2024年に始まった新NISA制度は、若年層だけでなく50歳代以降の方々にも新たな投資機会をもたらしています。
金融庁の公表データによれば、新NISA制度開始前の2023年12月末から2024年9月末までの期間で、50歳代の方々による新規NISA口座開設数は約86万口座に達しました。
また、2024年に投資を行った方々を対象としたアンケート結果では、50歳代の投資家の約80%が新NISA制度のつみたて投資枠を活用した積立投資を行っていることがわかっています。
そこで本記事では、50歳からスタートする積立投資について、15年間でどのような資産形成が可能かをシミュレーションしてまいります。老後に向けた資産づくりを検討されている方々にとって、参考となる情報をお届けします。
1. 積立投資シミュレーション
まずは、50歳からの15年を想定した投資シミュレーションの結果を、3パターンの積立金額で見ていきましょう。今回のシミュレーションにおける利回りは「6%」で固定して算出をしていきます。
1.1 パターン1〜5000円〜
(前提条件)
- 月額5000円・利回り6%・期間15年間
(投資結果)
- 運用後資産額:143万円
- 元本:90万円
- 運用利益:53万円
1.2 パターン2〜2万円〜
(前提条件)
月額2万円・利回り6%・期間15年間
(投資結果)
- 運用後資産額:574万円
- 元本:360万円
- 運用利益:214万円
1.3 パターン3〜5万円〜
(前提条件)
月額5万円・利回り6%・期間15年間
(投資結果)
- 運用後資産額:1435万円
- 元本:900万円
- 運用利益:535万円
2. 投資額の決め方
今回は3つの金額パターンで積立投資のシミュレーションをご紹介しました。しかし、最適な積立額は一人ひとりの状況によって異なります。そこでここからは、積立投資の金額設定の具体的な目安と考え方についてご説明します。
2.1 自分のリスク許容度を把握する
どのような投資にも共通しますが、「過度な期待」を持つことは禁物です。投資は元本が保証されたものではなく、値動きによっては利益が生まれる一方、タイミング次第では損失を被る可能性もゼロではありません。
だからこそ、一攫千金を狙った博打のようにお金を投資するのではなく、「これくらいになったら嬉しい」という、軽やかな姿勢を持つ意識をする必要があります。
そのため、たとえ期待通りにいかなかったり、元本が減ってしまったりしても「まあ、いいか」「もう少し待ってみようかな」と焦らず許容できる範囲で金額の設定をしましょう。
2.2 継続できる金額を設定する
今回のシミュレーションからもわかる通り「投資額が大きいほどリターンも大きくなる」のは事実です。しかし、だからといって日々の生活に影響が出るほどの金額を投資に回すのは賢明とは言えません。
リターンを急ぐあまり無理な金額を設定すると、家計が圧迫され、精神的な余裕まで失われてしまう危険性があります。結果として、急な出費が必要で積立を中断したり、望まないタイミングで資産を手放したりという事態に繋がりかねません。
積立投資で最も避けたいのは、途中で「継続できなくなる」こと。まずは自身の収支をしっかりと把握し、できるだけ暮らしに響かない資金の範囲で金額を決めましょう。
2.3 目標を設定する
積立投資を長く続ける上で、目標設定は欠かせない要素です。明確なゴールがあるからこそ、長期にわたる積立のモチベーションを維持しやすくなります。
「老後は夫婦で日本一周旅行へ」「孫の教育資金を援助したい」など、具体的な夢や目標を思い描き、そこから必要な金額を算出してみましょう。目標額に対して、どの程度の積立期間と月々の積立額が必要かシミュレーションすることで、長期的な投資を継続するための動機付けとなります。
もちろん、無理のない金額であることが大前提ですが、目標を持つことで家計を見直し、日々のちょっとした無駄に気づくきっかけになるかもしれません。
3. 投資を成功させるためのポイント
次に、新NISA制度において、積み立てたお金を無駄にしないための大切なポイントを3つご紹介します。
3.1 売却のタイミングは柔軟性を持つ
投資において、売却のタイミングを「○年後」「○歳のとき」とピンポイントで決めることは必ずしも得策ではありません。特定の時点に時期を固定してしまうと、売却を決めていた時に市場が下落局面であった場合に、期待していた利益を逃すどころか、元本割れで売却せざるを得ない状況に陥る危険性があるためです。
市場の動きは正確な予測ができないため、ある程度の一定期間を売却の時期として設定し、その期間内で相対的に良いタイミングを選ぶ方が、比較的大きな利益を狙いやすくなります。あるいは、下降局面でどうしても資金が必要な場合には、一度に全てを売却するのではなく、分散して売却するという選択肢も検討の余地があります。
3.2 最終利益は売却時の価値で決定する
投資信託への積立投資では、途中経過よりも最終結果の方が重要です。途中でどれだけ価値が上がって資産が増えたとしても、最終的な売却時に大きく下落していれば、その投資は期待通りの成果を上げたとは言えません。
シミュレーションにおける「年平均利回り○%」という数値はあくまで計算上の指標であり、実際の投資における利回りは、最終的な売却金額と総投資額の差によって決定されます。そのため、前述したように売却タイミングを柔軟に考え、最も利益が出る最適な判断をすることが求められるのです。
3.3 長期的な視点で考える
積立投資は、長期的に行うことでその効果を最大限に発揮できます。
定期的に一定額を投資し続けることで、価格が高いときには少なく、安いときには多く購入する「ドルコスト平均法」という手法を活用することができるため、結果的に平均購入単価を抑えることが可能となります。
投資を長く続けていると、市場が下落するような時期も必ず出てくるため、心理的には不安になるかもしれません。
しかし、積立投資においては、むしろ「資産を安く仕込む絶好のチャンス」と捉えることができます。短期的な価格の上下に一喜一憂して投資を中断してしまうと、このメリットが失われてしまいます。
大きなリスクを抑えて、安定したリターンを目指すためには、今回のシミュレーションのように、おおよそ15年以上の長期的な視点で投資を継続することが成功の鍵となります。
4. おわりに
50歳からの資産形成は、決して「もう遅い」ものではありません。今回のシミュレーションが示したように、月々5000円という少額からでも、15年という時間を味方につければ、複利の力で着実に資産を育てられる可能性があります。
積立投資において何より大切なのは、「自分に合ったペースで、長く続けること」です。積立額や利益を周りと比べ過ぎずに、自分が無理なく続けられる金額で、未来の夢や目標を描きながらコツコツと積み立てていきましょう。そのプロセスこそが、豊かな老後を作るための投資成功への一歩となります。




