もう間もなく2026年を迎えようとしています。物価高のなか「今の季節ならではの出費」に頭を抱えているご家庭も多いのではないでしょうか。

長引く低金利の時代が終わりを告げ、「金利のある世界」が再び訪れました。

日本銀行は先日、金融政策決定会合において、政策金利を0.5%から0.75%へ引き上げることを発表しました。

この金融政策の転換や物価の上昇を背景に、金利は上昇傾向にあり今後もこの流れが続くと見られています。

こうした状況から、これまで投資対象として見過ごされがちだった債券が、個人投資家の間で再び関心を集めています。

特に、元本割れのリスクが低い傾向にある「国債」の中でも、「個人向け国債・変動10年」の利率が1%を超えるなど、投資先としての魅力が高まっているようです。

その一方で、現在国債を上回る利回りを提供し注目を集めているのが、地方自治体が発行する「地方債」です。

市場では10年満期で利率が2%を超える地方債も見られ、これは現在の個人向け国債の利回りを大きく上回ります。

地方債も国債と同様に公的機関が発行する「公債」であり、その信用力は高く評価されています。

そこで今回は「地方債」に焦点を当て、仕組みや、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

1. 個人が購入できる債券にはどんな種類がある?

債券への投資にはさまざまな方法があります。投資信託やETF(上場投資信託)を通じて間接的に投資する手法も一般的ですが、ここでは個別の債券(現物債)への直接投資について解説します。

新たに発行される債券(新発債)を購入すると、発行体(国、地方自治体、企業など)が定めた利率に基づいた利息を受け取れます。この利息には20.3%の源泉徴収税が課されます。そして、満期日には投資した元本(額面金額)が払い戻される仕組みです。

個人投資家が購入できる主な円建て債券は、以下の3種類です。

  • 個人向け国債
  • 地方債
  • 社債(事業債)

債券の利率は、発行体の「信用力」、つまり元本や利息を確実に支払う能力や財務の健全性によって決まります。

一般的に、信用力が高い発行体の債券ほど利率は低く、逆に信用力が低い発行体の債券は、投資家が負うリスクの対価として利率が高く設定される傾向があります。

このため、上記3種類の債券の中では、最も信用力が高い国債の利回りが相対的に最も低くなります。

一方で、社債は信用力が相対的に低い分、利回りは最も高くなるのが特徴です。

地方債は、国債と社債の中間に位置づけられ、信用力と利回りもその中間の水準となります。