2025年は「団塊の世代」がすべて75歳以上の後期高齢者となり、日本の超高齢社会は新たな局面に突入しました。多くの方が「自分の老後生活は大丈夫だろうか」と、お金に関する不安を抱えているのではないでしょうか。
特に、年齢を重ねるほどかさむ医療費はシニア世帯の家計を直撃します。さらに、後期高齢者医療制度における2割負担の「配慮措置」が2025年9月末で終了したことで、医療費の窓口負担が増加している世帯も少なくないでしょう。
この記事では、最新の公的データをもとに、75歳以上のシニア夫婦のリアルな家計収支、平均年金、貯蓄事情を紐解きます。
長寿時代を安心して生き抜くために、毎月の赤字を埋め、資産をどう守り育てるか、その具体的な備えについて一緒に考えていきましょう。
1. シニアの医療費は年齢とともに増加!介護費用の平均も見てみる
年齢を重ねるにつれて医療費の負担が増加していくのは、シニア世代にとって共通の課題です。
厚生労働省の『年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度、医療保険制度分)』を参考に、60歳以上の1人当たり医療費と、入院関連費用の割合を見てみましょう。
- 60~64歳:38万円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:37%
- 65~69歳:48万1000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:40%
- 70~74歳:61万6000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:42%
- 75~79歳:77万3000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:45%
- 80~84歳:92万2000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:50%
- 85~89歳:107万1000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:58%
- 90~94歳:117万9000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:65%
- 95~99歳:125万8000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:69%
- 100歳以上:123万2000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:70%
1人当たりの医療費は、60歳代前半の38万円から90歳代後半には125万円を超え、約3.3倍に増加します。特に「入院+食事・生活療養」にかかる費用が全体を押し上げていることがわかります。
80歳を過ぎると医療費の半分以上を、90歳代では約7割を「入院+食事・生活療養」が占めるようになります。
国の高額療養費制度を活用した場合でも、毎月の上限額までの自己負担は発生します。さらに、食事代や差額ベッド代などは全額自己負担となるため、注意が必要です。
また、介護費用も備えておくべき支出の一つでしょう。
生命保険文化センターの『2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査』によると、介護用ベッドの購入など一時的な費用の平均が47万円、月々の費用の平均は9万円となっています(※いずれも公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)。
厚生労働省の『令和6年簡易生命表』によれば、日本の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です。長寿化が進む現代において、入院や介護が長期化する可能性も視野に入れた資金計画が重要になります。
日々の丁寧な家計管理を、そして世帯全体資産をどう守るかが決め手となりそうです。次では、75歳以上の「無職シニア世帯」の家計収支、貯蓄などのお金事情を見ていきます。
