3. 国民年金・厚生年金「平均月額」はいくら?
前章では、シニア世帯の収支では毎月の家計が赤字になりやすい現実を見てきました。
では、その収入の柱となる年金は、実際にどの程度受け取っているのでしょうか。
ここでは、厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、65歳以上が受給している国民年金と厚生年金の平均月額を確認します。
まず、国民年金(老齢基礎年金)を受給している場合の平均月額です。
- 〈全体〉:5万7584円
- 〈男性〉:5万9965円
- 〈女性〉:5万5777円
※旧法老齢年金の受給権者と新法老齢基礎年金の受給権者(受給資格期間を原則として25年以上有する方)の合計であり、老齢基礎年金受給権者には、被用者年金が上乗せされている方を含みます。
国民年金は自営業者や専業主婦(夫)などが中心となる年金で、月額はおおむね5万〜6万円台にとどまります。物価や生活費の水準を考えると、国民年金だけで生活を支えるのは厳しいことがわかります。
一方、厚生年金+国民年金(老齢基礎年金)を受給している場合の平均月額は次のとおりです。
- 〈全体〉:14万6429円
- 〈男性〉:16万6606円
- 〈女性〉:10万7200円
※厚生年金保険(第1号)の受給権者には、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、定額部分のない、報酬比例部分のみの65歳未満の受給権者が含まれます。
厚生年金が上乗せされることで受給額は大きく増えますが、夫婦世帯の生活費を考えると、余裕があるとは言い切れません。
とくに単身世帯の場合、現役時代の給料とのギャップを感じる方も少なくありません。生活スタイルの変更を余儀なくされる場合も想定されます。
また、年金額は男女差が大きい点も特徴で、就業期間や働き方の違いが老後の年金額に反映されている現状がうかがえます。とくに女性の単身世帯の方は、老後の生活設計に不安を抱える方が多いかもしれません。
こうして年金額を具体的に見ていくと、前章で確認した家計赤字の背景が、より現実的な数字として理解できるでしょう。
