2025年を迎え、冷え込みが厳しくなる1月は、光熱費や食費といった生活費の負担が気になる時期です。特に年金受給者の方にとって、家計の支えとなる大切なお金の見通しを立てることは、心穏やかな生活を送るために欠かせません。
そこで注目したいのが「年金生活者支援給付金」です。この制度は、消費税率の引き上げ分を活用し、所得や年金収入が一定基準以下の方の生活を支援するために、年金に上乗せして支給されるものです。1月は原則として振込がない月ですが、年金機構から届く通知の確認や、前年に申請を忘れていた場合の遡及対応など、家計管理において重要なチェックポイントがあります。
本記事では、年金生活者支援給付金の対象となる条件や、2月の振込に向けた準備についてわかりやすく解説します。ご自身やご家族が受給対象に含まれているか、この機会に改めて確認してみましょう。
1. 年金生活者支援給付金の概要について
「年金生活者支援給付金」は、公的年金等の収入やその他の所得額が基準額に満たない年金受給者の生活を支援するために、年金に上乗せして支給されるものです。
この給付金は基礎年金に応じて以下の3種類に分類されます。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
いずれの給付金も要件を満たす限り、2カ月に1度のペースで支給されます。
2. 年金生活者支援給付金の対象となる方
3種類の年金生活者支援給付金には、それぞれの支給要件が設定されています。3種類共通の基準は、受給者本人の「前年の所得」です。
老齢年金生活者支援給付金には、これに加えいくつかの要件が加わります。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
-
前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
2.2 障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者
- それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 障害年金、遺族年金等の非課税収入は除く
それぞれの給付金において、上記の要件をすべて満たす場合、年金生活者支援給付金を受け取ることができます。
3. 年金生活者支援給付金の給付額はいくら?
「年金生活者支援給付金」の給付額は、公的年金と同様に、年度ごとに見直しがおこなわれます。
3.1 2025年度における年金生活者支援給付金の給付額
2025年度の「年金生活者支援給付金」の給付額は、前年度より+2.7%引き上げられており、6月支給分の「4・5月分給付金」から増額率が適用されています。
各給付金の2025年度月額は以下の通りです。
- 老齢年金生活者支援給付金(月額):5450円(※基準額)
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円
なお、老齢年金生活者支援給付金については、上記を基準額として、保険料納付済期間などをもとに実際の給付金額が計算されます。
4. 年金生活者支援給付金の請求手続きの流れ
年金生活者支援給付金の支給対象となった人には、原則として日本年金機構からお知らせを兼ねた請求書が郵送されます。
請求書の送付時期や書類形式は、年金の受給状況により異なります。今回は該当する人が多い2つのパターンを見ていきましょう。
【注意事項】
障害年金生活者支援給付金および遺族年金生活者支援給付金の対象者のうち、基礎年金を初めて新規で請求する方(年金と給付金を同時に請求する方)は、年金機構から給付金の請求書は自動的に郵送されません。
この場合、年金の請求手続きとあわせて、ご自身で年金事務所や市区町村の窓口で給付金の請求手続きを行う必要があります。
4.1 パターン1:65歳で老齢基礎年金を新規請求する場合
- 65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して送付
- 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出
4.2 パターン2:基礎年金受給中に新たに対象となる場合
- 毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送される
- 2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は電子申請を利用できます
- 電子申請を利用しない場合は、必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函
なお、支給要件に当てはまるかどうかが確認できない人には「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」および「所得情報等を確認するための所得状況届」が届きます。
4.3 年金生活者支援給付金の支給日について
年金生活者支援給付金は、年6回に分けて、偶数月の15日に支払われます。なお、15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に前倒しとなります。
年金の受取口座と同じ口座に、同日、年金とは別に支給されます。(通帳にはそれぞれ別の振込として記載されます)
各支払月には、原則、その前月までの2カ月分の年金生活者支援給付金が支払われます。例えば、12月に給付されるのは、10月分・11月分の給付金です。
5. データで見るシニア世帯の収入実態:公的年金への依存度
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の収入の実態を見ていきましょう。
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
総所得の100%を「公的年金・恩給」が占めている高齢者世帯は43.4%です。残りの56.6%の高齢者世帯は、公的年金や恩給以外の所得が必要な状況にあることがわかります。
老後、公的年金のみでやりくりすることの難しさがデータで示されています。
6. まとめ
年金生活者支援給付金は、受け取るための条件を満たしている場合でも、自ら請求手続きを行わなければ支給が始まらない仕組みになっています。
1月は「公的年金等の源泉徴収票」が届く時期でもあり、ご自身の所得状況を把握しやすいタイミングです。もし対象の可能性があるのにまだ申請していないという方は、早めに日本年金機構や年金事務所へ相談することをお勧めします。
一度手続きを済ませれば、その後は原則として毎年の所得状況が自動的に確認され、継続して受給することが可能です。
物価高騰が続く中、月々の安定した上乗せ給付は大きな安心材料となります。制度を正しく理解し、受給漏れがないようにしっかり備えておきましょう。





