1. 60歳代から100歳以上まで、年代別にみる「1人あたりの医療費」はいくら?
年齢を重ねるとともに医療費の負担は増加する傾向にあります。
厚生労働省が公表した『年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度、医療保険制度分)』を基に、60歳以上の各年代で1人当たりにかかる医療費と、そのうち「入院+食事・生活療養」が占める割合を見ていきましょう。
1.1 60歳以上の医療費は年齢とともにどう変わる?1人あたりの金額推移
- 60~64歳:38万円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:37%
- 65~69歳:48万1000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:40%
- 70~74歳:61万6000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:42%
- 75~79歳:77万3000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:45%
- 80~84歳:92万2000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:50%
- 85~89歳:107万1000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:58%
- 90~94歳:117万9000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:65%
- 95~99歳:125万8000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:69%
- 100歳以上:123万2000円
- 「入院+食事・生活療養」の割合:70%
60歳代前半の年間医療費は38万円ですが、90歳代後半には125万8000円と約3.3倍にまで増加します。
この増加の大きな要因は「入院+食事・生活療養」に関連する費用です。
70歳代までは通院治療が中心ですが、80歳を過ぎると医療費の半分以上を「入院+食事・生活療養」が占めるようになり、90歳代ではその割合が70%近くに達します。
公的な高額療養費制度を利用しても、自己負担の上限額に加えて、食事代や差額ベッド代といった全額自己負担の費用が発生する点には注意が必要です。
また、介護費用に関しても、生命保険文化センターの『2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査』によると、住宅改修などの一時的な費用(※1)が平均で47万円、月々の費用(※2)が平均9万円かかるとされています。
もちろん、これらの金額は要介護度や介護を受ける場所によって大きく異なります。
※1:住宅改造や介護用ベッドの購入費など
※2:いずれも公的介護保険サービスの自己負担費用を含む
厚生労働省の『令和6年簡易生命表』によれば、日本の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳です。
長寿化が進む現代において、入院の長期化や介護費用の発生を見据え、その間の生活をどう支えるかという視点を持ったライフプランが不可欠です。
続いては「65歳以上・夫婦のみ無職世帯」の家計収支について、平均的な状況を見ていきます。
