3.3 NISAの最大のメリットは「利益が非課税」になること
NISAが老後の資産形成で特に有利とされる最大の理由は、投資で得た利益が非課税になる点です。
先のシミュレーションでは139万円の利益が発生しましたが、これがNISAではなく通常の課税口座での投資だった場合、利益に対して約20%(所得税・復興特別所得税・住民税)の税金がかかります。
本来であれば約28万円を税金として納める必要がありますが、NISA口座を利用していれば、この税金が一切かかりません。つまり、運用で得た139万円の利益をそのまま受け取れる可能性があるのです。
この点が、NISAが「個人の資産形成を後押しする制度」と言われる大きな理由です。
4. 40歳代・50歳代から始める老後資金対策
ここまで、公的なデータを基に40歳代・50歳代の平均貯蓄額や、リタイア後の家計収支の実態や新NISAについて解説しました。
会社員が多い40歳代・50歳代では、貯蓄額の平均値と中央値に大きな差があり、資産の二極化が進んでいる実態が明らかになりました。
特に50歳代では貯蓄500万円未満の世帯が半数近くを占め、多くの世帯が現役時代の資産形成に課題を抱えていることがうかがえます。
また、65歳以上の無職の夫婦世帯では、家計が毎月3万円以上の赤字となるデータもありました。
働き盛りの世代は、住宅ローンや教育費といった目の前の支出に対応しつつ、老後資金の準備にも目を向ける必要があるでしょう。
老後の資金計画を早めに立て、新NISAやiDeCoといった税制優遇制度の活用も検討しながら、家計やライフスタイルに合った方法で資産形成を進めてみてはいかがでしょうか。
※この記事は再編集記事です。
参考資料
- LIMO「【貯蓄】40歳~50歳代「働き盛り世帯」の貯蓄、平均いくらか」
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 金融庁「つみたてシミュレーター」
- 金融庁「NISAを知る」
マネー編集部貯蓄班