2. 地方債とは?国債との違いをわかりやすく解説
地方債とは、都道府県や市町村といった地方公共団体が、道路や学校の建設など公共事業の資金を調達するために発行する債券のことです。
近年では、環境問題への取り組みに資金使途を限定した「グリーンボンド」の発行も増加しています。
元本や利息の支払いは各自治体が責任を負うため、国債に次いで安全性が高いとされています。
利率は国債と社債の中間程度であるため、「国債の利回りでは物足りないが、社債のリスクは避けたい」と考える方にとって、地方債は有力な選択肢となるでしょう。
2.1 地方債は「個人向け」と「機関投資家向け」の2種類
地方債には、個人投資家を対象とした「住民参加型市場公募地方債(ミニ公募債)」と、年金基金や保険会社などのプロの投資家を対象とした「機関投資家向け市場公募地方債」の2つのタイプがあります。
住民参加型地方債(個人向け地方債/ミニ公募債)
- 満期までの期間は3年や5年が中心
- 最低購入金額は1万円、5万円、10万円など少額から設定
個人が購入できる住民参加型の地方債については、毎年4月に総務省がその年度の発行予定を公表しています。
また、特定の地方自治体が個人向け地方債を発行しているかどうかは、各自治体の公式サイトなどで確認することが可能です。
令和7年度住民参加型市場公募地方債の発行予定
※状況の変化などにより、発行予定の時期、団体、金額は変更されることがあります。詳細については、各発行予定団体へお問い合わせください。
機関投資家向け地方債
- 銀行や生命保険会社、年金基金など大口の投資家が対象
- 5年などの中期債に加え、10年、20年、30年といった超長期債も発行
- 最低購入金額は1000万円からが一般的
地方債も国債と同様に、定期的に新しい債券が発行されます。毎月発行する自治体もありますが、発行額や満期までの期間、利率はそれぞれ異なります。
2.2 個人向けと機関投資家向け、3つの主な違い
個人向けと機関投資家向けの地方債には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。主なポイントを3つ見ていきましょう。
利率の決まり方
地方債の利率は、同じ満期の国債利回りを基準に、一定の利率(スプレッド)を上乗せして決定されます。例えば12月には、10年物国債の利回りが1.9%台後半で推移する中で条件が決定された新発10年物地方債の利回りが、2%を超える結果となりました。
投資家による年限の違い
最低購入金額だけでなく、債券の満期までの期間(年限)も異なります。
- 個人向け:リスクを考慮し、3年や5年といった「短期・中期」の債券が中心です。
- 機関投資家向け:短期・中期に加えて、10年・20年・30年といった「長期・超長期」の債券まで幅広く提供されています。
一般的に、満期までの期間が長いほど価格変動リスクが高まるため、発行体は投資家の特性に合わせて年限を設定しています。
個人でも買える「10年地方債」
本来、10年物の新発地方債は機関投資家向けが中心ですが、中には最低購入金額を1万円からに設定し、個人投資家でも購入できるようにしているケースがあります。
このような銘柄は限られていますが、証券会社などの取扱金融機関を通じて、個人でも利回りの高い長期債への投資が可能です。
