クリスマスやお正月の準備、冬休み期間中の帰省など、今ならではの出費に頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。
また、物価上昇が家計を圧迫する状況が続いており、「老後の生活資金」について不安を感じる方も少なくないでしょう。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和6年調査結果』によると、50歳代が考える老後のひと月あたりの最低予想生活費は平均で37万円という結果でした。
また、年金支給時に最低限準備しておきたい金融資産残高は、平均1916万円となっています。
老後は、現役世代と比べ収入が少なくなる傾向にあるため「公的年金だけでは生活が厳しい」と感じる方もいるかもしれません。
そうした状況を支えるため、日本では2019年から「年金生活者支援給付金」という制度が設けられています。
この記事では、年金生活者支援給付金の対象者や給付基準額、請求手続きの方法などを具体的に解説していきます。
1. 年金生活者支援給付金とは?制度の概要を解説
年金生活者支援給付金は、基礎年金を受け取っている方のうち、所得などの条件を満たす場合に支給される制度です。
この給付金には「老齢」「障害」「遺族」の3つの種類があり、それぞれ対象者が異なります。
1.1 老齢年金生活者支援給付金の対象者と支給要件
老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
- 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
- 前年の公的年金などの収入とその他の所得の合計額が、基準額以下であること。基準額は、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円です。(※2)
※1 障害年金・遺族年金といった非課税収入は合計額に含まれません。
※2 昭和31年4月2日以降生まれで合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
1.2 障害年金生活者支援給付金の対象者と支給要件
障害年金生活者支援給付金は、次のすべての条件に該当する方が対象です。
- 障害基礎年金を受給していること
- 前年の所得額が479万4000円以下であること(扶養親族の人数によって増額されます)。
※ 障害年金などの非課税収入は、所得額の計算から除外されます。
1.3 遺族年金生活者支援給付金の対象者と支給要件
遺族年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の要件を両方満たす必要があります。
- 遺族基礎年金を受給していること
- 前年の所得額が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)。
※ 遺族年金などの非課税収入は、所得額の計算から除外されます。
いずれの給付金も、支給要件に前年の所得額が関係していることがわかります。
2. 2025年度の年金生活者支援給付金、基準額はいくらになる?
年金生活者支援給付金の金額は、公的年金と同様に物価の変動に合わせて毎年見直されます。
日本年金機構の「令和7年4月分からの年金額等について」によると、2025年度の給付額は前年度から2.7%の引き上げとなり、6月に支給される分(4月・5月分)から適用されます。
2025年度の具体的な支給額は以下の通りです。
- 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5450円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額6813円、2級は月額5450円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5450円
ただし、老齢年金生活者支援給付金については、この基準額を基に、保険料を納めた期間や免除された期間に応じて、一人ひとりの実際の給付額が計算される仕組みです。
3. 年金生活者支援給付金を受け取るための請求手続き
年金生活者支援給付金は、公的年金と同じく、ご自身で請求手続きをしないと受け取れません。
ここでは、対象となることが多い2つのケースについて、手続きの流れを解説します。
3.1 【パターン1】すでに年金を受給中で、新たに給付金の対象になった方
- 毎年9月上旬から、対象者には日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送られてきます。2025年の場合、9月1日から発送が開始される予定です。
- 請求書に必要事項を記入し、切手を貼って投函してください。給付金は原則として請求した月の翌月分から支給されるため、早めに手続きを済ませるのがよいでしょう。
また、このはがき型の請求書が届いた方は、郵送だけでなく電子申請も利用できます。電子申請で手続きを完了した場合は、はがきを郵送する必要はありません。
3.2 【パターン2】これから老齢年金の受給が始まる方
- 65歳になる約3ヶ月前になると、年金の受け取りに必要な「年金請求書(事前送付用)」が日本年金機構から届きます。給付金の対象となる方には、この中に「年金生活者支援給付金請求書」も同封されています。
- 必要事項を記入した上で、65歳の誕生日の前日以降に、年金請求書とあわせて年金事務所に提出してください。
3.3 2年目以降の手続きは原則不要
一度請求手続きを完了すれば、翌年以降は支給要件を満たしている限り、原則として再度の手続きは不要で、継続して給付金を受け取れます。(※)
※年金生活者支援給付金は、毎年、前年の所得情報などに基づいて継続して支給されるかが判定されます。その結果は、毎年10月分(12月支払い)から1年間適用されます。
4. 国民年金と厚生年金の平均受給月額は?男女別に比較
参考として、現在の年金受給額の平均も確認しておきましょう。
厚生労働省年金局が公表した『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』を基に、国民年金と厚生年金の平均月額を全体・男女別に紹介します。
4.1 厚生年金の平均年金月額
厚生年金(国民年金部分を含む)は、会社員や公務員などが受け取る年金です。
- 全体平均:14万6429円
- 男性平均:16万6606円
- 女性平均:10万7200円
4.2 国民年金の平均年金月額
国民年金は、自営業者などが受け取る年金です。
- 全体平均:5万7584円
- 男性平均:5万9965円
- 女性平均:5万5777円
厚生年金の受給額は現役時代の収入や加入期間によって大きく変動するため、個人差が生まれやすい特徴があります。
実際に、月額2万円未満の方から25万円を超える方まで、受給額には幅があります。
一方で、国民年金の平均月額は、男女ともに5万円台です。
2025年度の満額でも月額6万9308円であり、厚生年金ほどの個人差はありませんが、この金額だけで生活するのは容易ではないため、計画的な老後資金の準備が重要になります。
5. 年金生活者支援給付金の支給対象になっていないか確認しておきましょう
ここまで「年金生活者支援給付金」の対象者や給付基準額、請求手続きの方法について解説しました。
2019年からスタートした「年金生活者支援給付金」は、恒久的な支援制度です。
基礎年金を受給していて、所得が一定基準額以下となる方の年金生活を支えることを目的としています。
給付額は毎年度見直されており、2025年度は前年度比で2.7%の増額となっています。
物価上昇のペースには及ばないものの、支給要件を満たす方へ年金に上乗せされる形で支給されるため、家計の助けとなるでしょう。
ご自身やご家族が年金生活者支援給付金の支給対象になるかどうか確認し、支給要件を満たしている場合は、請求手続きを忘れずに行うことが大切です。
※この記事は再編集記事です。
参考資料
- LIMO「支給対象者には12月15日に振り込まれる「年金生活者支援給付金」とは?1人あたり《給付基準額の月額》はいくら?」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和6年調査結果」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内リーフレット」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「個人の方の電子申請(年金生活者支援給付金請求書)」








