生活保護の申請件数は過去5年間、連続で増加しています。

さまざまな事情により生活保護に頼らざるを得ない世帯が増えていると考えられます。

厚生労働省の調査によると、生活保護の保護率は都道府県によって差があります。

保護率の高い、または低い都道府県はどこなのか、上位10ずつを確認してみましょう。

また、生活保護率の高い都道府県に「共通する傾向にある」特徴についても解説していきます。

1. 生活保護申請件数は年々増加している

厚生労働省によると、生活保護の被保護総数は減少傾向にあるものの、申請件数は年々増加傾向にあります。

下表は、過去5年間の生活保護の被保護総数と申請件数の推移をまとめたものです。

生活保護の被保護総数と申請件数の推移1/4

生活保護の被保護総数と申請件数の推移

出所:厚生労働省「生活保護の被保護者調査の結果を公表します」 (令和7年9月分、令和6年9月分、令和5年9月分、令和4年9月分、令和3年9月分)をもとに筆者作成

1.1 【調査年月:被保護総数・申請件数】

  • 令和7年9月:198万5349件・2万2488件
  • 令和6年9月:200万7830件・2万1832件
  • 令和5年9月:202万674件・2万1644件
  • 令和4年9月:202万4420件・2万1368件
  • 令和3年9月:203万8210件・2万156件

長引く物価高騰により生活が苦しくなった世帯や、年金だけで生活ができない高齢者世帯の増加などが、申請数の増加に影響していると考えられます。

では、生活保護の受給率は、都道府県ごとにどのくらい違いがあるのでしょうか。

次章で、生活保護受給率の「高い・低い」都道府県を解説します。

2. 生活保護率が高い・低い都道府県はどこ?

生活保護率の高いまたは低い都道府県について、厚生労働省の「令和6年度被保護者調査」をもとに確認していきましょう。

2.1 生活保護率が高い10の都道府県

生活保護率が高い都道府県の上位10は以下の通りです。

【生活保護率が高い10の都道府県】

  1. 沖縄県: 2.28%
  2. 青森県: 2.19%
  3. 北海道: 2.14%
  4. 福岡県: 2.09%
  5. 東京都: 1.94%
  6. 大阪府: 1.92%
  7. 高知県: 1.81%
  8. 徳島県: 1.74%
  9. 大分県: 1.61%
  10. 鹿児島県: 1.42%

2.2 生活保護率が低い10の都道府県

生活保護率が低い都道府県の上位10は以下の通りです。

【生活保護率が低い10の都道府県】

  1. 富山県: 0.26%
  2. 福井県: 0.34%
  3. 岐阜県: 0.40%
  4. 長野県: 0.42%
  5. 石川県: 0.43%
  6. 岡山県: 0.56%
  7. 愛知県: 0.56% ※同率
  8. 島根県: 0.59%
  9. 新潟県: 0.66%
  10. 群馬県: 0.67%

生活保護率が高い・低い都道府県のそれぞれ上位10をご紹介しました。

次章では、生活保護率の高い都道府県に「共通する傾向にある」特徴について解説していきます。

3. 生活保護率の高い都道府県に「共通する傾向にある」特徴とは

生活保護率が高い都道府県の「共通する傾向にある」特徴として、主に以下の2点が挙げられます。

  • 年間収入が低め
  • 完全失業率が高め

それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

3.1 年間収入が低め

総務省の「2019年全国家計構造調査」によると、世帯の年間年収が低い都道府県は、低い順に次のようになっています。

世帯の年間年収が低い上位5の都道府県3/4

世帯の年間年収が低い上位5の都道府県

出所:総務省「2019年全国家計構造調査 所得に関する結果及び家計資産・負債に関する結果 結果の概要」をもとに筆者作成

  • 沖縄県:423万3000円
  • 鹿児島県:432万3000円
  • 高知県:448万6000円
  • 北海道:455万3000円
  • 宮崎県:463万1000円

年間収入が最も少ないのは沖縄県で、次が鹿児島県、高知県、北海道、宮崎県という結果です。

沖縄県は、生活保護率が最も高い都道府県となっており、年間収入が最も低く生活保護率が最も多い県ということがわかります。

鹿児島県は生活保護率の高い上位10に、高知県は上位7に、北海道は上位3になっていることから、年間収入が低い県は生活保護率も高い傾向があると考えられるでしょう。

しかし、生活保護率が5番目に高い東京都の年間収入は、47都道府県の中で最も高額であることから、生活保護率が高いからといって必ずしも年間収入が低いとは限らないことに注意しましょう。

あくまでも特徴の一つとして、そのような傾向が見られると捉えるとよいでしょう。

3.2 完全失業率が高め

生活保護率は、完全失業率とも関係があると考えられます。

総務省が公表した「労働力調査」によると、2024年における「完全失業率が高い」都道府県の上位5は以下の通りです。

完全失業率が高い上位5の都道府県4/4

完全失業率が高い上位5の都道府県

出所:総務省「労働力調査」をもとに筆者作成

  • 宮城県:3.2%
  • 沖縄県:3.2%
  • 大阪府:3.1%
  • 青森県:3.1%
  • 福岡県:2.9%

完全失業率が最も高いのは宮城県、次いで沖縄県、大阪府、青森県、福岡県という結果です。

このうち、2番目に完全失業率が高い沖縄県は、生活保護率が最も多い県となっており、3番目に完全失業率が高い大阪府は生活保護率が上位6となっています。

さらに、青森県と福岡県の生活保護率もそれぞれ上位2・4位となっていることから、完全失業率が高いと生活保護率も高い傾向があると考えられます。

なお、2025年における完全失業率上位の都道府県は以下のとおりです。

【参考:2025年の完全失業率上位】

  1. 宮城県(3.2%)、沖縄県(3.2%)
  2. 大阪府(3.0%)
  3. 北海道(2.8%)
  4. 青森県、岡山県、福岡県(各2.7%)

宮城県のケースを見てみると、最も完全失業率が高くなっている一方で、生活保護率は特に高い部類には該当していないことから、あくまでも傾向の一つとして捉えるようにしましょう。

4. おわりに

生活保護受給率が高い都道府県は、年間収入が低く完全失業率が高い傾向があることがわかりました。

しかし、あくまでも傾向があるというだけで、必ずしもすべての都道府県に当てはまるわけではないことに注意しましょう。

生活保護の受給件数は減少しているものの、申請件数は増加傾向にあり、5年連続で前年度を上回っている状況です。

長びく物価高や、さまざまな事情により収入が不安定で生活が苦しい場合などは、生活保護の申請を検討するのも一つの方法となるでしょう。

参考資料

木内 菜穂子