5. 赤字は何年続く?貯蓄から考える「老後資金の寿命」
ここまで見てきたとおり、65歳以上の無職夫婦世帯では、平均で毎月3万4058円の赤字が生じています。では、この赤字は、貯蓄でどのくらいの期間補えるのでしょうか。
仮に65歳でリタイアし、90歳まで生きるとすると、老後生活は25年間続く計算になります。老後の家計を考えるときは貯蓄額の多寡を気にしがちですが、「資金が何年もつか」という視点で考えることが大切です。
- 赤字が月3万円なら?
年間の取り崩し額:約36万円
貯蓄1000万円:約27年もつ
貯蓄1500万円:約41年もつ
貯蓄2000万円:50年以上もつ
- 赤字が月5万円なら?
年間の取り崩し額:約60万円
貯蓄1000万円:約16年もつ
貯蓄1500万円:25年もつ
貯蓄2000万円:約33年もつ
家賃負担がある場合や物価上昇が続いた場合、想定より早く貯蓄が減る可能性も否定できません。さらに、医療費や介護費、住宅の修繕費などが発生すれば、赤字額が一時的に膨らむことも考えられます。
老後の安心度を左右するのは「平均的な貯蓄額」ではなく、自身の家計で毎月いくら不足し、その不足を何年カバーできるのかを具体的な数字で把握することと言えるでしょう。