6. 債券投資に向いているのはこんな人

ここまでで、地方債投資のメリットとデメリットを紹介しました。

では、どんな投資スタンスを持っている人が債券投資に向いているのでしょうか。債券投資を検討している人は以下のチェック項目を確認し、ご自身の投資スタンスと合致しているかどうか、見てみてください。

  • 高いリスクを取りたくない人
  • 日々の価格変動をチェックする手間を避けたい人
  • 長い時間をかけて安定した資産形成を目指している人

6.1 高いリスクを取りたくない人

安全性の高い金融商品とはいえ、債券にも利払いが滞ったり元本の払い戻しが困難になったりする債務不履行のリスクが生じます。それでも、国債や地方債を選べば極力リスクを抑えることは可能です。

6.2 日々の価格変動をチェックする手間を避けたい人

個人向けの債券は満期まで持ちきることが前提の商品です。もちろん既発債の評価額は日々変動しますが、債券のセカンダリーマーケットは機関投資家向けであり、株式のように個人が自由に売買できる場ではありません。

債務不履行(デフォルト)とならない限り、満期まで保有すれば年限分の利息が入り、額面金額が払い戻されますので、こまめに価格のチェックをする必要はないといえます。

6.3 長い時間をかけて安定した資産形成を目指している人

債券にはさまざまな満期(年限)がありますが、金利上昇局面にあるとはいえ、円建て新発債の利率は株式投資のリターンなどと比較しても決して高いとは言えません。ある程度の投資妙味を得るためには、10年物などの長期債を選択し、投資年限を伸ばす必要があります。

長期投資には「年限リスク(期間が長いことによる不確実性)」が伴いますが、一方で、5年、10年と時間をかけて着実に資産を増やせるというメリットも享受できます。例えば、利率2%・年限10年の地方債を100万円分購入した場合、年間2万円(税引前)の利息が10年間安定して支払われます。

固定利付債の投資は、満期まで保有することを前提とすれば、投資の初期段階で将来のリターン総額が確定するため、資金計画が立てやすいという利点があります。この例では、10年後には元本と利息を合わせて計120万円が手元に残る計算になります。

ただし、地方債は中途換金すると元本割れするリスクがあるため、原則として満期まで持ち切ることが鉄則です。そのため、投資資金は10年前後拘束されることになります。債券投資は、結婚や出産、教育資金や住宅購入といった直近のライフイベントを考慮したうえで、当面使う予定のないまとまった資金を長期で運用できる方に適した手法といえるでしょう。

7. まとめにかえて

さて、ここまで地方債投資のメリットとデメリット、債券投資に向いている投資スタンスについて説明しました。

日銀が0.25%の政策金利の利上げを決定し、金利環境は今後ますます変化していくことが予想されます。国債の利回りが上昇すれば、地方債や社債の利回りも上昇し、債券投資の妙味は増していくことになります。

金利の変動を味方につけて、ご自身がどのように資産形成していきたいのか考えるきっかけとしていただき、債券投資についてもぜひ検討してみてください。

参考資料


 

足立 祥子