年末が近づいてきた12月、厚生労働省は2024年度末時点の年金の状況をまとめた最新統計を公表しました。

今回はそのデータをもとに、年金の加入者の変化や平均受給額、受給開始の選び方など、私たちの暮らしに身近なポイントをわかりやすく解説します。

1. 【年金の加入者】最新の年金統計でわかる「厚生年金加入者4787万人、過去最多!」

2024年度の年金統計から、まずは全体の状況を数字で確認してみましょう。

  • 公的年金の加入者数:6757万人(前年度より12万人増)
  • 厚生年金の加入者数(会社員など):4748万人(76万人増で過去最多)
  • 国民年金第3号(扶養されている配偶者):641万人(45万人減)
  • 厚生年金の平均受給額:月額15万289円
  • 国民年金の平均受給額:月額5万9310円

全体として、厚生年金の加入者が増える一方で「扶養」に入る人は大きく減っていることがわかります。

1.1 「扶養からはずれる人が増えた?」第3号被保険者が大幅に減少

今回、特に目を引くのが「国民年金第3号被保険者」の減少です。第3号被保険者とは、会社員などに扶養されている配偶者のことで、いわゆる専業主婦・主夫が多く含まれます。

2024年度末の人数は641万人。前の年から45万人も減りました。一方で、会社員などが加入する厚生年金の加入者は、同じ期間に76万人増えています。

1.2 パートの年金加入111万人突破!背景に「社会保険の適用拡大」

この動きの背景にあるのが、2024年10月から始まった社会保険の「適用拡大」です。従業員51人以上の企業で働くパートやアルバイトなど短時間労働者も、一定の条件を満たせば、厚生年金に加入することになりました。

厚生年金保険「(第1号)適用状況の推移」

厚生年金保険「(第1号)適用状況の推移」

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

実際、短時間労働者が厚生年金に加入する事業所の数は、前年度から約1.6倍に増加。短時間労働者の被保険者数も111万人まで伸びています。これまで「扶養の範囲内」で働く人が多かった層が、制度の変更をきっかけに、厚生年金へ移行している様子が、数字からはっきりと読み取れます。