとも言えそうです。

ブラック企業も増えました。就職活動中の学生は、内定が得られなければ「失業者や非正規労働者になるよりはブラック企業に就職した方がマシ」だと考えて入社して来ますし、社員も「辞めたら失業者だから我慢しよう」と思うので辞めません。したがって、ブラック企業は従業員を酷使し放題だったわけです。

日本経済の労働生産性も上がりませんでした。失業対策の公共投資が行われたこともありますが、企業が省力化投資のインセンティブを持たなかったことが大きいでしょう。飲食店はアルバイトに皿を洗わせる方が自動食器洗い機を買うより安かったからです。

財政赤字も膨らみました。失業対策の公共投資が行われたこともありますが、増税しようとすると「増税して景気が悪化したら失業者が増えてしまう」という反対論が強かったからです。

少子高齢化で労働力不足の時代に