NISA口座数は制度がスタートした2014年1月からおよそ10年で5倍強にまで増えています。
これまで元本が保証されない投資に抵抗があった方の中には、NISAという税制優遇制度の誕生を機に「少額で投資をはじめてみようか」と思い始めた方もいるでしょう。
NISA口座を開設して、投資初心者の方が最初に悩むのが、どの商品に投資すべきか?ではないかと思います。
もしかしたら職場の同僚や友人から「オルカンかS&Pか買っとけばOK」と言われた人もいるかもしれません。
結論から申し上げると、「オルカン」または「S&P」のいずれか、あるいは両方を選ぶことは間違いではないでしょう。しかし、この2銘柄に限らず「これさえ買っておけば絶対に損をしない」という投資商品はないということは必ず理解しておきたいです。
この記事では投資初心者に向けて「オルカン」と「S&P500」について解説していきます。運用実績も比較していますので、参考にご覧ください。
1. 「オルカン」と「S&P500」は何が違うの?
オルカンとS&P500は、どちらも市場全体の値動きに連動する「インデックスファンド」です。
ただし、その中身(投資対象)が根本的に異なっています。
1.1 オルカン(全世界株式)
オルカンとは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託の通称です。
日本を含む先進国、新興国の株式約3000銘柄以上に投資しています。
2025年11月28日時点の組入上位10ヵ国・地域
国・地域 比率
- アメリカ 63.9%
- 日本 4.8%
- イギリス 3.2%
- カナダ 2.9%
- フランス 2.3%
- 台湾 2.1%
- スイス 2.0%
- ドイツ 2.0%
- ケイマン諸島 1.8%
- インド 1.7%
2025年11月28日時点の組入上位10銘柄
銘柄 国・地域 業種 比率
- NVIDIA CORP アメリカ 情報技術 4.7%
- APPLE INC アメリカ 情報技術 4.4%
- MICROSOFT CORP アメリカ 情報技術 3.7%
- AMAZON.COM INC アメリカ 一般消費財・サービス 2.4%
- ALPHABET INC-CL A アメリカ コミュニケーション・サービス 2.0%
- BROADCOM INC アメリカ 情報技術 1.9%
- ALPHABET INC-CL C アメリカ コミュニケーション・サービス 1.7%
- META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ コミュニケーション・サービス 1.5%
- TESLA INC アメリカ 一般消費財・サービス 1.3%
- TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC 台湾 情報技術 1.2%
特徴
- リスク分散:地理的なリスク(特定の国の経済が低迷するリスク)を最小限に抑えられます。
例)もしアメリカ経済が低迷しても、他の国(日本、ヨーロッパ、新興国など)が成長すればカバーされる。
- 各国の経済状況に応じて投資先を自分で入れ替える必要がない:世界の経済状況に応じて、国別・地域別の比率を運用会社が調整してくれます。
1.2 S&P500(米国株)
S&P500は、「アメリカを代表する企業500社の株価をまとめた指標」で、世界で最も注目されている株価指数です。
ただし、オルカンと比較される時に出てくる「S&P500」は、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P 500)」という投資信託を指すことが多いと考えておきましょう。
投資対象はアメリカの主要企業500社。主にハイテク、金融、ヘルスケアなど、アメリカを代表する大企業で構成されています。
2025年11月28日時点の資産構成
- 実質外国株式 100.0%
・内 現物 98.7%
・内 先物 1.3%
・コールローン他 0.0%
2025年11月28日時点の組入上位10銘柄
銘柄 国・地域 業種 比率
- NVIDIA CORP アメリカ 半導体・半導体製造装置 7.5%
- APPLE INC アメリカ テクノロジ・ハードウェア・機器 7.0%
- MICROSOFT CORP アメリカ ソフトウェア・サービス 6.1%
- AMAZON.COM INC アメリカ 一般消費財・サービス流通・小売り 3.8%
- BROADCOM INC アメリカ 半導体・半導体製造装置 3.2%
- ALPHABET INC-CL A アメリカ メディア・娯楽 3.2%
- ALPHABET INC-CL C アメリカ メディア・娯楽 2.5%
- META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ メディア・娯楽 2.3%
- TESLA INC アメリカ 自動車・自動車部品 2.0%
- BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B アメリカ 金融サービス 1.6%
特徴
- 高成長への期待:過去数十年間、アメリカ経済は成長を続けてきました。とくに「アップル」、「マイクロソフト」、「NVIDIA」などの巨大テック企業が組み込まれており、その成長の恩恵をダイレクトに受けられます。
- 米国「集中」のメリットとリスク:投資対象がアメリカ一国に集中するため、リターンが高くなる可能性が高い一方で、アメリカ経済が長期低迷した際のリスクも大きくなります。
